両親の死がきっかけというわけでは無いが、元々寂しがり屋な性格がたたり、依存に近い形で兄の愛情、干渉を求めている。
力に目覚めたきっかけは仕事の折兄との帰宅途中でジャームに襲われた際、「兄だけは失う訳にはいかない」という強い渇望にレネゲイドが反応したようだ。

兄の首に爪がかかるその瞬間に、爪を掴み腕ごとへし折る。
ー何か、武器をー
願いが自らから流れた血から成形される。
銃なんて仕事場ですら滅多に見ない。
しかし不思議と身体に馴染んでいた。
狙いを定めて、トリガーを引く。
へしゃげていく化け物が跡形もなくなるまで。
ものの数分もかからなかった。
動かなくなったそれから踵を返して兄を見る。
細かい傷はあるものの致命傷は無い。
安堵と共に、先程の自身を振り返るー…

後に目を覚ました兄はショックからか記憶が混濁していた。自分の変容した姿や化け物を理解していなかった。

私は、予め準備していた嘘をついて状況を誤魔化した。
兄と私は暴漢に襲われ二人で逃げ延び、安堵からか兄が気を失ってしまった事になっている。

この力は、使える。
私が、脅威から。あらゆる物から兄を守れるのだ。

それからは、夜な夜な街へ繰り出しジャームを刈り切る日々が始まった。
普段から規則正しい生活を心がけていた私が部屋に戻ってから窓から出てるなど夢にも兄は思っていないだろうが。
力をうまく使いこなせば、存外に便利な物で。
少し血の匂いがすること以外は何一つ問題ない代替品まで作ることができた。
何かあれば連絡もつく。居ない間の安全も確保できていた。
力を使うたびに自分の血が身体に馴染んでいく感覚があった。

そして、
思い出す。
今日の収録。
脂ぎったシャツ、とても醜い下卑た表情。
兄に、逆らえないことをいい事に私の目が届かない所で理不尽な暴言を吐いていたその口が。

そして今、その男が目の前で狂乱しながら泣き喚いているのを眺める。
追い立てたジャームもどきが何か喚きながら醜悪な男に爪を突き立てている。
あまり血をながしすぎると死んでしまうかな。
そう思い、用が無くなったそれを一発撃ち抜き絶命させる。
そして、安堵しているかのような表情をしている男に銃口を向ける。
恐怖に歪む目。
…ああ、本当に。
この力は、使える

再三念を押した甲斐があったようで、すっかり兄に対する卑劣は無くなった。

…最近、監視を感じる。
この力の監視者か、勝手に仲間意識な不調法者か…
何でもいい。
邪魔にさえ、ならなければ…、ね。

「えーっ！！アタシの事友達だって言ってくれてたの！？いずみんが？！うっそ〜！いっつも一緒にいる時は素っ気ない感じなのに〜！えっへへ〜！

…ってそんな事が聞きたいんじゃ無いよね！？ごめんなさい！

落ち着いて質問に答えてくれたらいい？わかりました！！！あっでもいずみんにはいっつもアタシこんなテンションで話しかけても「貴方多分静かに出来ないでしょうし」ってこのままで良いって言ってくれるんですよね〜！優しいですよね！学校の皆んなも話せばわかると思うんだけどな〜、いずみんの優しさ！

あ、質問ですか？どうぞ！
普段何話してるのか？基本アタシばっかり話しかけてます！テレビとか服とか〜、あと学校のこととか！やっぱり仕事忙しくてあんまり来れてないんですよね〜大変ですよね〜女優さんって！
あ、でもお兄さんの話はすっごいしますよ！今日は何食べててかっこよかったとか横顔がいいとか声が好きとか〜、めっちゃくちゃお兄さん好きみたいですね！兄妹仲いいの羨ましいな〜、アタシ一人っ子だからなぁ〜！

あ、そろそろ帰んなきゃ！家事任されてたんだった！
続きはまた今度お願いします！さよなら〜！