容姿・経歴・その他メモ

青髪、短髪。瞳の色は茶色である。童顔でよく女子と間違えられるが、れっきとした男。声も高いわけではないので、よく初対面の人と話すときは驚かれる。背丈は高校生男子の平均身長よりも低く、顔も相まってよく間違えられる。

左腕に包帯を巻いており、その下には異形と化した腕が隠れている。その腕はまるで獰猛な霊長類の形をしている。

普段は服装について特に気を付けてはいないが、FHの任務をこなす際はどこからともなく黄色のレインコートを被り、身元を隠して任務を遂行している。レインコートの袖から覗く猿のような腕、その腕から繰り出される冷酷無比な一撃や相手に対して容赦のない対処からいつしか『猿の手【レイニー・デヴィル】』と呼ばれている。

幼少期、彼は運動神経がよく、友人たちと走って過ごしていた。ある日、彼は体躯の授業で行われたかけっこに負けてしまう。それは彼にとってとても屈辱的なことであった。悔しかった。自分が足の速さで誰かに負けることが許せなかった。そしてベッドの中で彼は願った。『誰にも負けないほど自分の足を速くしてください』と。

偶然か必然か。その時、彼はオーヴァードへ覚醒した。しかし、その代償として彼の左腕は悪魔に浸食されたのだった。その日以来、部屋に引きこもり始めた。彼は無意識のうちに自身のオーヴァードを理解していた。この腕はいつか他人を傷つけ、何もかもをぶち壊していしまうことを。だが彼の両親はそんな彼に優しく接し、親身になって対応した。いつか彼の口から悩みを打ち明けてくれる、その扉を開いて私たちに顔を見せてくれることを祈って。

しかしその祈りが届くことはなかった。彼は両親を事故で失った。車の正面衝突、即死だったそうだ。彼は胸の中に隠した闇を話す機会を失ってしまったのだった。

通夜で彼は両親と懇意であった人物、FHの人間『都築 京香』に出会う。彼は自分の左腕を一目見ただけで彼が持つ"万物を殺す才能"を見抜くと、こう話を持ち掛けた。

「私たちの元でその力、使いませんか？」

その言葉を頼って、自身を引き取ってくれた祖母に黙ってFHへと加入することとなる。

その後、彼は学生として生きていく裏でFHとして様々な任務へ赴くこととなった。その類まれな力を使って数々の任務をこなしていった。『沼地 蝋也』とはそんな中であった。FHチルドレンである沼地とは歳が近いこともあり、すぐに仲良くなった。一人では成すことのできない任務でも二人でなら達成できる。お互いがお互いを信頼するのに時間はかからなかった。

しかし、悲劇は唐突に訪れる。ある日、いつものように任務を二人でこなしている最中、武蔵の左腕が暴走した。彼は今でもその時を鮮明に覚えている。憎い。憎い。憎い憎い憎い憎い憎い―――。ただその一心で彼は目に映るすべてを壊した。それは頼りにしていた、信頼していた蝋也も例外ではなかった。

彼が意識を取り戻したとき、すべては終わっていた。討伐すべき敵もともに戦うはずだった仲間もおらず、そこには彼しかたっていなかった。

結果的に任務は達成し、蝋也も死に至ることはなかった。しかし彼は怪我を理由に戦線を離脱、FHを抜けることとなった。彼に一生消えない傷を負わせた。彼の居場所であるFHから去ることを強制させた。この事実は彼の心の中で消えることのない傷となった。

今日も彼は消えない悔悟の感情を胸に抱え、『猿の手』として任務へと足を運ぶ。

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