ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

空洞 藍惟 - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

傀儡廻師(クグツマワシ)空洞 藍惟(くどうあゐ)

プレイヤー:さなっぺ

 「我は、もう一人ではありませんので。

年齢
18
性別
星座
双子座
身長
164cm
体重
48kg
血液型
ワークス
司武
カヴァー
ブリード
ピュアブリード
シンドローム
エグザイル
HP最大値
29
常備化ポイント
4
財産ポイント
4
行動値
5
戦闘移動
10
全力移動
20

経験点

消費
+76
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 妹がいた。
姉妹
経験 人体解剖とその理解
邂逅
覚醒 侵蝕値 彼女は識りたがった。人体の持つ根源的な仕組みを。
渇望 17
衝動 侵蝕値 足りない。まだ足りない。どれだけ識ろうとも、まだ満ち足りない。
飢餓 14
侵蝕率基本値31

能力値

肉体4 感覚2 精神1 社会2
シンドローム2×2 シンドローム1×2 シンドローム0×2 シンドローム1×2
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵4 射撃 RC 交渉
回避 知覚 意志 調達
情報:UGN1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 申し子 インターセプト取得
伽耶 慈愛 偏愛 死んでしまった妹
離界 傾倒 偏愛 道を示してくれた恩師
園の子供たち 庇護 偏愛 愛しい子供たち
庇護 嫉妬
るえん 庇護 不安
タマモ 憧憬 憎悪

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
美しき罪人 1 常時 自動成功 自身
いつもすっげえめんこい
生体侵入 1 メジャーアクション 自動成功 単体 至近 4
他社の体内に入り込む。対象が戦闘不能状態や睡眠状態である必要がある。EA71p
異能の指先 1 メジャーアクション 自動成功 単体 至近 3
神経系に侵入して、相手の記憶を読み取る。相手に抵抗の意思がある状態では使用できない。
インターセプト 1 イニシアチブ 自動成功 6 Dロイス
イニシアチブプロセスにメインプロセスを行う シナリオ1回
ヒュドラの怒り 1 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 4 100%
ラウンドの間メジャーアクションの判定ダイス+3個、攻撃力+[LV*3]、自身に暴走付与
貪欲なる拳 2 メジャーアクション 〈白兵〉 対決 武器 3
組み合わせた白兵攻撃のダイス+[LV+1]個
エンダンクル 1 メジャーアクション 〈白兵〉 対決 武器 2
白兵攻撃でHPダメージを与えた場合、重圧を与える。シーンLv回
踊る髪 1 メジャーアクション 〈白兵〉〈射撃〉 対決 武器 2
与ダメ時、硬直付与
伸縮腕 2 メジャーアクション 〈白兵〉 対決 視界 2
射程を視界 ダイス-[3-Lv](最大0)
妖の招き 1 メジャーアクション 〈白兵〉 対決 単体 20m 2
白兵与ダメ時、対象を同エンゲージへ Lv回/シーン
死神の手 2 メジャーアクション 〈白兵〉〈射撃〉 対決 武器 4 80%
Atk+[Lv*4] 素手or《骨の銃》のみ
ジャイアントグロウス 1 メジャーアクション 自動成功 範囲(選択) 視界 5 100%
白兵攻撃の対象を範囲(選択)に変更し、攻撃力を+2Dする。 シナリオLv回
コンセントレイト:エグザイル 2 メジャーアクション シンドローム 対決 2
がらんどうの肉体 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 2 ピュア
被ダメ-[Lv+2]D10 1回/ラウンド
異形の加護 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 4
被ダメ軽減エフェクトと同時に使用 効果を+3Dする 1回/ラ 暴走時、回数制限無視
デモンズウェブ 1 オートアクション 自動成功 単体 10m 3 80%
対象の被ダメ -[Lv+1]D10 1回/ラウンド

コンボ

操奏奇傀 "贋作ノ腕"

組み合わせ
《貪欲なる拳lv2/伸縮腕lv2/コンセ:エグザイルlv2》[7]〔単体/視界〕
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
7
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
4+2
8
4
100%以上
4+4
7
4

箱から出でしその人形に片腕はなく、しかしどこまでも透き通るように美しい体躯であった。目を奪われたら最後、その一挙手一投足から目を離すことはできない。例えそれが、どれだけ奇怪な動きであろうと。その左腕が捉えるは、己が主人に仇なす自無人のみである。

操奏奇傀 "贋作ノ腕・妖"

組み合わせ
《貪欲なる拳lv2/エンダンクルlv1/踊る髪lv1/伸縮腕lv2/妖の招きv1/コンセ:エグザイルlv2》[11]〔単体/視界〕与ダメ時、重圧+硬直付与 白兵与ダメ時、対象を同エンゲージへ移動 1回/シーン
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
20m
侵蝕値
11
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
4+2
8
4
100%以上
4+4
7
4

『捕らえられた』。人形に触れられた直後、確かにそう感じた。その刹那、自身の身体に無数の見えざる糸のようなものが張り巡らされていることに気がつく。しかしもう遅い。もう捕らえられてしまった。既にその身体は自分のものに在らず。何者かに手招かれるように、心の臓を掴まれるように、傀儡廻のもとへと、ただ操られゆくのみである。

操奏奇傀 "贋作ノ腕・歪"

組み合わせ
《貪欲なる拳lv2/エンダンクルlv1/踊る髪lv1/伸縮腕lv2/死神の手lv2/ジャイアントグロウスlv1/妖の招きlv1/コンセ:エグザイルlv2》[22]〔範囲選択/視界〕ドッジ-1dx 与ダメ時、重圧+硬直付与 白兵与ダメ時、対象を同エンゲージへ移動 1回/シーン(ジャイアントグロウス;lv回/シナ)
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
20m
侵蝕値
22
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%以上
4+4
7
4
12+2d10
160%以上
4+5
7
4
16+2d10

《100%以上コンボ》
ガキ、ゴキ…、と。歪な音が響く。骨が砕けるようなその音は、伽藍堂の身体の中を反響する。紡ぐように、繋ぐように。傀儡廻師の十の指が宙を舞う。そうして編み出した死神の腕は、世にも恐ろしい形状をしていた。地に着くほどの巨大な鉤爪が地面に轍を作りながら、ゆらり、ゆらりと近づく。決して素早い動きではない。そして、ゆっくりと歪で美しいその腕は振り下ろされた。

操態秘術 "伽藍ノ洞"

組み合わせ
《がらんどうの肉体lv1》[2]〔自身/至近〕被ダメ-[Lv+2]D10 1回/ラ
タイミング
オートアクション
技能
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
2
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

その感触には違和感があった。確かに攻撃が当たった。しかし、肉を抉る感覚、骨の砕ける音、痛みに苦しむうめき声。そのどれもが実感として得られない。そうして立ち上がる傀儡廻師。そこにいるのは人間か傀儡か、はたまた妖かーーー。その肉体は‟がらんどう"であった。

操態秘術 "擬殻ノ装"

組み合わせ
《デモンズウェブlv1》[3]〔単体/10m〕対象の被ダメ -[Lv+1]D10 1回/ラ
タイミング
オートアクション
技能
難易度
自動成功
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
3
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

刹那、そこには隻腕の人形が立っていた。その左腕を突き出して、あなたを庇うようにそこにいた。「大丈夫です、あなたは何があっても、我が守ります。我と、伽耶で守ります」。遥か後方からかかる声。攻撃が止む。そこには傷一つない、左右非対称の美しい人形が立っていた。

操態奇術 "大断廻"

組み合わせ
《異形の加護lv1》[4]〔自身/至近〕被ダメ軽減エフェクトと同時に使用 効果を+3Dする 1回/ラ 暴走時回数制限無し
タイミング
オートアクション
技能
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
4
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

傀儡廻 "幕姫鬼"

組み合わせ
《ヒュドラの怒りlv1》[4]〔自身/至近〕ラウンドの間メジャーアクションの判定ダイス+3個、攻撃力+[LV*3]、自身に暴走付与
タイミング
セットアッププロセス
技能
難易度
対象
射程
侵蝕値
4
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

鼓動が高鳴る。血が沸き上がる。視界が徐々に赤に染まる。やがて糸は脈動し、その血で互いに結びつく。ふと、人形の表情が変わって見えた。まるでそれは、歪な笑みを浮かべた鬼のようだった。
“さあ、この舞台の幕を引こう。世にも美しい、鬼姫がやってくる”

操転擬曲 "藍瑠璃ノ舞"

組み合わせ
《インターセプトlv1》[6]〔自身/至近〕イニシアチブプロセスにメインプロセスを行う シナリオ1回
タイミング
イニシアチブ
技能
難易度
対象
射程
侵蝕値
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

藍惟の両の手が踊る。それに呼応するように人形が舞う。その場にいる誰もが、その動きに目を奪われた。その瞬間、この戦場は傀儡廻師によって掌握される。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 0 206 0 0 206 0/206
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

『藍より出でて藍より青し』
教えを受けた人が教えた人より優れること。弟子が師よりまさっていることにいう。


以下、書き途中

◆台詞っぽいの


「えと…あの、名を空洞と申します…。…以後、お見知り置きいただけると…幸いです」

「………それは、美しくありません…。」

「司武…我が、ですか? えと…すみません。辞退させてください。我よりもずっと適任な方はいらっしゃいます。染さんとか…。我はただの、しがない人形師ですから」

「離界様は、どうして我のようなものに、司武となるよう命じられたのでしょうか…」

「我は、掛け替えのない人たちを守りたく思います。離界様は我らを暗闇からお救いくださいました。離界様の希望であれば、例え命を落としたとしても、惜しくはありません。」

「子供たち…ですか…? 皆尊き命です。平等に生を受けるべきであり、守らなければなりません。と、離界様から説かれました。」

◆概要


空洞藍惟
人形師を生業とする家系に生まれた娘
臆病で自己否定気味。頼まれ事は一度目は断るが二度頼まれると断れない。
好きなもの:妹 動物 離界様
嫌いなもの:火 美しくないもの

幼い頃に幽嗣園の離界に拾われてから今までの間養子として育てられ、近く司武となった。
自身の体躯に合わない大きな籠を背負っている、気弱な女性。籠の中には、隻腕という点を除けばおよそ人と見紛うほど精巧に造られた雌型の人形が入っており、妖や自無人と相対する際に動き出す。
また幽嗣園の子供たちに人形芝居をしてみせる様子が度々目撃されている。人体構造をほぼ完全に理解している彼女が作り、操る人形は、本物の人間のそれと寸分違わぬ所作を見せ、そして恐ろしいほど美しい。過去に火事で家族を失った経験があるため、火に対して酷く恐怖する。

離界は、幼い頃に逢魔人となった藍惟を家族のように受け入れた恩人である。血の通った者は一人として生き残らなかったが、そんな藍惟を離界は実の娘のように育てた。逢魔人、自無人、妖、そして陰陽院。陰と陽の境目に立つ彼らのことを教えた。もっとも藍惟にはあまり理解の及ばない話であった。駐杜となった藍惟の初の自無人討伐任務の際、自らの片目と引き換えに藍惟の命を救った。

◆過去


地方で少々名のある人形師の家系の娘として生を受け、少しして妹の伽耶が生まれた。なお空洞とは人形師としての名跡であり、家の姓はまた別にある。

妹の伽耶は人形師として類稀なる才覚の持ち主だった。幼い頃から傀儡を自在に操り、姉である藍惟にもすぐに追いついた。なにより彼女はよく愛され、よく笑い、よく育った。両親や他の親族にとって、『空洞』を襲名し得ると期待したのは伽耶であった。
ただそれは藍惟にとっても喜ばしいことだった。妹を愛し、妹の幸せを何よりも想っていた藍惟は、伽耶の希望に満ちた未来を誰よりも祝福していた。そして伽耶も、そんな藍惟を大切に思っていた。

対して藍惟の関心は人形ではなく、人体にあった。
幼い頃に両親に黙って蔵に忍び込んだ際、藍惟はそこに置かれていた一体の人形と出会う。

その人形は、あまりにも人間であった。

片腕が欠損しており、関節や髪、瞳などは確かに紛い物である。しかしそれを見ていると、自分の手や脚などがいかに不出来で滑稽なものかと思わされた。完全なる人体の美がそこに座していた。

後から聞けば、蔵にあった人形は伽藍という傀儡師によって作られたもので、あまりにも細部まで作り込まれ過ぎているため、人形師が操るには都合が悪かった。以来蔵の肥やしになっているようだった。また代々魔除として受け継がれているとも。

『人形とは、人間の身体構造を簡略化したもの』。
そう教えられていた藍惟にとって、あの人形との出逢いは青天の霹靂であった。
それから藍惟は、何かに取り憑かれたように人形を作り始めたのだった。

そして、藍惟が七つの時、原因不明の火災が家を跡形もなく消し去った。蔵は全焼こそ免れたが、中にあった人形も全て木偶であったため燃えてしまった。家族で生き残ったのは、不在だった伽耶を除けば藍惟だけだった。

しかし藍惟は知っている。それはまるで、芝居の中の作り話のような出来事だった。

その日はたまたま伽耶が街へ芝居をしに行っていたため、藍惟は珍しく一人で床に着いていた。しかしなかなか寝付けずにいた藍惟は、ふと蔵にある人形を思い出す。もう一度あれを見たいと思ったのは単なる偶然だ。その晩は外がやけに明るかった。縦格子の間を抜けて蔵へと忍び込む。そこには、初めて見た時と全く変わらない姿の人形があった。首のもたげ方も、指の開き方も、髪の流れ方も、何一つ変わらない。まるでそこだけ時の流れが止まっているかのようだった。

思わず唾を飲み込んだ。藍惟の首筋から一筋、汗が流れて落ちる。なんだか身体が熱っていた。蔵の小窓から光が差し込む。もう陽が昇ったのだろうか? 段々と肺へ吸い込む空気も熱を帯びてくる。蔵の中はまるで真夏に浮かび上がる陽炎の如く、ゆらゆらと揺蕩い始めた。堪らず内側から扉を開ける。目の前には、大きな火の玉が浮かんでいた。
そして次の瞬間、その炎は感嘆の声を上げた。

『ああ、開いた。ようやく開いた。全く面倒な細工をしおって。一体どれほどの年月を過ごしたことか。しかしまあ、よい。』

その炎は形を変えて、藍惟とその後ろの人形の方へと向かってくる。

『娘、感謝するぞ。その後ろの木偶を明け渡せ』

藍惟はその声に応えることはできなかった。理解を超えた状況にただひたすらに震えた。流す涙もその炎によって直ぐに渇いた。ただ夢中で、その人形を抱いていた。

『分からぬか。所詮人間の幼子、このまま何も知らずに黄泉へと還るがよい。』

そして、一等大きな炎となったそれは、辺りを見境なく燃やし始めた。蔵は石造りであったために倒壊こそしなかったものの、母家は一瞬にして燃え尽きる。そして藍惟もまた、その業火に飲み込まれ、意識が途切れようとしたその時、眼前に影が現れた。

それは人形だった。

主人無き隻腕の人形が、その黒き炎を藍惟から遮るように立っていた。藍惟が、気を失う寸前に見たのは、そんな光景であった。


目を覚ますと、あたりはすっかり焼け野原となってしまっており、目の前には何かが燃え尽き炭となっていた。
それがあの人形であったこと。その人形が自身を守ってくれたのだということ。そして、愛する妹が自分の名前を叫びながら抱擁していることを少しずつ認識していった。

伽耶以外の親族全てを亡くし、身寄りさえ無くなってしまった。

それからは妹の伽耶と共に人形師として日銭を稼いで暮らした。藍惟が人形を造り、伽耶がそれを操る。行く先々で人形芝居を行い、たくさんの人の笑顔を見た。伽耶の人形芝居は特に子供達に人気があった。藍惟も何度か子供の前で人形を操ったが、彼女の人形芝居は子供の関心をあまり引かなかった。

◆覚醒


放浪の生活が半年ほど続いた頃、伽耶が流行り病に倒れてしまう。その病は身体の傷口から入り込み、徐々に身体を壊死させていくものだった。伽耶の左腕は赤黒く爛れてしまっており、呼吸は次第に小さくなっていく。
しかし、残ったたった一人の家族を失う哀しさに耐えて、藍惟は最期まで伽耶に笑ってみせた。伽耶は、藍惟に感謝の想いを伝え、残った右腕を伸ばして頬に触れた。そして最後に一つ言い残した。

『私を使って、人形を作って欲しい。そしてずっと
、姉君の側に置いてください。この命尽きても、身体と想いは離れたくはないのです。だから、どうか…』

そうして伽耶が目を閉じ、呼吸を止めたその瞬間。藍惟はそのあまりの美しさに息を呑んだ。

そして、いつか自分を庇ったあの人形と、伽耶の姿が重なった。

思わず指先で"それ"に触れた。時間と共に強張っていく肌は、少しずつ人から、『人の形をしたもの』へと変化してゆく。人形の輪郭が曖昧になってゆく。

水に血が溶けるように。
陽が落ち夜が昇るように。
現世と隠世が混ざり合うように。
もはや境界など存在しない。
そこにあるのは、ただひたすらに完成された美しさだけであった。

"ーーーもっと識りたい"。

心臓が激しく脈を打つ。
欲望が精神と肉体を支配していく。

どうして口唇は柔らかいのだろう? なぜ脚部は骨盤の側部から出ているのだろう? 爪甲は何のためにあるのだろう? 鼻腔はどこまで深いのだろう? 血管の太さは体の部位によって差異があるのだろうか? 臓物を支えている骨はどんな形をしているのだろうか? 何故手脚は四本なのだろうか? 三本ではなぜいけなかったのだろうか?

髪。背中。指先。眼球。口内ーーー。

探るように、撫でるように、深淵へ潜るように。そしてやがてその根源に触れた時、藍惟は逢魔人となった。

離界が彼女を見つけた時、彼女の傍らに一体の人形がいたという。それは藍惟と非常に似た、まるでそこで息をしていると見紛うような、恐ろしく美しい隻腕の人形であった。

藍惟は、ただひたすらに虚空に向けて『ごめんなさい…ごめんなさい…』と繰り返し呟いていた。

◆離界との繋がり


離界は藍惟を幽嗣園へ迎え入れた。連れていく際、藍惟はひと時も傍らの人形を手離そうとしなかった。それからしばらく、藍惟はまるで意志のない人形のように虚で、言葉も話さなければ、食事も口元まで運ばなければまともに取らなかった。
離界はそんな藍惟に本当の家族のように接し続けた。理由は藍惟にはわからない。ただひたすらに優しく笑みを向けてくれた。それに応えるように、長い年月をかけて、藍惟も徐々に人としての温もりを取り戻していった。

藍惟が初めて駐杜として着いた任務は、今や自無人となってしまった妖の討伐任務であった。とはいえ部隊は他の駐杜や圓侍も複数人帯同しており、藍惟はあくまでも付き人として同行していた。討伐対象は近くの農村の民から瞳を奪っているという。『おそらくは狢の類だ』『早く済ませて一杯やろう』と、部隊もいささか気が弛んでいたのだろう、自無人は巧妙に罠を張り、ほんの数刻で部隊のほとんどから光を奪った。
藍惟はただ、その光景を眺めているしか出来なかった。目の前で苦痛に叫ぶ上官たち。恐怖で喉から声も出なかった。そしてそれはゆっくりと宙から降りてきた。その姿は鼬のようであり、左右には羽のようで羽ではないものを備えていた。そして野衾は、舐めるように藍惟を見た。

『お前、良い眼を持っているな。悪くない。気に入ったぞ』

そういうと野衾は、その醜悪な羽のようなもので藍惟の顔を覆った。刹那、藍惟を呼ぶ声とともに野衾が藍惟から距離を取った。駆けつけた離界は藍惟を庇いながら野衾と対峙する。離界は野衾を圧倒した。その一切を寄せ付けず、残った部隊員をも守りながら大立ち回りを演じる。しかし野衾は最期に一矢報いようと隙をつく。藍惟の右目を狙った一撃は、既の所で離界がその身を挺して庇った。そして野衾に最後の一撃を放つと、片目を抑えて藍惟の側に座り込む。藍惟は、離界が傷を負ったところを見るのは、この時が初めてであった。藍惟は自分の無力さをひたすらに嘆いた。

離界はそれでも、『あなたが無事で良かった』と、笑みを浮かべる。
そして一言『あなたの力は、あなたの大切な人たちを守るためにある』と、言った。

それから暫くして、幽嗣園には宍法を自在に操る手練れの逢魔人がいるという噂が流れ始めるようになる。その逢魔人は、一体の恐ろしく美しい隻腕の人形を操るという。誰が呼んだか"傀儡廻師"。その諱は、四季が一回りするよりも早く、陰陽院にも届いたという。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 0
1 幽世を嗣ぐ園 54 わか ごっちん地中海インパクト
2 幽世を嗣ぐ園-2 22 わか ごっちん地中海インパクト

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