いつも通り、己の態度が気に食わないと放課後に呼び出され喧嘩をした後だ。
急に薬品の臭いがしたかと思えば、己の足は無意識に己の意志と別の方向へ歩みを進めた。
それが、気に食わなかった。胸の奥に燻ぶっていた熱へ引火した。
己が離れようとした方向と逆へと駆け出し、そこで多くの武装した何者か達が堂々と行動しているのが目に映った。
それは、ローザ・バスカヴィルが指揮をしている裏切者を追跡する部隊。
大規模なFHセルとの合流前に殺害する予定だった。

覗き込んで、しばらくして。一瞬にして部隊は家を貫いての黒き奔流に呑まれて壊滅した。
それを見て、何処か現実味が無いと感じながら、己は飛び出した。何か考えがあってのことではない。
頭が真っ白になって。ただただ、己の心の熱に従って。欠落し、再生しだしている左半身の痛みすら感じずに。
一瞬、驚いた表情の部隊員たちをかばう様に、攻撃によって空いた穴へと己を突っ込ませる。
蛇の様な影が左半身から浸食する様に全身を覆う。
その姿は、中途半端に人に似せられた黒き龍。
向かう先に居るのは、裏切り者のUGNエージェントと合流したFHセルの軍勢。


最後まで立っていたのは、ローザと龍穹だけであった。
その後、様々な事を話し合い。
最終的に、ローザに記憶処理をされて平凡な日常へと戻っている。