セイメイ・ザラキはアメリカの一般家庭に生まれた女の子だった。両親は父親が日本人、母親がアメリカ人で、「命に溢れた子になるように」という意味で「セイメイ」と名付けた。しかし彼女は生まれつきとても身体が弱く、長生きできないだろうと言われていた。それでも両親や彼女の兄は彼女をとても大切に育てた。暖かくて、幸せだった。

それが崩れ去ったのは、彼女の8歳の誕生日。家族だけでなく、友達や親戚がパーティにやってきて、楽しくて騒がしいひとときを過ごしていた。その時に彼女の前に現れたのが、マスティマ教団の教祖、モズルスだ。モズルスは彼女の目の前で両親や兄、親戚、友達を拷問にかけ、惨たらしく殺した。そして彼女も、神の試練だというその拷問を受け、死んだ。しかし、目が覚めた時、彼女は、見知らぬ男に保護されていた。オーヴァードとして目覚めたのだ。そしてその見知らぬ男はFHエージェントであり、彼女はFHに拾われた。

FHチルドレンとなった彼女の欲望、それはモズルスへの復讐だった。オーヴァードとなって身体の弱さを克服した彼女は、ただひたすらに力を追い求めた。無力だったあの日の自分を呪った。何も出来なかった自分を憎んだ。
力無きものは、力を持つものによって蹂躙される……齢8にして少女が悟ったのはそれだった。だからただ力を求めた、そのために過酷な戦場に身を起き続けた。死ぬことは悪だと、死んではならない、生き延びねばならない、生きて、力を手にしなければならない。そしてその力で、仇を打たねばならない。そのためだけに生きてきた。それしかなかった。
戦いの日々の中で酷使されボロボロになった身体を機械化することによって新たな力を得、そうして生きてきた。
そうしている間に"マスターサヴァイヴ"などと呼ばれることになった