ヴィランズイヤー...それはオーヴァード犯罪が多発した、世界にとっての暗黒時代。
強盗、殺人、テロ行為....無論、その中には人体実験も含まれていた。

そんな暗黒時代が到来する前、...とあるFH支部ではある計画が進んでいた。
ーーー『ウロボロス計画』。　

その計画はFHを弱体化する前と同規模に戻したい過激派によって行なわれ、重要機密指定されていたため...このことを知る者はほとんどいなかった...そう、プランナーですらも。

これは本来の世界でも進められていた計画であり、基本世界の時と比べたら研究速度は遅かったが、コードウェル博士の不在・FHの弱体化により、特に重要視されていた。

そして、その中には戦闘用自動人形兵器として、ウロボロスの力を持ったレネゲイドビーイングを人工的に生み出す実験が行われていた。
世界各地から素質を見込まれた幼い少年少女が被験者として様々な手段で集められ、首へ被検体の管理番号を焼印でつけた後に耐久試験や戦闘訓練などといった人体実験が行われていた。
また、人工生命体を生み出し、同じく耐久実験や戦闘訓練などを行わせるといった別方向からのアプローチも施行されていた。

被検体は戦闘訓練や耐久実験での成績が一定ライン以下であったとしても廃棄処分され、充分な栄養や休息すらもとることすらも許されない極限状態下におかれ、非常に過酷な環境を強いられてきた。当該実験による犠牲者は少なくとも700人を超しており、生存者は僅か7人だけであった。

ミトラス・スヴァルトもまた実験の被害者であり、管理番号"L-11"の焼印と成功体だけに与えられるコードネーム"Fluorite"（フローライト）の刺青が首輪のように刻まれている。

ミトラスが物心ついた時、既にFHの実験施設に被検体"L-11"として扱われていたため、両親からの愛情を知ることなく、非人道的な扱いを受ける日々を送ってきた。

そのため、戦闘用自動人形型番"L-11"フローライトは感情が希薄な状態で文字通りの戦闘用自動人形であった。
FHから唯一与えられた使命..."世界を滅ぼし、選ばれし存在（オーヴァード）による新たなる世界の創造"を果たすために、自分が存在すると考えていた。

10年以上にも亘る、戦闘用自動人形兵器としてのチューニングが全て完了し、FHに配置されてから3年経過し、オーヴァード同士の実践経験を重ね、密かにその存在が噂されるようになっていた頃。

戦闘用自動人形型番"L-11"フローライトの所属するFH支部がヒーロー達の奇襲作戦によって壊滅し、FH側はフローライト以外は撤退し、フローライトはヒーロー達と戦うことになる。
当時のフローライトは有名ヒーローと同格の力を持っており、数多くいたヒーローたちを一時は壊滅寸前へ追い詰めたが、ヒーロー側の救援や強力なヒーローの参戦により、フローライトは倒され、保護されることになる。

ヒーロー側はFHが生み出した戦闘用自動人形のことを知っており、『ウロボロス計画』による被害者はフローライト以外は全員保護済みだったため、フローライトのことを探していた皆と再会し、フローライトの中で心が芽生え始める。

フローライトには人間としての名前がなかったため、"ミトラス・スヴァルト"と名付けられ、オーヴァード専用の医療施設で療養しながら、人間としての生き方や常識を教わり、兵器から人間として生まれ変わっていくのだった...。

レネゲイドウォーが始まってから間もない頃であり...この後、ヒーロー達の反撃が本格的に始まるのであった。

施設で元戦闘用自動人形兵器の皆と過ごす内に、ミトラスには感情や心が生まれていたため、自分を助けてくれた人達のためになにか貢献したいと思い始める。

そんなある日、強力なヴィランに支配された都市の奪還作戦が進んでいないことを施設に訪れたヒーロー達の立ち話から知ってしまう。
その敵を倒すためには強力な攻撃能力を持つオーヴァードが必要だが、その能力を持ったヒーローは他の都市奪還作戦に参加しており、手詰まり状態となっていたのだ。
勿論、元戦闘用自動人形の一つであったミトラスならば討伐条件は満たせるため、自分を救ってくれたヒーロー達のためになにかしたいと考えていたミトラスにとっては好機であった。

話を聞いたミトラスは、様子を見に来たヒーローに都市奪還作戦への参加を許可してほしいことを告げるものの、言われたヒーローは驚愕しつつも、ミトラスの体のことを心配して反対するものの、ミトラスは状況的に自分の力が有効であること、都市奪還できる機会は今しかないことで説得し、最終的にミトラスの強い意志にヒーロー側が折れることとなる。

ミトラスの他にも元戦闘用自動人形の皆も参戦したいと手を挙げたため、ヒーロー側の戦力は十全なものとなり、都市の奪還に成功する。
奪還した都市は大規模な都市であったため、ヒーロー側の士気が上がり、レネゲイドウォーにおけるヒーロー側の戦力を大いに押し上げ、この都市奪還後からヒーロー側の本格的な反撃の狼煙が上がることになる。

この後、パラディンなどのトップヒーロー達に呼び出され、今後もヒーロー側としてこの戦いに参加して欲しいと乞われ、レネゲイドウォーにヒーロー側として本格的に参戦することになる。

この出来事はレネゲイドウォーが発生してから2年後のことであり、ミトラスはレネゲイドウォーでヒーロー側として参戦し、各地の戦場で活躍していき、一人の人間として戦い始めることになった。
FH時代に身につけた戦闘能力で多くの都市奪還に貢献し、ヴィランに捕らわれていた多くの人々を救ってきた。

ーこうして、ヴィラン側の戦闘用自動人形型番"L-11"フローライトは、ヒーローの"聖滅の魔銃"へと生まれ変わり、レネゲイドウォーが終わった今でも人々を影から救い続け、平和を守り続けている。