動きで音を出さない能力。

《自動体温》と《代謝制御》の組み合わせにより、歩行による靴の音はもちろん、些細な衣擦れや呼吸音まで一切を出さずに動く能力。
「それだけ？」と笑うかもしれないが、それだけである。

ただ、真価は「完全熱光学迷彩服」――ステルス迷彩と、「サイレントシーカー」――超消音声SMGが合わさった現在の姿にある。
音・光・熱源・レネゲイド。この4つの動きを完全に消滅させながら攻撃するが故に、慣れていない相手なら完全に暗殺が成功する。もし彼女の姿を認知できたとしても、対応にはかなり困るはずだ。
弱点は所詮SMGでの攻撃しかできないこと。SMGは一般人を殺すための兵器であり、｜化け物《ジャーム》を殺すためには力不足なこともままある。

また、FHセル「ホワイト・ストリート」構成員を自在に動かすことができる。
「ホワイト・ストリート」はいわゆる半グレが集まった少年犯罪組織であり、ひとりひとりのオーヴァードとしての力はアカデミアのCランク（イージーエフェクトしか使えない）並である。
だが、とにかく数が多い。在野のオーヴァードはもちろん、成り上がれなかったFHチルドレンや力を燻らせたUGNチルドレンも在籍している。SNSでは反社組織同士のつながりもあり、人を一人消すぐらいなら完全隠蔽を可能にできる。

なんか、なるがままにFHのセルリーダーなんていう不相応な役についてしまった。

普通にジャームによって家族が死んで（それまでは幸せな生活だった）
そこから不幸にもUGNに拾われず、ただ覚醒した能力を携えたまま街の半グレに合流。
音無く歩く能力で悪い大人を暗殺、金を得てきた。

街の半グレ達との話題はやっぱり「レネゲイドがなければ今頃幸せだった」という話題であり、それを軸にして新たに仲間を作ることに決めた。
レネゲイドを拡大を目論む大人がいれば殺してきた。そうすると協力者も武器も増えて……今に至る。


もう後には戻れない
あくまで普通の女の子だった少女は、もう責任と力を手に入れてしまった。力なき者の欲望を受け止める存在になってしまった。
こうなってしまえば、彼女は優しいから――もう死ぬまで止まれない。仲間のために、欲望のために、世界のために暗殺を続ける。