レネゲイドウイルスやオーヴァード。平行世界〈有り得た世界〉では隠匿されたこれらの事象が一般市民にまで知れ渡っているのは何故か。それは成我やその他FHの情報部員の尽力あってこそである。ある時は友人伝いの噂に、ある時は主婦の井戸端会議に。様々な一般市民に擬態しオーヴァードが優位種であるという『真実』を織り交ぜていく。それがラットフィンク　情報操作部の仕事だ。親元から逃げ出した成我にまっとうな仕事があるはずもなく、また骨格を操作することでどんな集まりにも違和感なく入り込める成我はラットフィンクの中でも重宝されていた。

《変わる日常》

任務のためN市の高校に潜入した成我は、UGNのN市支部長と出会う。最初は夜間にゲームセンターにいたことを咎められたことから始まり、幾度か街で出くわすようになる。相手はUGN所属であることを隠していた。成我もFHであることを公言はしなかった。薄皮一枚を隔て、“真実”を語らないことで築かれるその関係はいつしか成我にとって心地の良いものになっていく。
しかし成我が同級生に“情報操作”を行っていたところをN市支部長に見られたことで、成我の素性も発覚してしまう。

《真実を知る》

ジャームとして対処しようとするN市支部長の前から逃げる成我。しかしラットフィンクの同僚からも『廃棄処分』のため追われることに。姿かたちを変えても追ってくる同僚から逃げる成我は、体力の限界を迎え今にも殺されそうになる。その窮地を救ったのはN市支部長だった。ナイフを突き立てようと振りかぶる同僚と成我の間に支部長が滑り込み、自らがナイフを受けたのだ。その隙をついて成我は一目散に逃げ出す。服も変え顔も変え、FHから逃げ出した成我。そんな彼がまず始めたことは“情報収集”だ。そして彼はFHの欺瞞とオーヴァードについての真実を知ることとなる。
そして成我はUGNに所属をし、何の因果かN市支部長の座を拝命することとなる。