アーツっていう組織は幼い俺を拐って、その足でそのまま六腑の研究所にぶち込んで行きやがった。
なんでも才能があるとかなんとか、そんなことで俺の人生のっけから狂わしてくれるんじゃねぇよ。
聞いたところによると、民衆を化け物から救うとか何とか言ってるらしいが、お前らが民衆に手を挙げちゃお仕舞いだろうが。

しかしてわざわざ拐うだけあって、潜在能力ってのは本当にあったらしい。
六腑の研究所で人道と非人道と生死の狭間を行ったり来たりして、諸々処置を受けた後は五臓の脾「スプリーン」に移されたその結果。
養成機関で5〜6年ほど扱かれる予定が、他の連中よりは比較的早めに脾「スプリーン」の養成機関からアーツの実行部隊に上がれた。
かと思ったら、数年後にはシルバーアーツへの昇進推薦があったのだ。トントン拍子とはこのことか。
その時に、自分の履歴を調べられる機会があったから調べてみたのよ。

調べなきゃ良かった。両親は俺を売ったっぽい。
いや、確定じゃないかもしれないけどさぁ。
確かにもう顔も覚えて無いけどさぁ…。
…決めた。落ち込みタイム終わり。考えても仕方ない。
シルバーアーツになって、ある程度自由に動けるようになったら、俺を産んだアイツらに会いに行こう。どういう経緯で可愛い息子をこんなトンチキ機関に売り付けたのか問い質してやろう。どんな顔をするか見ものだ。
さて、そうと決まればまずは目の前の課題をやっつけてやろう。

って意気込んで、推薦されてなんやかんや試験に合格するじゃん。
配属先を確認するじゃん。
見慣れない配属先の名前が書いてあるじゃん。は？
膵「パンクリース」ってどちら様？

確かに自分の性格的に心「ハート」とかは無理だと思ってたし？せいぜい肝「レバー」とか出来れば肺「ラングス」とか、その辺の上層部辺りにでも配属なら満足かなって思ってたんだけど。

いや、最強の部隊があるとか何とか、朧げながらそんな感じのふんわりした噂〜、程度には聞いていたけどさ。
そこに配属されるとは思わないじゃん…。
ただ、それだけ俺を買ってくれてるってのは有難い話だな。
期待されてるくらいの仕事は熟せると信じたいね。

でもって親切なことに、もうその辺の配属処理は済んでるっぽい。
ついでに俺の記録関連全部消去されたっぽい。
…ん、あれ？ってことはそれもしかして、俺の両親の記録追えなくなった感じ…？
目標立てた矢先に、全部消えたって？
その前途はあまりにも理不尽に多難過ぎやしませんか？
…うっそーん…。

如意棍槍
槍と節棍が組み合わさった専用武器で、念じることで節が増えて伸びたり曲がったりする六腑産の不思議な槍。
また、柄にアーツ等を埋め込むことが出来るため、コンパクト且つダイレクトに、武器に力を送り込める脳筋仕様。
本人はこれを用いることで、武器を伸ばして敵に近付いたり、攻撃の軌道を変えることでまとめて蹴散らす。