▼椿咲（つばき）
　現実世界に存在する、新童 椿咲（しんどう つばさ）の"基となった"人物。
　要領が悪く、誰よりも不器用だった少女。それ故に、多くの者に騙され、貶され、見下され、時には人でないように扱われ、劣等感と自己嫌悪ばかリが募っていった。そんな負の感情の蓄積を引き金に、彼女がオーヴァードに覚醒してしまう――最悪な形で。
　椿咲(つばき)の能力はキュマイラ/バロールのクロスブリード。その能力と精神の不安定さが災いし、彼女は"人の形を失ってしまった"。真っ黒な羽毛に覆われた体表、獣のごとき四肢、大きく突きだした嘴、そして自分を見つめ返す真っ赤な瞳。己の「成れの果て」を直視した時、彼女の心はついに限界を迎えた。
　そして、この地獄から抜け出すために、彼女はその身を空へと投げた。

　――が、しかし。彼女の最後の望みは叶わなかった。怪物となった彼女は、容易に死ぬことはできなくなっていた。眼前に広がる真っ赤な血溜まり、全身を打つ鋭い痛み。その現実が彼女の心を引き裂き、打ち砕いた。

　後に彼女はUGNに回収された。しかし、身体は死なずとも心は既に壊れ、廃人同然であった。そんな中、"心を喰らう者"が現れ、彼女の絶望に塗れた心に目をつける。"心を喰らう者"に蝕まれ、呑まれていく心。"にじのくじら"に拾われたときには、既にソレは椿咲(つばき)としての形を失い、"心の残滓"だけとなっていた。
　それでも"夢の主"は、"心の残滓"を見捨てなかった。夢へと取り込まれた少女たちの、そして自身の願いを託した。そうして生まれたのが、椿咲(つばさ)という少女だった。

　ありのままを受け入れてほしいという願い、見捨てられたくないという願い、家族と共にありたいという願い。三人の少女の願いから"新たに生まれた少女"、新童 椿咲(しんどう つばさ)。そして、己を、皆を救ってほしいという四人の少女の願いが、彼女を"勇者"にした。

▼色の由来【赤】
　怪物となり果て、死ぬことすら叶わなくなった椿咲(つばき)にとって忌むべき色、"赤色"。彼女の『諦め』の象徴。
　しかし、椿咲(つばさ)は椿咲(つばき)ではない。少女たちが求めたのは、自分たちを救ってくれる希望(ダレカ)。その希望こそが椿咲(つばさ)を生かす"血肉"。その願いに応えるために、彼女は絶対に『諦めない』。

▼モチーフ童話【みにくいアヒルの子】
　多くの者に蔑まれ、醜い姿と成り果て、最後には心すら失ってしまった少女。しかし、誰かの願いによって少女は生まれ変わった。美しい新たな"希望"として。