男とも女とも形容しがたい見た目のレネゲイドビーイング。「男だ」と言われればそう見えるし、「女だ」と言われてもそう見える。（中性的とも言う）
　『謎』という古今東西、四六始終発生する概念的なものから発生する。『謎』から発生したRBは数多く存在し、それぞれが別々の『謎』から発生したと考えられる。
　『謎』とはすぐに問い詰めればバレてしまうちょっとした隠し事から強固な迷宮入り密室殺人事件、果てには世界の真理といったものも指す。基本的に『謎』は起源となった『謎』の解明しやすさによって強度が変わると思われる。
　前述した『謎』を例に推測されている『謎』の強度を挙げる。ちょっとした隠し事を起源としたRBは発生直後に地球の環境に適応できずに死滅した。強固な迷宮入り密室殺人事件が起源だと、エリートオーヴァーのUGN関係者が数人分束にならないと倒せない。世界の真理を起源とする『謎』は…我々にできることは三つのみと推測されている。はじめに発生しないことを祈り、次に我々人類の敵とならないことを祈り、最後に自分の身の安全を祈るしかない。
　『謎』に共通する生態として、「『謎』を解明し捕食する魔人がいる」と異口同音に研究者に伝え、そしてその存在に怯える点があげられる。我々研究者としては「『謎』を捕食する」「『謎』を解明する」という点にそそられるが…残念ながらそのような存在は今のところ確認されていない。正直言って残念だ。
　当組織は、暫定的にレネゲイドビーイング：レジェンドとここに分類す。

　No.069は戸籍上では「伏魔殿カラビア」と登録されている『謎』のRBの一つである。『謎』を喰う魔人に怯え、UGNの扉を叩いたようだ。人類と同じ知能を持ち、UGNイリーガルとして活動できるほどの『謎』を秘めていることには間違いないはずである。
　『この個体、No.069は『謎』を起源とするRBの中でも唯一「プランナー」都筑京香と長期間接触した個体だ。このことからNo.069は特別な個体であると我々は仮定した。これから様々な実験をNo.069に実行し、少しでも重大な『謎』が解明できればなにか役立つかもしれない。
（中略）
　実験の成果は、No.069のレネゲイトウィルスが活性化した以外、失敗に終わった。あの手この手で秘めている『謎』を解き明かそうとしたが、そもそも我々は『謎』が秘めている『謎』を解き明かせた前例がない。中には拷問まがいの実験もあったが、それでも『謎』は解けなかった。むしろNo.069は『謎』がわからない我々の様子を見て面白そうな、一種の加虐的な表情が見受けられた。精神を病むものが数人現れたため、実験は凍結された。
　「プランナー」都筑京香と接触した記憶にヒントがあると思われたが、それも失敗に終わった。「完全に」記憶が抜け落ちている。No.069自身、該当の記憶を覚えていなかった。どこかに記憶しているはずだと、サイコメトラー能力者のオーヴァードに記憶を探らせたが…該当する記憶の部分だけ、まるでブラックホールに吸い込まれたかのように存在しない。

　現在、No.069はUGNエージェントやUGNチルドレンが多く所属する高校に通うことによって監視される生活を行っている。これは我々が匙を投げたのもあるが、深いわけもある。それは「『謎』を捕食する魔人」との接触を期待しているのもある。一見無防備な生活をNo.069が行っていれば、いずれ魔人はそれを嗅ぎ付けて姿を見せるかもしれない。
　魔人が姿を見せるまでの間、No.069には釣り餌となってもらおう。

ネウロのごはん。ちなみに069とはデカラビアをソロモン72柱の前から順に数えた数のはず。あと個人的にレネゲイトビーイングという『謎』を抱えてたら面白いなぁと思ってる。マジでやったら激ヤバものなので絶対やらないけどね…

『謎』の中でも「優しい嘘」をオリジンとするRB。その時が来るまで真実は闇の中に。その時が来れば真実を白日の下に。