幼いころから資産家の娘として大事に大事に育てられてきた。しかしそれゆえに世間知らずでヒトとの距離感を測りかねておりクラスでも孤立していた。
たまに話しかけてくれる人物もいたが本人の性格のせいで心には思ってもいないのに棘のある言葉を言ってしまい次第に話しかける人物も減っていった。
そんな彼女を誰が言ったか「氷の女王」、本人は気にしていないと語るが、コードネームからして気にしてないわけがない。

春は海冬にとって唯一の友人だった。学校に通えない彼女と学校に居場所のない海冬、少なくとも海冬にとっては春だけが本当の自分を出せる唯一の相手だった。
中学も二年に上がったころ、同性愛というものを知った。海冬には春に対する感情が、友情を超えているものとすぐに理解できた、彼女のことが本当に好きだった。これが普通じゃないってことも、理解していた。
この気持ちを伝えればこの関係は壊れてしまうかもしれない。彼女の心は薄氷のように脆い、壊れてしまうかもしれないなら、いっそ伝えなければいいのだ。

彼女の放つ冷気は彼女の周りをすべて凍らせる、彼女の氷の中では生き物は動くことも許されない。
その強力な冷気は自身をも凍てつかせる。彼女の体内のレネゲイドが凍り付き、その髪色を白に染め上げる。
見る相手を劈くその瞳はまさに「氷の女王」そのものだ。