容姿・経歴・その他メモ

背景

スペインで王族に連なる貴族として永らえ、近年では二代にわたりUGN評議員を排出するラガルト家の分家であるラガント家に生を受けた気難しい男。
分家といっても割と遠い血筋であった上に三男坊だったので、割と自由に暮らしていた。
貴族特有のよくわからないしきたりやらメンツやらのために様々な習い事をしていたが、さりとて一般的なちょっと金持ってる家くらいの感覚でしかなかった。

小学生も低学年のあるとき、自分の興味が高じて始めた護身術や射撃訓練などをこなしていると割かし良い成績を収めていたためか本家筋の家業で使っている訓練に参加した。
同い年とはいえ、明らかに人間ではない動きをする連中に交じって訓練していたがそこでもそこそこ良い成績を残したためかなり気に入られることとなった。
そこで、もっと強く、もっと賢くなりたくないか？と聞かれ子供心にヒーローのようなものを思い浮かべ周りのすごい奴らを見比べた時にこんな風になれるならなってみたい！と思い訓練を続けることにした。
次第に訓練に取り残されることが多くなってきたとき、組手で明らかに年下の女の子に小枝を放り投げるみたいな手軽さで投げ飛ばされた時に悔しさを感じ、何度も向っているうちにレネゲイドに目覚めた。

目覚めてからが本当の地獄だと、つゆほども知らなかった。

目覚めた後、突然実家に帰ることができなくなった。
両親にも本家筋からの連絡があったうえに、いろいろと"真相"を知らされていたのだろう。
すんなりと了解し、それから両親は定期的に本家へと足を運ぶようになった。
代わりに、タリス自身は地獄の訓練が始まった。
日々尋常じゃない痛みや不可に耐え、暴れだしそうになる体を押さえつける訓練をする。
わざと暴走させられる、リザレクトの感覚を掴むなどを続けることになった。

ある程度の訓練が済み、日常生活に戻れることになったが彼は解放されなかった。
家に帰ることを禁じられ、ラガルト家の兵隊として使われることになったのだ。
両親には完全演技を利用して説明するように強要され、それ以外の伝達手段の一切を与えられなかった。
そこから、北海道札幌市にある黒巣研究所へ拠点を移しUGNの暗部としての訓練を受けることになった。
レネゲイドのコントロールができないオーヴァードたちがいたために、訓練の相手には困らないという判断のためだ。
長い訓練と、実践投入の始まりだった。

黒巣研究所では、ある程度の外出などは許可されていた。
近隣にある高校に通っていた時、彼にとっての運命の人と出会うことになった。
寺崎雛、という少女だ。
このころには、自分を服従させるためだけにあらゆる尊厳破壊行為を受けてきたため、彼女と触れ合う時間が何より幸福だった。
日常生活を過ごすうえで、初めて完全演技がいらない相手と出会い、そして幸せな関係を築き上げていた。
今では成長し、顔も肉体もがっしりとしたいい男になってきたためか、リッキーの情婦のような真似をさせられていたので、年上の女を嫌っていたが、彼女は母のようなやさしさで彼のささくれた心を癒しつらい現実を忘れさせてくれる唯一無二の存在だった。
彼女と共に生きていられるなら、アイツのもとで働くのもやぶさかではないかなと思っていた。
ふたりが結ばれるのにそれほど時間もいらず、いずれ家庭を持ちたいと考えるほどに彼女のことを愛していた。
それほどに彼の心は癒されていたのだ。
あまりにも都合が良すぎる展開に、目をつむってしまうほどに。

ある日、雛が学校に登校してこない日があった。
連絡もなく、突然登校してこなくなり親しかったからとタリスのもとに連絡が来るほどだった。
見計らったようにリッキーから連絡が来て、悪い予感を感じながら走って彼女のもとへ向かった。
珍しくイメージプレイを要求してきたリッキーを、義務的に抱いて完全演技を続けていた時そろそろ終わりだと思った瞬間リッキーが壁のほうに結合部を見せつけるよう動かすよう要求したかと思ったら、突然壁が透明になりその向こうに雛が座っていた。
なぜ、と考える前に彼女が静かに囁いた。「私の所有物に手を出すゴキブリには立場をわからせないとね？」
イメージプレイは、面倒な小娘を相手にする熟女好きで頻繁に愛を囁くようなクソ野郎だった。
その音もすべて彼女は聞いていたうえで、その様子をずっと見せられていた。
彼女は、涙を浮かべながらそこで静かに自分を見つめていたのだ。
一瞬完全演技が解かれるほどの深い憎悪と殺意を覚え、そのまま最後まで続ける。

終わった後に壁は元の形に戻り、リッキーが彼女を連れてやってきた。
好きに話すといい、という彼女の意図は完全演技を使って完膚なきまで彼女の心を折れということだと考えなくても分かった。
考えうる限りすべての方法で雛を傷つけ、トラウマになるような対応をした。
その間、タリスはこの部屋を出た瞬間にリッキーを殺す決意を固めていた。

涙を抱え、大量の精神的な傷を負わされた雛はそのまま家に帰された。
タリスはリッキーの目の前に引きずり出され、その力の差に絶望しながらも尊厳と精神を破壊させれられる。
全てが終わった後に、再び学校へ行き雛の尊厳を破壊しつくして彼女を学園から追い出せと指令を受けた。
従う他、無かった。
命令を受けた通り彼女の尊厳を破壊しつくすように情報を操作し、ひたすら彼女を追い詰めた。
何度自殺を考えたかわからないほど苦しみを覚えた。
しかし、彼女は最後まで心が折れなかった。
周りからの監視がない瞬間に、無言でタリスを抱きしめ「私はわかっているからね」と言われそしてそのまま彼女はあらゆる誹謗中傷や情報操作に立ち向かい、気高くあり続けた。
そして、リッキーはキレてしまった。
リッキーは、彼女の殺害を命令した。

命令は絶対、逆らうことはできない。
逆らったところで、リッキーは下種な男たちに乱暴したうえで殺すように指令を出していた。
自分では守り切れない状況故に、もう、彼自身が手をかけるしかなかった。
彼女の尊厳を守るために、人のいない廃FHセル事務所に連れ込む。
監視の目を恐れて最後まで完全演技を通し、無慈悲に殺害を行おうとしたとき、彼女はタリスを抱きしめた。
彼女から、自分が苦しんでいること、リッキーによって苦しめられていたこと、そのために自分を使われていること、全て理解し、知っていたうえで毅然としていた。あなたが受ける苦しみに来るべたら、私の苦しみなんて...
そういった告白を受け、耐えきれなくなり完全演技を解き本音で話す。
彼女を愛していること、殺す以外の選択肢をとれるならどれだけ幸せかということ、彼女がいない明日などいらないと思っていること。
全てを赤裸々に話し、そしてお互いに最後の愛を確かめた。
覚悟を決め、全ての感情を押し殺し彼女が苦しまない即死の形で頭を撃ちぬいて殺害した。
死した彼女を抱き、サイレンの魔女もかくやというほどの慟哭をあげ最後の涙を流した。
この後に行われるであろう、リッキーの命令による彼女の遺体への冒涜的な行いを思い浮かべながら、リッキーへの殺意を確かにした。

時は流れ、彼女の思いを胸に今日も"彼女の見たかった今日"を胸に刻むため日々を生き続けた。
時に、クロドヴァでの要人暗殺やら、ナイトメアプリズンの調査潜入やらで何度も死ぬ思いを重ねてきた。
それでも雛との日々を胸に今日も生きている。
いずれ、あの狂った女を殺し、檻から逃れ本当の自由を得られるまで。

現在は、リッキーの命令により大雲支部の支部長である段堂涯のもとで働くことになっており日々喧々諤々とした毎日を過ごしている。
支部の中では事務仕事やバックアップを行いつつ、敵の全滅も担うオールラウンダーであるがオールラウンダーであるせいでブラックドックにもかかわらず非常に打たれ弱い。
やれることの役割としては、潜入工作、破壊工作などの工作員としての役割が主である。
戦闘はショットガンのため必然的に近距離になりがちのため余計に打たれ弱くなっている。

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