おぼろげな記憶の中で、手を引いたことを覚えている。
しゃがみこんだその子に手を差し伸べたのは、学校で習った道徳に従ってのことだった。
ちょうど困ってる人を助けたい気分だったのだ。
一緒になって助けてくれる大人を探して、街を歩くうちに夕方になっていた。
マイケルも一度家に帰らなければいけなくなった。
「必ずまたここに来るから」
そう言ってその子の元を離れると、大人が駆け寄りやがて手を繋いでいった。
その後、マイケルの元へ警察官が訪れた。
たくさんの話をしたが、確信したのはあの子は助けられなかったということだ。

もうひとつ確かなのはこの体験がマイケルの運命を分けたということだ。
以来マイケルは誰かを助ける道を求めて、やがて医者を志した。

自らに芽生えた力に気づいたのは、その後のことだった。

1話「宍骨ビル裏殺人事件」

◆トレーラー
宍骨ビル裏で発生した殺人事件＿＿
犯人の自首で終わったはずのその事件は、
オーヴァード関与の証拠が発見されたことで
新たな顔を見せ始めていた

警察内部に蔓延る不穏な空気
忍び寄る"敵"の魔の手
暗躍しているのは何者か
操作は混迷を極め、
陰謀だけが跋扈する＿＿

DX3rd「宍骨ビル裏殺人事件」

ダブルクロス＿＿
それは裏切りを意味する言葉

■ステージ
基本ステージを使用する。
東京都腑川（ふかわ）区を舞台とする。

■シナリオハンドアウト
各PCには以下の設定がつく。
キャラクター作成時にプレイヤーとよく相談すること。
PC③：東京都腑川区に病院を持つ開業医。R担やUGNに協力することがある。組織（UGN含む）に属するワークス不可。

〇ハンドアウト
PC③　ロイス：初山 羊助(はつやま ようすけ)　推奨感情　P/N：感服/嫌悪
キミは医師である。表向きはどこにでもある町医者として営業する傍ら、UGNと連携してオーヴァードの患者も診る、という二重生活を続けている。＿＿そして時に、検死の仕事が舞い込むこともある。
その日キミが見たのは、初山羊助という、男の死体だった。その惨状は一目で超常の力の関与が分かるほどであり、だからキミは警察につたえたのだ、この件はUGNに任せるべきだ、と。しかし、その直後、キミは警察官に扮した何者かの力によって意識を失った。
意識を取り戻したときには、半月の時が経ち、その事件は警察だけで「解決した」ことになっていた。そしてキミはすぐに自覚する、キミが意識を失っていた間、キミは操られていたのだと！