覚醒した瞬間のことは覚えていない。
ただ、両親はどこにでもいる普通の夫婦だったようだ。普通だからこそ、普通ではない柚羽のことが耐えられなかった。自分は捨てられたのだ。
それ故か幼い頃は手のつけられない子供だった。契約した遺産の力を使って悪戯をし、物を盗み、とにかく先輩達に怒られた。もう二度としないと約束してもほとぼりが過ぎればまた元に戻る、いたちごっこの日々。
今思えばそうやって騒ぎを起こして彼らの気を引くことで、自分の存在意義を確かめていたのかもしれない。
そんな自分に唯一優しくしてくれたのが大和だった。「ひとりじゃないよ」「泣きたくなったら私のところにおいで」その言葉どおり、無性に悲しくなってどうしようもなくなったとき、部屋に行くと美味しいお茶とお菓子をくれて、ただ頭を撫で、抱きしめてくれた。
その時間が世界で一番好きだった。
大和を困らせたくなくて悪戯をやめた。
大和に褒められたくてたくさん訓練を頑張った。
大和と一緒に戦いたくて、実戦に早く出してとせがんだ。
大和の役に立ちたくてーー
あんなことをしなければ、今ここにセンパイはいたのかな。

嵐大和
「やまちゃんセンパイ」と呼んで慕っていた女性。
彼女にいつもくっついて回る姿は完全にカルガモの刷り込みだったらしい。
親愛か家族愛か、はたまた恋愛感情だったのかは分からないが、少なくともただの先輩に抱く感情を遥かに超えたものであったことは確か。
彼女がいなくなって以降は誰のことも先輩と呼ばなくなった。
大和が亡くなる瞬間を直接見ていないため、彼女がまだ生きている可能性を信じている。

普段表に出すことはないが、重度のサバイバーズギルドを抱えている。
今は先輩を取り戻すまたは復讐のために生きているが終わったら生きる意味を見失うかもしれない。

コードネームの由来
まだコードネームが決まってなかったころ、夜大和と外にいたとき、闇に紛れて飛ぶカラスの存在に驚いた彼女が「なんだかゆうちゃんみたいだねえ」とつぶやいたことから。

A・R・E・A
支部のみんな、そしてやまちゃんセンパイを自分から奪った憎んでも憎みきれない存在。

衝動:憎悪
あの人を殺したあいつが憎い。あたしを置いて行ったあの人が憎い。あの人を守れなかった自分が憎い。

若者達の間に奇妙な噂が広まっている。
──【紅紫法典】“コードマジェンタ”。

目にするだけで願いが叶う紅き文字。
その内容は悪戯ともとれる不可解なものだった。
任務に赴く彼らに、その正体はまだ解らない。

ダブルクロス The 3rd Edition
『Code Magenta【紅紫法典】』

ダブルクロス──
それは裏切りを意味する言葉。

ワークス/カヴァー：UGNチルドレン/指定なし&UGNエージェント/指定なし
ロイス："タイクーン" 半田半蔵
推奨感情：P尽力/N不安
【紅紫法典】によって怪我を負った日々出は、もう退院してもいい頃合いだろう。しかし、具合が芳しくないのか連絡がとれず、入院している隣町の武上町の病院でも暫く面会謝絶となっていた。
そんなある日、キミ達は支部長である半田に極秘に呼び出される。
彼は神妙な面持ちで告げる。詳細の連絡を要求しても武上支部と連絡が取れないこと、【紅紫法典】一連の事件のもみ消しが行われていること。
そして一枚の紙を取り出す。──【蒼蒼計画】における日々出晴英の死亡通知を。
半田はキミ達に自身の想いを託す。隠されつつある真実を究明してほしい、と。

PCには以下の設定が付く。
> PC1：UGN小佐古支部に所属する、自他共に認める天才チルドレン
> PC2：UGN小佐古支部に所属する、最年長の落ちこぼれエージェント

▼PC1
ワークス/カヴァー：UGNチルドレン/高校生
ロイス：日々出 晴英(ひびで・はるひで)
推奨感情：P友情/N敵愾心
自分は生まれた時からオーヴァードであり、UGNの管理下で過ごしてきた。しかし、天才児と祭り上げられながらも、一人前と認められないことに不満を感じていた。
そんなある日、ようやく支部長から任務を任されることとなった！意気揚々と訓練所に向かうと、そこで同年代のチルドレンと出会う。どうやら互いに初めての任務に就くようだ。こうなったら自分たちはライバル、どちらがよりよい結果を出せるか勝負をするっきゃない！
いざ友情、努力、勝利！

(▼PC2
ワークス/カヴァー：UGNエージェント/指定なし
ロイス：半田 半蔵(はんだ・はんぞう)　
推奨感情：P信頼/N食傷
かつてキミはうだつの上がらないフリーのオーヴァードだった。しかしあることをきっかけに半田支部長に頼み込み、現在の小佐古支部に拾ってもらうこととなる。
しかし、若いエージェント、チルドレンが占めている支部内では自分は最年長。見るからに浮いた存在であり、やはり心を入れ替えて積極的にバリバリ働くなどというやる気は出てこない。果てに下された任務は子供のお守りときた。
だが、任されたからには最後まで付き合ってやる。それが、キミに最後に残った大人の矜持というやつなのだ。)

▼UGN 小佐古(こさこ)支部
PCたちが所属する支部。
20代前半の若手エージェント、チルドレンばかりを抱える片田舎の小規模支部。
子供たちに対して少しばかり過保護な支部長、半田半蔵が率いている。

▼半田半蔵(はんだ・はんぞう)
シンドローム：キュマイラ/エグザイル
コードネーム：タイクーン
ワークス/カヴァー：UGN支部長/変なおじさん
侵蝕率：42%　性別：男　年齢：43
UGN小佐古支部長。丸々とした巨躯と何とも言えない顔立ちをしている。
PC1に対してかなり過保護。

▼赤染ゆか里(あかぞめ・ゆかり)
シンドローム：ブラックドッグ/ノイマン
コードネーム：雷式部(いかづちしきぶ)
ワークス/カヴァー：UGNエージェント/大学生
侵蝕率：34%　性別：女　年齢：21
1年前小佐古に配属されたUGNエージェント。
面倒見が良いが、気も強い。暇を持て余しているPC2によく小言を述べている。

【紅紫法典】RハンドアウトPC①**

PC①：A.R.E.A.という凶悪オーヴァードに1年前敗北した
ロイス：A.R.E.A.(エリア)
推奨感情：P執着/N脅威
公開条件：A.R.E.A.のサインを目撃する
1年前、大人のエージェントの任務にこっそりついてきてしまったキミは出会ってしまった。かつて小佐古市を蹂躙した凶悪なオーヴァード、「A.R.E.A.」に。そしてキミは――敗けた。
大怪我をしたキミを気遣って、大人たちは焦るなとキミに言い聞かせる。自分を大事にしろと言って過剰に保護しようとする。違う、そんなことを望んでいるんじゃない。
倒したい、あいつを倒したい！倒して、一人前になってやる。
→Rハンドアウトを公開すると、情報収集時「A.R.E.A.」について調べられるようになる。

◆PL向け補足**

PC①は「A.R.E.A.」というオーヴァードに一度敗北し、病室で目覚めた時には自分以外の支部の人間が誰一人として帰ってこなかったことを知らされる。

■"A.R.E.A." 新江晶(あらえ あきら)
ソラリス/モルフェウスのクロスブリード。
毒素成分を含んだインク弾を相手の体内に撃ち込んで、無力化する戦闘スタイルを持つ。
強い自己顕示欲を持ち、拠点には必ず自分のサインを残す。

> 先輩エージェント
■嵐 大和 (あらし やまと)
シンドローム：ハヌマーン/ノイマン
コードネーム：ヤマアラシ
侵蝕率：58%　性別：女　年齢：25
のんびり屋であり、上司に度々叱責されている。
任務に出してもらえずやきもきするPC①を時折なだめ、いつか一緒に闘うことを誰よりも楽しみにしていた。

日々出晴英　●P友情/N敵愾心
×A.R.E.A　●P執着/N脅威
×嵐大和　P慕情/●N偏愛
九反楓子　●P誠意/N憤懣
半田半蔵　P信頼/●N食傷
×赤染ゆか里　●P信頼/N恐怖

ワークス/カヴァー：UGNチルドレン/指定なし&UGNエージェント/指定なし
ロイス："タイクーン" 半田半蔵
推奨感情：P尽力/N不安
【紅紫法典】によって怪我を負った日々出は、もう退院してもいい頃合いだろう。しかし、具合が芳しくないのか連絡がとれず、入院している隣町の武上町の病院でも暫く面会謝絶となっていた。
そんなある日、キミ達は支部長である半田に極秘に呼び出される。
彼は神妙な面持ちで告げる。詳細の連絡を要求しても武上支部と連絡が取れないこと、【紅紫法典】一連の事件のもみ消しが行われていること。
そして一枚の紙を取り出す。──【蒼蒼計画】における日々出晴英の死亡通知を。
半田はキミ達に自身の想いを託す。隠されつつある真実を究明してほしい、と

PCには以下の設定が付く。
PC1,2：PC全員が異空間に捕らわれていることを知っている

▼Rハンドアウト　PC1,2(マジェンタ共通)
ロイス："グリィズル" 山田餓狼丸(やまだがろうまる)
推奨感情：P尽力/N脅威
公開条件：【記憶を取り戻す】判定に成功した上で、餓狼丸の正体が明かされる
半田支部長の進言によって武上町へ隠密調査に向かったキミ達。【蒼蒼計画】当事者に会いさえすれば、真実にたどり着けるはず。だが、実際に目の当たりにしたのは昏倒するPC3,4と、その傍らに立つ一人の少年の姿だった。
抵抗するも虚しく、キミ達もその手に誘われることとなるだろう。
喪った人など誰もいない。否、誰も覚えてなどいない、幸福な夢の中へ。

セッションに最後まで参加　+1
シナリオ目的
・グリィズルの異空間から脱出する　+5
・夜叉処の計画を阻止する　+5
・FS判定に成功する　+5
RHOを公開した　+1
Eロイス　+8
バックトラック　+0～5
Sロイス　+5
RPなど　+4
=38点

PCには、以下の設定が付く。
> PC2：UGN小佐古支部に所属する天才チルドレン

▼NハンドアウトPC2
ロイス："ベンディガー" 鴨志田グラツィエラ
推奨感情：P任意/N敵愾心
優秀なチルドレンとしてUGN本部へと招集されたキミは驚くことだろう。キミがよく知っているはずのレネゲイドビーイング、PC1が殺人の容疑でUGN日本支部地下に拘束されていると聞いたのだから。
頭を悩ませるのもつかの間、逃げ出したはずの【夜叉処】メンバー、"ベンディガー"が日本支部を急襲する。

PCには、以下の設定が付く。
PC2："ベンディガー"と協力関係を結んでいる

▼RハンドアウトPC2
ロイス："ベンディガー" 鴨志田グラツィエラ
推奨感情：P連帯感/N不信感
公開条件："ベンディガー"と合流後いつでも
かつてキミたちを脅かしたFHセル【夜叉処】の捜索にキミが尽力していると、メンバーの一人である"ベンディガー"が待ち構えていた。
今やFHの後ろ盾を殆ど失った彼女はとある理由によりゼノスに保護されていたらしい。
この逢引きはプランの一幕であり──UGN日本支部に幽閉されたPC1を救うために、どうしてかキミが作戦に必要だと言うのだ。
・プレイヤー向け補足
PC2はゼノス、そしてベンディガーと手を組み、PC1奪還作戦に参加することとなる。作戦は日々出・半田といった同行中の小佐古支部のメンバーには内密で進行する。
ハンドアウトシーンは数日前【夜叉処】残党の捜索任務に当たっていた際、ベンディガーらと遭遇し作戦を持ち掛けられ、承諾する(その場ではしなくてもよい)までのシーンとする。

[夜叉処]
『Perfect Gray』にてPC達が打倒したFHセル。
【紅紫法典】【蒼蒼計画】両事件の糸を裏で引いていた元凶。山田を利用して証拠隠滅を図り、失敗に終わる。
人間を家畜扱いするエージェント・ベンディガー、思考の読めないセルリーダー・タタラマンダラが率いていた。