容姿・経歴・その他メモ

｢ただいま参上仕りました、風の天才探偵こと神藤伊楓でーす！……して、何用で？｣
「そりゃ勿論、俺は慈善家なんかじゃないんで、報酬はきっちりいただきますよ？」
「お礼？……いえいえ、お代はお嬢さんのその笑顔で結構ですよ！」

フリー時代にUGNに才能を買われ、能力だけで支部長までのし上がった男。その実は神藤探偵事務所という個人事務所で所長を務める探偵。妻である神藤夏芽が経理を担当する以外事務員等は雇っておらず、ハヌマーンの、特に風を生み出す能力と、ノイマンの計算から導かれる緻密な操作で一人三役をこなしている。なんなら簡単な業務であれば風を介して遠隔で行ってしまう。本人がやることと言えば支部で判子を押して茶をすするだけ。周囲の人間はそんな彼のことを｢出不精探偵｣やら｢引きこもり探偵｣やら「ポルターガイストニート」と、散々な言いようである。本人は遺憾の意を表明している。
自らを天才と自覚しているタイプの人間。要は面倒くさい。軽薄そうで一々発言が鼻につく。曰く、彼には司(ﾂｶｻ)という助手がいるらしい。が、その姿を見つけたものは誰もいない。彼が楽しそうに話す視線の先には、ただ物が風に浮かされ漂っているだけである。
コードネームは風饗(ｶｻﾞﾏﾂﾘ)。危機的状況に陥った時、一度だけその力を制御無しで解き放ったことがあった。その場に居合わせたエージェントによれば、音が、嵐がまるで人を喰らい、血を浴びているかのように見えた。全てが終わった時、血雨の中で饗宴の主がただ一人立っていた……と。
以下駄文。


出来損ないの弟と違って、兄は天才だった。兄はなんでも出来て、両親とは違い弟にも優しく接していた。いつも褒められるのは兄ばかりで、けれども弟は自分のことのように誇らしかった。兄は大学を出て、探偵を始めた。就職先が決まらない弟を見かねたのか兄は言った。｢うちで助手として働かないか？｣
それから数年間、ワトソンとして過ごす日々は楽しかった。何より、兄の活躍を間近で見られるのが嬉しかったのだ。多少なりとも兄の役に立てているのが嬉しかった。そう、事故で兄が死ぬまでは。
その日は寒空で、雨が降っていた。トラック運転手の居眠り運転だった。いち早く気付いた兄は、なんということか弟を庇った。水溜まりに命が流れ落ち、雨粒が何もかもを奪い去っていく。弟は兄に覆いかぶさり、既に消えた灯火を、それでも守ろうとすることしか出来なかった。
兄はまだ失うべきない。失われるべきじゃない。高熱に浮かされながらうわ言のように呟く彼に、神が応えたのだろうか。或いは悪魔が、嗤った。いいだろう。ただし、生贄は君自身だ、と。

一人称：俺
二人称：君、あんた、お嬢さん

アークナイツのリー先生くらいの軽薄さを想像してる
野ばらに戦(ｿﾖ)ぐ全ての戦士に 今吹き荒れる勇気の風

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