彼女は思い出していない過去がある。
それは幼いながらに彼女の祖父によって実験体の1人として扱われたことだ。
小学生に上がる前、小さい彼女はわけも分からずに研究所に連れ込まれて監禁。多くの自身の従兄弟やきょうだいたちと共に躾という名の実験に苦しんでいた。
彼女の父もその実験体の1人であり、成功例でもあった。そんな男の娘であった彼女への期待は高く、さらに言うならば潜在能力が高い彼女は5年の月日をそこで無駄にすることとなる。
事態を重く見たUGNは研究所から子供たちの救出へ動くためにその道のプロフェッショナルへ依頼。彼女含めて多くの子供たちが保護された。
その記憶は幼い体に収めるには辛かっただろう。気がつくと全ての記憶が忘れ去られていた……その力の使い方以外。

ああ、これを見ているということは私の一言が残っていたのであろう。
これを見ている君たち、残念ながら私はもうすぐ死んでしまう。実験体として保護した彼女たちの全てを見る前に悲しいことだ……実験体の中でいつか未来でその力を開花するものたちがいる、その子たちに私は最後の贈り物をしようと思う……

『いつか花咲く君たちへ（Blossom Code）』
忘れないで、君たちに希望を託したものの名を……
記録者 ーー ー