容姿・経歴・その他メモ

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経歴メモ

黒の短髪に鋭めの赤目をした男性。基本的に無表情気味で口数も多くはないため一見して取っつきづらい印象がある。一人称は「私」、二人称は基本「お前」。
非常に真面目で規律重視の四角四面人間。隠れ甘味好き。公私をしっかりわけるためにプライベートの話もほとんどしない。代々警察業をしている厳格な家庭に生まれ、真っ直ぐ育てられてきた。親も警視庁に勤めている。冷徹な仮面の下の姿は存外優しく、抜けたところもある。しかし彼は警察として自らに「正義を司る者」としての枷を嵌め、自分を律しながら生きている。人間性や弱さといったものを見せるのを嫌い、自らの力だけで立つことを望む一本の松のような人。
オーヴァードに目覚めたのは数年前であり、ＵＧＮとしての活動歴は短い方。表向きは警察、裏ではＵＧＮという二足の草鞋を履いた多忙な生活を送っている。戦闘方法は炎。「触媒」としての能力は、特に感情が大きく昂った時に発動しやすいようである。


立木がオーヴァードに目覚めた日。
その日桜は街に買い物に出かけると言っていた。しかしかかってきた電話から聞こえたのは、彼女の切羽詰まった声と、遠くから聞こえる悲鳴と怒号。テロが起きている、と彼女は言った。”何か”はわからないが、”何か”にこの建物が襲われていると。
「私は救助に向かいます」
正義感の強い彼女がその場で逃げ出す選択肢などあるわけがなかったのだろう。電話が切れてすぐ、いてもたってもいられずにその建物へと駆けだしていた。
彼女がよく行くショッピングモールは、燃えていた。入場規制がなされているところを警察手帳を使って無理に押し入り桜を探す。まだ彼女は中にいるという確信があった。…そうして、彼は火炎の中で体を弄ばれる彼女と、その前に立つ異形の姿を発見したのだ。
立木は自分が覚醒をした瞬間のことをよく覚えていない。ただ怒りに視界が赤く染まったことと、体が異常なほどに熱くなったことだけを知覚した。気が付いた時には体の半分以上が灰と化した瀕死の異形が地に伏せていて、自分の腕はそれと同じような異形と化していたのだ。

―――ああ、もう、全て燃えればいい。
熱い体に反して思考は異様なほどに冷え切っていた。冷えた思考のまま当然のようにそんなことを思った。腹の底から噴き出す憎悪に従い手を翳そうとしたときだった。背後から、自分を呼ぶ小さな声がした。
…振り向けば、虫の息でこちらに這いずってきていた彼女が彼を見ていた。

「椛さん」

彼女は最後の息ではっきりと名前を呼び、安心させるように、もしくはたしなめるように、柔らかく笑った。伸ばされたその手を思わず取った彼の手は人のものだった。そのまま彼は、UGNの部隊に発見されるまでただ彼女の亡骸を抱きしめただ茫然と座り込んでいたらしい。
…そうして立木は今日もまだ、人の生に繋ぎ止められられているのだ。

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