本家のように色仕掛けは得意ではないが、誰か（大抵の場合はセルの構成員である）を戦わせてその間に美味しいところを持っていこうとするスタイルは共通している。
なお、彼女の立てる計画は杜撰極まりなく本来なら到底セルリーダーが務まるような器では到底ない。
それでもセルリーダーでいられるのには理由があるようだが……？

彼女をセルリーダー足らしめているのは狂気すら感じるほどの"宝"への執着である。
怪盗を自称する彼女ではあるがその手口はどちらかといえば強盗といって差し支えなく、必要であれば殺人も当然のごとく実行する（そして彼女の作戦立案能力では"必要にならない"ことの方が珍しい）。

もし彼女をよく知る者であれば、そのスタイルゆえに"死を運ぶ雨"(ペイルライダー)と呼ばれていることを知っているだろう。
ヴェイルレイダーとはペイルライダーがあまりに怪盗っぽくない、とゴネにゴネてつけた当て字(コードネーム)にすぎない。

アメリカのスラム街出身で、唯一の肉親だった双子の妹をステイト・オブ・グレイスの人体実験によって失っている。
スタンダードを積極的にオーヴァードに覚醒させようとする一派にとって、スラムの子供は"足のつかない実験体"(モルモット)として最適であった。
実験なら自分が受けるから妹は見逃してくれ、と懇願するもオーヴァードとしての覚醒には至らず、妹は埋め込まれたオリジン：プラントの因子が暴走して全身が樹木と化した。
その後廃棄処分となり息絶える寸前、同じく廃棄処分となった妹の体より枝葉で隠れていた宝石の林檎がイリーナの口元に転がり落ち、それを食らって逃げ延びた（オーヴァードとして覚醒したのもその時である）。
事実がどうであれイリーナはその時食べた林檎を妹そのものだと考えており、自分の中から妹を分離させて蘇らせることができるような宝を探し求めている。