悪くはない。性格上レネゲイド絡みの厄介事に巻き込まれることも少なくないのでそこそこご厄介になっている。
最近、最寄りのＵＧＮ支部の支部長がまた変わり、新支部長とは言い争いをしながらもそれなりに上手くやっているようだ。

彼女のノイマンとしての脳は、あらゆる物事の最適解を導き出す。
ただ、なぜその答えに行きつくのか──つまるところ過程が本人には分からない。
脳みそが答えだけポンって出すから、なぜそこにいきついたのか本人にも不明。
なので彼女の推理はまずものごとの真実を知り、どうすればそこに辿り着くかを考えるという逆算式である。なお、彼女のノイマンとしての頭脳は結果を導き出すことだけに特化しているので、彼女自身の頭の良さは普通である。なんならちょっと悪いかもしれない。
ちなみにコードネームは自分でつけた。

オーヴァードに目覚めたての頃は、答えは分かるのに過程が分からないというその事象に混乱して精神を疲弊させていた。
また、今ほどコントロールが出来ていた訳ではないので脳にかかる負担も計り知れなかった。
そんなところで出会ったのが永見孝三氏であり、彼の協力によって何とか力の制御を身につけることに成功。
多大な恩を感じつつ、彼によって制御できるようになったその力を探偵という生業で活かそうと決心。
ぽんこつ探偵の誕生である。

「その力は答えというものを導き出すことができる。それによって、キミは多くのことを知り得ることが出来るだろう」
「でもね、そんなキミにも分からないことがある。それは、キミの行動が正しいかどうか、だ」
「だからね、考えることをやめてはいけないよ」
「答えが分かる。真実が分かる。だからといって、思考を止めてはいけない」
「──考え続けるんだ。それでもなお、ね」

それは、恩師からかけられた言葉。
どれだけの時を経ても、胸の内に残り続けるもの。
彼女が探偵を続けている理由であり、オーヴァードとしての彼女の原点。