夜刀神家の長女としてこの世に生を受けた朔奈は、穏やかな父と優しい母、そして敬愛する兄・影嗣に囲まれ、ごく普通の幸せな日々を送っていた。
　しかし、兄に習い真面目で、品行方正に生きてきた少女の優しい世界は唐突に終わりを迎えることとなる。
　理想像たる兄の訃報により、それまでの価値観やアイデンティティは儚く打ち砕かれた。
　原型を失いながらも、しかと兄の遺体を目の当たりにした少女は、恥も外聞もなく泣き喚き―――

　―――葬式を終える頃には少女の瞳にかつての活き活きとした光は無く、ただ何もない空間を見つめるばかりだった。

　茫然自失状態からなんとか学生生活が送れる状態まで回復したものの、基本的に陰キャぼっち。
　高校入学当初は色んな人が話しかけて来てくれたものの、あまりの反応の悪さや出席率の低さからか一歩踏み込んだ間柄の人物は誰も居ない。そんな自分にもいまだに話しかけてくれる綾瀬真花のことは快く思っているものの、一歩も踏み出せないままにずるずると生活している。
　家族仲は悪くないが、滅多に話すことも無くなった。朔奈の将来的な金銭面の問題はないらしいが、親に頼る気になれずにいる。
　時折、ふと思い出したかのように鍛錬を始める。授業をサボってまでやることもあるが、いつも長続きせずに終わる。

　実のところ、本人は知らず知らずのうちにレネゲイドの力に覚醒しており、普段からイージーエフェクトとして能力は発現しているものの、殆ど誰も気づくことは無かった。
※蝙蝠の耳は知覚過敏症の一種として断定され、軽功は普段から舗装された道路しか歩かないので自覚がない。

　数年前まで兄・影嗣と共に諸月宗玄を師とする剣術道場に通っていたが、免許皆伝を受けた兄を失ってからは剣技への自信をも喪失。諸月一刀流を極める意志を失った。以降は剣道場へ通うことも止めており、最も得意だった壱ノ型以外を忘れてしまっている。
　…残酷なことに、剣技の腕前が錆びたところで困ることも無かった。

　バトル漫画定番の剣士キャラをイメージ。今回のシナリオはHO1がいわゆる覚醒系主人公なのでは？と思ったので、レネゲイドには詳しくないものの才能はある(Dロイス：申し子)というキャラ造形を選びました。
　DX3rdのシステム＆シナリオHOの都合上、完成された剣士よりも精神、剣技ともに未熟な娘の方が魅力的だと思いましたので、そのように。RP難易度を自分で上げてしまったような気が…