容姿・経歴・その他メモ

対邪神決戦用人型掃討戦車(Anti Outer-God elimination humanoid tank)。
マンハッタン以降に製造された、神性をも殺しうる武装としてデザインされた決戦兵器。
ルカーン財団製造の対邪神決戦用自律思考戦闘知性体(Anti Outer-God Artificial Independent Combat Thinker)と設計思想を同じくする、邪神殺しの刃である。
その演算処理装置に自我が発生しオーヴァードとして覚醒したのが当該機体、コードネーム【霆槌(トールハンマー)】、個体識別名称スルーズである。
現在スルーズは、“叢(Murakumo)”赤羽 天との比較性能検証のため、マンハッタン直後多数の欠員が生じた東京都統括支部長の補充として練馬区に配属、ロールアウトに至った。

人類は邪神に対抗するためにあらゆる道徳を捨て去ってでも技術向上に邁進し、一刻も早く宇宙的外夷を排除すべきである、マンハッタンの惨劇はそれまで下火であった過激派の声を大きくし、UGN内であっても一部では倫理を嘲笑するかのような実験が強行されるに至った。
その内のひとつが、神性にすら通用する対邪神兵装『抗神兵器』の開発である。
邪神を殺す超火力という観点から、中枢評議会(アクシズ)有する衛星軌道粒子光線兵器(ドーンハンマー)を陸戦転用する計画が立ち上がった。
しかし、衛星軌道上と地上ではエネルギー収束や排熱、安全性確保等の問題点からほとんどの場合、サイズに対して要求性能を下回る。
唯一要求性能を満たすのは、人間のサイズのみ。
直に抗神兵器搭載大規模火力人型戦車の開発が始まったが、人間大のサイズとなると今度は既存の演算処理装置では性能が足りなくなる。
そしてUGNは1つ目の倫理の放棄―――人間の、ノイマンシンドローム発症オーヴァードの大脳を複数加工してネットワークを構築した生体演算処理装置の開発に着手した。
結果として既存ハードを大きく上回る性能を持つ演算処理装置の開発は成功したが、問題はまだ尽きない。
複数の脳によるネットワークはその管理そのものに多大なリソースを必要とし、要求性能を満たすとなると肥大化して要求サイズを満たさない。
UGNは、倫理の次のページを破り捨てることを決めた。
ラットに拠る実験の結果、加工される前に共同生活を行ったことがある幼いラット同士でネットワークを形成した場合、管理に必要なリソースが激減することが分かった。
UGN影響下の孤児院から、ノイマンシンドロームを発症した子供が30名集められた。
子供たちは何も知らない、ただ特別な学校に通うだけだと説明されていた。

人類存続を大義名分として、30人の子供が死んだ。
これはそういう、よくある話だ。
まだ生きている(still alive)人々のために、潰され、加工され、ひとつの脳となった子供たちはひとつの脳になって、新たな自我を確立して今を生きている(still alive)。



https://www.youtube.com/watch?v=pY-FbKsMcfE

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