キメラティックおきつねロリババア。名前は剥き身の栗に色が似ていたため。

　千年前、暴れていたら検怪異使に退治されて「次に名前を呼ばれるまで反省」を言い渡された。
　その検怪異使がそのことを忘れていたため千年間封印され続けた。

　1970年に偶然「こっくりさん」が流行して封印解除。
　千年の間に丸くなって今はむしろ縄張りの中の人間を守って暮らしている。

　孤独の反動で名前を呼ばれるのが好き。

　どんな動物の力も使えるというより、捕食した動物の遺伝子から身体的特徴を再現しているイメージ。それぞれの動物の長所を取り込んでいる。

　被捕食者よりも捕食者のほうが戦闘に適しているため、そちらを再現することが多い。
　特にイヌ科の耳や鼻などの感覚器官は使いやすく、常に複数種再現している。

　一見人間に見えるが、それは人間の長所である知能(脳)、コミュニケーション能力(口と耳)、器用さ(手)、投擲能力(肩)を取り入れているだけであり、他の部位は別の動物。また、人間の文化である料理を享受するために舌と顎も戦闘時以外は人間のものを使っている。

　尻尾にはティラノサウルスのものが紛れ込んでいるが、これはジュラシックレコードを食べた際に遺伝子を取り込んだため。

　時は平安時代。
　餓死した一匹の子ぎつねにレネゲイドウィルスが感染し、レネゲイドビーイングとして覚醒した。

　覚醒の直後でわけも分からず歩き回っている子狐だったが、親を亡くして泣いていると勘違いした老夫婦に拾われ、飼われることになった。
　老夫婦は栗の剥き身のような色合いであることから「小栗(こくり)」と名付け、たいそう可愛がった。


　しかし、幸せは長くは続かない。
　ある時、腹を減らした小栗が林にいた狸を食べて帰ってくると、耳一対と尻尾一本が増えて帰ってきた。
　老夫婦は驚いたものの変わらず小栗を可愛がったが、他の村人たちはそうもいかなかった。普通に化物なので。

　何とかその場は収まったが、小栗の空腹は収められない。狗を食い、鷲を食い、狩に行くたびに部位数が増えて帰ってくる。
　ついには村を上げての大騒動となり、老夫婦は化物を呼び込んだとして殺されてしまった。

　親とも思っていた老夫婦を殺された小栗は怒り狂い(ジャームにはなってないたぶん)村人たちを食い殺した。
　さらには村に近づく人間を殺しはじめ、「人食いの化け狐」として畏れられるようになった。


　そんな妖怪の話は京の都にも届き、退治のために検怪異使(けがいし。平安時代のUGNエージェント的な奴)が派遣された。
　もう自分に勝てるものなどいないと調子こき丸していた小栗だったが、ボコボコにされる。

　翻って情けなく命乞いをする小栗に対して検怪異使は情状酌量の余地ありと見て一時的な封印措置に留めることの決定。
　その際、「刑期を終えたら名前を呼ぶので、それまで出てきてはならない」と縛りを入れられた。

　なお、検怪異使は小栗のことを完全に忘れており、地域の人々にも「次に自分が来るまで名前を呼ばないこと」とだけ伝えていたため千年封印されることになった。
　封印処置のその影には八百比丘尼こと都築京香の暗躍があったりなかったりするらしい。


　そのため、付近の地域では現代でも「名前を呼んではいけない化け狐」として伝承に残っている。
　封印された社は六耳神社として現代のA市に存在し、近場の小学生が六耳狐神と名を呼び「なんもでねぇじゃん」と笑う風景がよく見られる。


　一方小栗は、待てど暮らせど誰も名前(こくり)を呼ばず、なんかもう色々と嫌になったので1000年ふて寝を続けていた。
　しかし、偶然にも1970年ごろ「こっくりさん」の占いが日本全国で流行り、眠っていた小栗は何故か唐突に自分の名前が呼ばれたので飛び起きることになった。

　さすがに1000年で怒りも薄れ丸くなり、狭い社から出られた喜びもあって人を見てすぐさま襲うことはない。
　むしろ名前を呼ばれると嬉しそうに寄っていき、行った先で占いをしていれば能力(鋭敏感覚)を使って集めた情報を教えてくれる。
　このため、こっくりさんが廃れた現在でもA市では本当に起こる霊現象として子供たちに畏れられながら怖いもの見たさで使われている。

　10歳ほどの見た目の子供に狐・狗・狸の耳と鳥の翼、諸々の動物の尻尾を生やしたキメラティックこっくりさん。
　ベースは狐なので体毛は黄・白・黒。
　狐以外の他の部位は食べた他の動物の長所を能力で取り込んでいる。


　口調は分かりやすさ優先で「のじゃ」
　人間のことは「人の子」と呼ぶ

「むむむ、わしを呼ぶ声が……。人気者はつらいのう♪」
「しかし、わざわざ硬貨で筆談もどきの方法で応えなけれいけないとは、人の子の作法はよく分らんわい」
「なになに、"ケイスケ君の好きな人は誰ですか？"か。知らんが……誰じゃケイスケ……」
「"しらん"っと……」


　子供っぽい性格で乗せられやすい。ただ、知能は人間並みにあるのでバカというわけではない。
　年齢は約1000歳だが、封印されて身動きが取れない期間も約1000年なので実際のところババアと言えるほど人生(狐生？)経験は積んでいない。
　こっくりさんが偶然流行るまで1000年間名前を忘れられていたので名前を呼ばれるのが好き(本名で呼ばれるのが好きであって二つ名や別名を呼ばれるのはむしろ嫌い)。
　好きな食べ物は人間の料理全般。料理を享受するために人間の姿を真似ている。