時系列：白が遺産に選ばれる前日、録音された次の日に人体実験により遺産の適合者として選ばれ声を失っており、師匠とも当日の朝にお守りとしてこのボイスレコーダーを渡されて以降行方不明となっている(白を助けるため、裏切った師匠が従う振りをして近隣のUGNを襲撃、その結果研究施設の場所が発覚し白は救出される。戦闘中に最後のロイスを失いジャーム化した師匠はUGNの施設にて凍結保管されている)

ザザッ...

ガチャ

少しのノイズ音の後、扉を開ける音が聞こえたかと思うと男性の「わっ」と驚く声がする

???「えへへ～、師匠おかえりなさい！！」

幼い少女の嬉しそうな高く澄んだ声が聞こえる。恐らく5～6歳ぐらいの少女だろうか

男性「こら、白。危ないっていつも言ってるだろう」

白「だって！！今日は師匠のお誕生日だよ！！お祝いする準備して待ってたんだから！！」

男性「わかった、わかった(笑)それなら、まずは家の中に入れてくれ(笑)」

白「うん！！早く、早く～」

2人分の足音と楽しそうな笑い声が聞こえる

白「はい！！師匠はこちらにどーぞ！！」

椅子を引いているのだろうか、ガタガタと音が響く

男性「はいはい（笑）」

男性の笑い声とカタンと椅子に座ったのであろう音が響く

白「では、改めて...師匠お誕生日おめでとう！！お祝いのお歌うたうね！！」

パタパタと足音がした後、わざとらしく可愛らしい咳払いが聞こえ、少女の歌声が響く

白「♪～～♪～～♪～～」

幼さはあるものの、少女の歌声は人の心を惹きつけるような神秘的な声

その後も歌や準備していたのであろうプレゼントや料理など、何度も何度も感想を聞く少女と楽しそうに返事を返す男性との会話

それが暫く続き、少女が疲れて眠ったのであろう、次第に男性の声のみになっていった

男性「全く、仕方ないな」

布のこすれる音と、男性の次第に遠ざかっていく足音から少女を寝室にでも運んであげているのであろう
暫くして、足音が近づいてくる

男性「まだまだ子供ってことだな（笑）」

男性の小さな笑い声が聞こえたかと思うと、それがピタリと止む

男性「白、お前は俺の可愛い可愛い愛弟子だ。今までもこれからも...。側にいてやれなくてごめん、守ってやれなくてごめん。これを聞いてる頃にはお前の声は変わってるだろう。もう、お前の澄んだ綺麗な声を覚えている人間なんて誰もいなくなる。俺以外には...お前だって大人になる頃には元の声を思い出せないだろうしな。だから、俺からの最後の贈り物としてこれを残す。お前にとってこれが幸せなのか不幸なのか今の俺にはわからない。けどな、絶対幸せになれよ。俺の分まで絶対に」

その言葉を最後に録音は終了された

(白は何が入っているのか知りません、聞くのが怖いのと聞いてしまうと師匠とは二度と会えないであろうことを受け入れなければならないと無意識に感じているため決して再生ボタンを押そうとはしない)

【Retrieve The True World】
～第1話“Arcanum Dolls”～
～第2話“Jail or Day Breaker”～
～第3話“Project Amalgam”～

久廻 灼晶
藤崎 えな
湊川　零翔