それはただ存在するものを溶かすだけじゃなく、空間どころか、『概念』すらをも侵蝕させることが確認された。前例として。『悪魔』同士との戦いで、『者』と『モノ』どの『繋がり』を腐らせて、悪魔の『魂』そのものにでさえ腐食を行った。
　理論上はもはやなんでもありで、宇宙そのものを歪めかねないほどの力で、一部からは『即刻始末するべき存在』と揶揄されているが、それを可能にするほどの出力は現実的不可能で、現在の彼女は己の意志をもって力をコントロールしているため、上層部からは一旦『様子見』という形で彼女の行動を自由にさせている。

ーー世界を瀆す毒の一欠片。安定を否定する、冒涜の腐れ。

　文字通り「穢れ」であり、世界を蝕む「癌」のような存在、「十穢」の九。刻まれたの名は｜『不浄大公』《リリス》。
　長身の痩せ細る、中性的な姿を持つ。いつもは表情が薄いのだが、他人を見下したり、嘲笑う時にだけ生き生きと口角を上がる。
　他の悪魔と同じく『契約』を重んじているが、他の悪魔と違って『比較的平等』に契約することが多く、必要な代償は『大体』示している。
　事故に会って瀕死…もとい死亡体験をした悲涙の元に現れ、生き返らせるかわりに依り代となる契約を持ちかけた。当時はまだ幼く、死を恐れていた彼女は怯えながらも了承して、彼女がオーヴァードとして覚醒させた。元は常に我関せずと後ろで傍観し続けているだけだが、｜『同胞』《悪魔》との戦いの中で悲涙との再契約の中に『必要であればこの命を差し出してもいい、だからこれからも助けてほしい』が含まれているため、最近は時々協力する一面を見せている。そんな関係の中、支部の誰かが言ったのか、いつも言葉は足りてないが、もしかして面倒見がいいのでは…という声が上がっていたりするが、真偽は不明。
　悪魔よろしく、彼には様々な眷属が存在している、とはいえ彼曰く「眷属というより、自分含め一個の箱に積み込んだ『パーツの一つ』で、姿形は違うが、皆同じ存在に近い」とのこと。そのどれもが骸骨やゾンビ、幽霊など、西洋風のホラーテイストがかなり強めな外見をしているが、これも悲涙の制御下においたせいか、最近ではわりとお助け小動物として働いてたりしてる(尚外見は相変わらずのためかなり人が選ぶ模様)。
　

　最近は任務で負傷してしまった先輩のかわりに、一時的に任務を請け負うことになってしまった、最初はかなり後ろめたく、何かしらの出来事を気にさっさと辞退し、任務から降りようとしたけど、先輩の後押しや、その間にできた小さな人間関係のおかげで、もう少しだけ頑張ってみようと思い至り、件の長時間の任務を正式的受けることにした。
　現在はその支部に居候をしており、裏庭の一部を借りて、小さな農場を作り、野菜や米を育てようとしている(それに釣られて寄ってきた小動物達も)。いつも怯えてたりオドオドしていたり、後ろめたい姿ばかりだが、あそこにいる時にはまた違う一面が見れることができるかもしれない。

　命の危機を晒し、さらには自分のせいで先輩を死の淵まで追い込んでしまったことに、一度絶望し、心を閉ざした。それを利用し、彼女の心の奥に潜む｜「悪魔」《RB》が本格的な活動を開始した。一応現在の時点では味方として立ち回ってはいるのだが、結局真意は未だ不明にある。少なくともジャームになりかけている悲涙の精神を一時封印していたことによって現に今こうして生きながらえる。
　精神が崩壊しかけたが、仲間たちの励まし(多少はちょっと手段は激しいどころもあるけど)のおかげで立ち直り、さらには厳しい事情においても逃げずに立ち向かえれるよう、精神が飛躍的な成長を得た。さらに今回の事件機に、『例え誰であっても、どのような状況であってもその人に手を伸ばしたい』という悩みに悩んだ自分のやりたいことを見つけた。自分のように酷い過去によってその人生も性格歪められた人も、心を閉ざした人も、たとえ人間であることを辞めようとしているモノであったとしても、彼女は手を差し伸べ、その人の言葉に耳を傾ける。

「どこかでまた折れることもあるかもしれない、でも…私は、今これがしたい」

　追記：どうやら今回の件で「悪魔」と再契約を行っている模様、其れによってか、はたまた彼女の精神的成長によるものか、今まで以上に力の制御が出来ている様子。今では暴れない程度に手綱を握りながら、普段でも『悪魔達』を呼び出し、何かしらに手伝わせるようにしている様子。

　慕ってる先輩を見送り、これからは一人で(はないけど)頑張ると思う矢先……意外！それは堂々のストーカー宣言！
　と、開幕早々カオスな状態だが、一度任務に失敗したり、最終的に桜花がさらわれて、「覚悟と理想はあるがそれに伴う力も経験もない」現実を突きつけらて、さらには『誰にでも手を差し伸べたい』といいながら、元・マスターマリオネッターや淡墨雪待などの許されざる行為に対して『名状しがたいドス黒い感情』を覚えられ、自分の行動原理に対して矛盾を感じてしまう。すぐに立ち直って、力がなかったら身につけると、あれから毎日特訓を続けているけど、心の矛盾に関しては明確な答えは未だ見つけておらず、今でも毎晩一人でいる間はずっと悩み続けている。それでもこの件から逃げていなかったり、挫けてないあたり、今までの彼女とは違う成長が見て取れるだろう。
　最後の戦い、果たして彼女はどういう選択をするのだろうかーー