容姿・経歴・その他メモ

「九条暁人、アキトでいーよ。
……あ？何？ムズカシー話？
分っかんねェ～～……寝るわ。着いたら起こしてェ……」

「要するに、こいつら全員殺せばいいんだろ？ははッ、任せとけ！
――おいお前ら、全力で来いよ。じゃなきゃつまんねェからな！！」

「……うるッせえな！！
オレは！ FHエージェント！｜“欲満ちし野狐”《テウメッサ》！！
FHで！殺して！殺しまくって！生きていく！！これからも一生！！
――それしか……ねえんだよッ！！」



「オレ、FHに来て……やっと人間になれたんです。
……気に入ってますよ。FHも、今の生活も。

戦闘兵器として使い潰されるか、力に飲まれてジャームになるか……
……どっちにしたって、表の世界でゴミみてェに生きていくよりずっとマシだ。
だから、うまく使ってください。オレのこと」



◆

父さんは立派な人だった。母さんは綺麗な人だった。
優しくて、あたたかくて、自慢の家族だった。

それがどうだ。
父さんの誇りも、母さんの優美さも、今や欠片も残っちゃいない――
奪われたんだ、あいつらに。

父さんに濡れ衣を被せた自称被害者？
オレを犯罪者扱いするクラスメイト？
警察、裁判官、助けてくれなかったみんなみんな、
全部、全部、この世の全員！！

それでも慎ましく生きようとした。
一人の人間として扱ってほしかった、それだけだった。
特別じゃなくていい、普通が欲しかっただけだった！


あの日だってぎりぎりまで耐えてたんだ。
壁際に追い詰められ、殴られ、蹴られ――それでもぎりぎりまで……
――オレには元々常人離れした力があって、
やり返せば傷つけてしまうって知っていたから――

けど、ふつりと何かが途切れた。

｜なんで傷つけちゃだめなんだ？《・・・・・・・・・・・・・》

こいつらはオレを虐げる。
それなのに、なんでオレばかり耐えなきゃいけない？
――そうだ、どうせ失うものなんかないじゃないか――

ふつふつと湧き上がる憎悪の炎に身を任せた瞬間、
オレは｜裏切者《オーヴァード》として覚醒した。


◆

見ろよ！あいつらの魂消た顔。
血色失くしてオレを畏れる顔！
心の奥底から込み上げる――
優越感！達成感！清々しい迄の快感！！


「……はは、……はははは……
――人間ってのは、こんなに簡単に死ぬのか――」

「もっと！もっと早くやればよかった！
なんでやらなかったんだ――はははは！！」

「――おら゛ァ！ かかってこいよ、ああ゛ッ！？
お前らの御望み通りばけもんになってやったぞ！！
死にたくなきゃオレを狩ってみろって言ってンだよ！！
ははははは！！」


ああ、すっと霧が晴れたような気持ちだ。はは！
そうだ、そうじゃないか、オレはずっと特別だったんだ。
“普通”なんか要らない！

邪魔だと思ったら殺せばいい！
殺したいと思ったら殺せばいい！
オレに、オレに殺せない相手はいない！！

◆

それからそう時も経たず、FHに拾われた。
オレには見込みがあると言われた。
――生まれてはじめて、誰かに必要とされた――。

組織に飼われるってのは不本意だったけど、
獲物を山ほど用意してくれるって言うから、しぶしぶ縦に頷いてやった。

望まれるままに首を狩り、臓を喰らい、
血の雨を浴びて高々と笑う日々の始まりだった。

◆


“普通”への憧れがなくなったわけじゃない。
きっと心の奥底では誰よりも、誰よりもそれを欲している。
しかしそれを認めたくない気持ちが、“普通”を憎悪させる。

当たり前に飯を食い、当たり前に仲間がいて、当たり前に笑っておいて、
それを当たり前とも思わず綺麗ごとを宣いやがって――

――そんなちっぽけな“普通”さえ手に入らなかった、
下の下の落ちこぼれ野郎に殺される気分はどうだ、UGN！？

……いいか！？オレは！可哀想なんかじゃない！
オレはオレの意思でここまで来た！この力で、未来を掴み取ってきた！！
お前らとは違う！“特別”なんだ！！

――くそッ、そんな目で見るんじゃねえ…………



【強化兵】
あなたはFH内部において、主に戦闘任務を受け持つ人員だ。
あなたにはUGNとの政治的な暗闘や、情報収集の能力を期待されることは、ほぼないと言っていいだろう。
あなたに求められるのは、純粋な戦闘能力。ただ、それだけだ。
そしてあなたには、彼らの求めに応じるだけの実力がある。
要するにあなたは、“殺し”が上手いのだ。

ただ、あなたのうちに潜む“殺意”の塊は、
あなたの精神をも蝕みつつある。
その殺意があなたの精神を完全に喰らい尽くしたとき、
あなたは破壊と殺戮だけを求める怪物となり果てるだろう。

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