多くの任務において輝かしい成果を収めてきた。
　らしいが、覚えていない。
　なぜなら一年より前の記憶の一切を、記憶処理で奪われているからだ。

　自分の素性はおろか、自分がUGNに所属している理由、覚醒のきっかけすらも記憶にない。
　だが、この記憶処理が「暴走状態を沈静し、ジャーム化を回避する」処置の一環であることは知らされており、故に、暴走を止められなかった自分が悪いと、現状を甘んじて受け入れている。
　受ける賞賛に見合わない、からっぽな自分を気にしており、エージェントという立場と職務に忠実なのは、その空白を埋めるため。
　ただ、詳細は思い出せなくとも、唯一魂に刷り込まれたように残っていることがある。
　それは、「大切な何かをレネゲイドビーイングに奪われた」こと。

　武上支部に所属してからは一度も暴走することなく、平穏に過ごしている。
　しかし、制御不能の暴走は、力を行使していればいずれ訪れる未来であり、その時はまた、自分は記憶を消されて生まれ変わるのだろう。
　いずれそうなることを知っていて、誰かと関わりを持つのはお互いに辛い。だから「孤高」でいようと決めた。

　けれど本当は、武上の人間に、冷たい態度なんて取りたくなんてないのだ。
　こんな自分を置いてくれて、温かく接してくれる、優しいこの場所が好き。
　忘れたくない。次、目を覚ました時には、もう記憶を失っているかもしれないと不安になって、まともに寝ることすらできないくらい、ここは大切にしたい場所。

　だからこそ────自分から幸福を奪ったことがある気がする、レネゲイドビーイングという存在からは、距離を取らなくては。

「記憶もね、まだ、穴は開いてるけど……忘れちゃいけないことは、思い出したから」

ハンドアウトPC3
ワークス/カヴァー：UGNエージェント/指定なし
ロイス："｜荒御魂《あらみたま》"｜伊比津美摘《いびつ みつみ》
推奨感情：P信頼/N指定なし
　小佐古市からはみ出した患者を収容したり、未だに高頻度で発生するジャーム化の処理に向かったり…キミの所属する｜武上《たけがみ》支部は空前の人手不足となっている。
　優秀なエリートエージェントであるキミはその異様さを強く感じ取っていた。普段は虫も殺さない温厚な彼女、伊比津美摘でさえ、もう一つの人格【｜戦闘用人格《デュアルフェイス》】を露にするほどに激高していた。

ハンドアウトPC3＆PC4共通
ワークス/カヴァー：UGNエージェント/指定なし＆レネゲイドビーイング/指定なし
ロイス：山田餓狼丸
推奨感情：P庇護/N猜疑心
　【蒼蒼計画】の顛末を報告すべく、オーヴァード対策科の警察官に事情聴取を受けることとなったキミ達。その帰り道に病院前ですすり泣く人物と出会う。
　【蒼蒼計画】被害者の知り合いを名乗る少年・山田は非オーヴァードである故に面会を取り合ってもらえず、病院で門前払いを食らったという。
　可哀想だが仕方ない、そう慰めようとしたキミ達は気づくだろう。彼が奇妙な首輪を架せられていることに。