個体番号：P-07-7390-A，P-07-7390-B
氏名：影平　現縁
　　　　　　常縁

■月■日
　Project: Ewiger-Sklaveにより、両名ともにウロボロスシンドロームを移植することに成功。頭髪の色素が抜け落ちた以外は特に異常は見られず、順応度は良好。コードウェル博士からのさらなる指令を受けるまで経過観察とする。

■月■日
　身体能力テスト。ウロボロスシンドロームを移植する前よりも遥かに運動能力が向上している。P-07-7390-Aの方がやや上をいくが、並大抵のオーヴァードではこの2体には敵わないだろう。
　耐久テスト。斬撃、水没、殴打、圧迫、あらゆる方法で身体の耐久を調査する。両個体とも最高でも10分程で体組織が修復完了している。レネゲイドウィルスの活性度は移植前とさほど変わらないようだ。
　レネゲイドウィルス適性検査。P-07-7390-Bの方が繊細な作業が向いている様だが、しばらく観察するとお互い暴走し始めたため麻酔銃で昏倒させる。暴走した際、P-07-7390-Aの身体が白い獣へと変化する様子が見て取れた。文献にあった輪廻の獣(アルマ・レグナム)と推察する。

＝中略＝

■月■日
　コードウェル博士から返信が来た。どうやらP-07-7390-Aは輪廻の獣(アルマ・レグナム)で間違いない。P-07-7390-Bに関しては、先行種(アンリミテッドエボルブ)という種であるらしい。レネゲイドの”進化”した種であり、願望を実現するための強力な力を持つレネゲイドなのだという。
　この短期間で2個体も成功例ができたのは我々も運がいい。引き続き経過を見守るとともに、実験を進めていく。

「…なあ。」
「どうした？なんかまた言われたか？」
「いや、そうじゃない。」
「じゃああれか。右目の傷がまだ痛むとか？」
「違う。どうして自分なんかに構うんだ。私はFHの人間でここを崩壊させようとした人間だ。」
「…んー、結果的に崩壊してないからいいじゃん。それに、俺はまだお前のこと友達だと思ってる。お前は違うのか？」
「……それは…分からない。」
「そっか。じゃあ、いつかお前がまた俺のことを友達だって言ってくれる日を待ってるよ。」

「…もしもし。」
「お、常縁？俺だよ、俺。」
「俺と言う名前の知り合いはいないな。」
「はは、厳しいな。緋月だよ。」
「…知っている。要件は？本部の方は忙しいんじゃないのか？」
「確かに、まあ忙しい。最近FHの動きも活発になってる。お前の昔いた”使徒”も例外はない。」
「…そうか。」
「そこで、今度日本に帰ることになった。丁度、N市にもよるから顔を出すよ。」
「来るな。忙しいんだろう。」
「まぁいいじゃないか。ずっと仕事だけはきついぜ？」
「…はぁ、分かったよ。寝床の準備はしておこう。どうせ泊まるんだろ。」
「よく分かってんじゃん。」
「君の友人だからね。」