5年前、はるか昔に崇拝の対象とされていた意思を持ったレネゲイド生命体がここN市にて目覚めた。それは、覚醒して早々、破壊の限りを尽くした。UGNはこの対処として、このレネゲイドを根絶することはできないと判断し、レネゲイドを抑制する能力を持ったオーヴァードに、そのレネゲイド生命体をその身に納めさせることでその力を封じ込めることにした。結果としてその作戦では多くの犠牲者負傷者を出したが、それら命とそのオーヴァードの能力を代償に抑制に成功した。
　その際に依り代となったオーヴァードこそが『皇后崎希咲姫』である。彼女は能力を使わないわけではない。使い続けている。体内に潜む怪物を服従させる為に。

　彼女は、支部に危機が迫ったときにその怪物を顕現させた。怪物の殺意は彼女に向いていたがその力は脅威に向けられた。
「Monster。私はただそう呼んでいます。」
　その力はUGNに記録されているものより一回りも二回りも矮小なものだったが、その場を納めるには十分だった。