ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

春園 メア - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

“黙した戦闘員”春園 メアはるぞの めあ

プレイヤー:宮島サキ

今回のマスターを認識
……指令をどうぞ」

年齢
7
性別
星座
不詳
身長
167cm
体重
67kg
血液型
B型
ワークス
FHチルドレンB
カヴァー
ブリード
クロスブリード
シンドローム
エンジェルハィロゥ
モルフェウス
HP最大値
+-20=3
常備化ポイント
20
財産ポイント
0
行動値
+3=16
戦闘移動
21
全力移動
42

経験点

消費
+30
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 「脳が欠落が見られた時点で、私の世界は一度閉ざされていました、所謂『姉妹機』が偏在するようなのですが、未だ私は会ったことがありません」
天涯孤独
経験 「現在の私は数多くの実験の果てに誕生致しました、力も、能力も、思考の仕方も全てチューニングされたものとなっております」
実験体
欲望 「欲望ですか、言葉では知っていますが実感したことは殆どありません……ただ、強いて言うならば、マスターの欲望の為に私を選んでくれた事は、喜ぶべき事だと私は認識しています、助力とでも言うべきなのでしょうか、先程の定義に当てはまる物なのだあれば、私の欲望はそれに当てはまると言えるでしょう」
助力
覚醒 侵蝕値 「ある一人のオーヴァードを元に、私は、あるいは『私達』は造られたのだと聞いています、そうですね……現在のタスクに関連するものではありませんので、あまり興味は湧きませんが」
素体 16
衝動 侵蝕値 「……これは……誰の記録でしょううか……?」
妄想 14
その他の修正5黄金錬成(+錬金秘本)の効果
侵蝕率基本値35

能力値

肉体1 感覚6 精神1 社会1
シンドローム0+1 シンドローム3+2 シンドローム1+0 シンドローム0+1
ワークス ワークス1 ワークス ワークス
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵 射撃4 RC1 交渉
回避1 知覚 意志 調達9
情報:FH1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 装着者
FHのサイバネティクス研究者達
前のマスター
シナリオ リリアーナ·J·コードウェル 現在のマスター

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
ミラーイメージ 1 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 4
自身のドッジのクリティカル値を-1する。1シナリオにLv回まで使用可。
コンセントレイト:エンジェルハィロゥ 3 メジャーアクション シンドローム 2
自身のクリティカル値をーLv(下限値7)する。
天からの目 1 メジャーアクション
リアクション
〈射撃〉 対決 2
自身の判定ダイスを+Lvする。
マスヴィジョン 4 メジャーアクション シンドローム 対決 4 100%
自身の攻撃力を+(Lv*5)する。1シナリオに3回まで使用可
神の目 1 リアクション 〈知覚〉 対決 自身 至近 2
自身はドッジを行える
リフレックス:エンジェルハイロゥ 3 リアクション シンドローム 自身 至近 2
自身のクリティカル値を-Lvする(下限値7)。経験点修正:-25点]
陽炎の亡霊 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 6 100%
ドッジに成功した直後に使用可能。自身はメインプロセスを即座に行える。

コンボ

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
STARKER 5 射撃 〈射撃〉 0 4/10 - 20m この武器の攻撃力を、+(精神強化手術の数×2)だけ上昇させる
防具常備化経験点種別行動ドッジ装甲値解説
FHインターセプター 15 防具 0 0 8 自身のドッジ達成値と【行動値】を+(精神強化手術の数)だけ上昇させる
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
AIDA 0 ※装着者で取得
【感覚】と【精神】の判定ダイスを+3
『精神強化手術』の所持数を+3とみなす。
失敗作 5 エンブレム/一般 対象〈黄金錬成〉
対象のエフェクト最大レベルを+1する。
経験点は別途で支払う事。
命の終着 15 エンブレム/一般 《リフレックス》をLv3で取得する。
自身の最大HPを-20する。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 25 115 20 0 160 0/160
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

基本情報

名前:

春園 メア (Haruzono Mare)

所属:

ファルスハーツ(FH) / FHチルドレン

出自:

ランジャーノ製薬製「春シリーズ」(量産型クローン兵)

シンドローム:

エンジェルハイロゥ / モルフェウス

外見:

オリジナルの春宮今日子と瓜二つ(ピンク色の髪、青い瞳)。
しかし、瞳には一切の光が宿っておらず、表情は能面のように常に変わらない。
後頭部から首筋にかけて、機械的なインターフェイスが皮膚と融合しているのが見える。

脳を欠いた「失敗作」

メアは「春シリーズ」の製造過程において、脳機能の大部分が欠落した状態で生まれた「失敗作」でした。
本来であれば廃棄処分となるはずでしたが、FHの兵器開発部門、あるいはレネゲイドとサイバネティクスの融合を研究する特定のセルに引き取られます。

機械仕掛けの兵士

FHの研究室は、彼女の欠落した脳の代わりに、専用開発された高機能電子コンピューターをその頭蓋内に埋め込まれ、これにより彼女の身体は「兵士として運用可能なレベル」の機能を取り戻せたのだった。
現在の彼女の思考や言動は、この電子コンピューターによって制御されている。
感情そのものが存在せず、ただ与えられた命令を最も効率的に遂行するためだけに思考し、その話し方は、過剰なまでに丁寧な言葉遣いでありながら、イントネーションや感情の起伏が一切感じられない、機械的なものとなっている。

戦闘能力

「春シリーズ」の基本設計通り、戦闘時にはエンジェルハイロゥとモルフェウスの能力を完璧に実行します。
モルフェウスの力で瞬時に「光を集束・射出するための特殊な砲身を持った銃器」を創造し、エンジェルハイロゥの光エネルギーを弾丸として放つ。
彼女の戦闘行動には一切の躊躇いや迷いがなく、ただプログラムされた通りに、最も効率的な射撃戦闘を淡々と続けるのだ。

台詞集

挨拶(初対面):

「はじめまして。私の個体識別名は『春園メア』です。貴方様の指揮下に入ります。……ご命令を」

日常(待機時):

「現在のステータスは、正常。待機命令を継続します。……何か、御用でしょうか?」

命令受領:

「是(ゼ)。命令を受領いたしました。ただちにタスクを実行します」

戦闘開始:

「戦闘プログラム、起動。対象の生命活動停止を、最優先事項とします」

能力行使:

「モルフェウス・シンドローム起動。対オーヴァード用、集束砲身を生成します」
「エンジェルハイロゥ・シンドローム、エネルギー充填完了。……射出します」

味方への問いかけ:

「恐れ入ります。貴方様の現在の行動は、予測された作戦行動と乖離しております。……理由を、ご説明いただけますでしょうか」

任務完了:

「対象の沈黙を確認。……これにて、全タスク完了です。次のご命令を、お待ちしております」

虚ろな人形と、孤独な少女

ファルスハーツのチルドレン専用訓練施設。その一角にある無機質なラウンジは、殺風景という言葉を生温く塗り潰したような場所だった。

壁も、床も、硬質なプラスチック製のソファさえもが、一切の個性を拒絶するような、味気ないグレーで統一されている。

あるのは、次の訓練プログラムを呼び出すためのコンソール端末と、磨かれすぎた床に映る、蛍光灯の冷たい光だけ。

その、時が止まったかのような空間の隅に、一人の少女が立っていた。

人形のように、微動だにせずに。

春園メア。
色素の薄いピンク色の髪が、重力を無視するかのように完璧な切り揃え方で肩に落ちている。
焦点の合わない青い瞳は、ただ前方の壁の一点だけを、プログラムされた通りに見つめ続けていた。

ランジャーノ製薬が生み出したクローン兵「春シリーズ」の一個体。
その製造過程で脳の大部分が欠落した「失敗作」であり、その欠損は、今やFHのサイバネティクス技術の粋を集めた電子コンピューターによって補填されている。
彼女の思考も、言動も、その全てが機械(マシン)の論理(ロジック)によって制御されていた。

『午前9時30分。指定ラウンジにて、次の訓練プログラム更新まで待機せよ』

それが、彼女に与えられた現在の命令。
故に、彼女は待つ。呼吸さえも最小限に抑え、ただの人形として、その命令が完了する瞬間を。
その静寂を、乱暴に切り裂く足音が響いた。

―――チッ。なんなのよ、あいつら!」

ヒステリックな、しかし、どこか気品を無理やり乗せたような甲高い声。
ラウンジの自動ドアが開き、一人の少女が、忌々しげに床をヒールで蹴り鳴らしながら入ってきた。

豪奢なフリルがあしらわれた黒いドレス。
ツインテールにまとめられた緋色の髪が、彼女の不機嫌さに合わせて激しく揺れている。

リリアーナ・J・コードウェル。

あの、UGNを裏切りFHの幹部となった、アルフレッド・J・コードウェルの実子。
生まれながらのFHチルドレン。

彼女は、自分が「選ばれた存在」であると信じて疑わなかったが、同時に、父が作り出した「マスターレイス」の称号を与えられていないことに、誰にも言えない焦燥と劣等感を抱えていた。

「どいつもこいつも、私を『コードウェルの子供』としか見ないで!私の実力を、ちっとも分かってないんだから!」

リリアーナは、苛立ち紛れにソファを蹴りつける。だが、硬質なプラスチックは、彼女の華奢な脚に鈍い痛みを返すだけだった。

「いっ……!」

その時、彼女は初めて、部屋の隅に立つ、もう一人の存在に気がついた。

「……な、なによ、あんた。いつからそこにいたの」

リリアーナは、自分の情けない姿を見られたことに気づき、咄嗟に顔を赤らめると、それを隠すかのように、さらに高飛車な態度で相手を睨みつけた。

だが、壁際に立つ少女――春園メアは、その視線を受けても、ピクリとも動かない。
表情一つ変えず、ただ、こちらを無機質に見返すだけ。その反応のなさが、リリアーナの神経を、さらに逆撫でした。

「ちょっと!聞いてるの!?この、リリアーナ・J・コードウェルが、直々に話しかけてあげてるのよ!」

彼女が、ずかずかとメアの前まで歩み寄り、その顔を覗き込む。
ピンク色の髪、青い瞳。
人形のように整ってはいるが、どこか量産品のような、安っぽい印象。
少なくとも、リリアーナが知るFHチルドレンの、どす黒い欲望に満ちた瞳とは、まるで違っていた。

その、自分とは全く異なる存在に、リリアーナは、得体の知れない優越感と、同時に、奇妙な居心地の悪さを感じていた。
メアの電子コンピューターは、目の前の存在を「FHチルドレン:リリアーナ・J・コードウェル」と識別していた。
待機命令中の副次行動として、『対人コミュニケーション・プロトコル:レベル3(丁寧)』の実行を、自動的に開始した。

―――これは、失礼いたしました」

メアは、完璧な角度で、深々と一礼した。その動きには、一切の淀みも、感情もない。

「私の個体識別名は『春園メア』と申します。リリアーナ・J・コードウェル様。以後、お見知りおきを」
「は、はぁ……?」

その、あまりにも過剰に丁寧な言葉遣いと、機械的なイントネーション。
リリアーナは、完全に毒気を抜かれて、一歩後ずさった。

「な、なんなのよ、あんた……。気味の悪い喋り方。新入りの癖に、私を馬鹿にしてるわけ?」
「否定いたします。私は、貴方様を『嘲笑』あるいは『侮辱』する意図は、一切保有しておりません。現在の会話モードは、所属不明の同格以下のオーヴァードに対する、標準応答マニュアルに基づいております」
「ひ、標準応答……!?」

リリアーナは、あんぐりと口を開けた。
彼女の苛立ちは、いつの間にかこの機械的な対応によって、根底から揺さぶられていた。
FH(ここ)にいる連中は、自分を恐れるか、あるいは、コードウェルの娘として媚びへつらってくるかの二択だった。
こんな、まるでカスタマーサポートの自動音声のような対応をされたのは、生まれて初めてだった。

「あんた、本当にチルドレンなの!?どこのセル所属よ!」
「所属は、本日付けで『ファンドネーズ』様が統括するFHセル預かりとなる予定です。それ以前は、FH第7研究開発部門にて、調整を受けておりました」
「第7研究開発部門……あそこの連中、サイバネ狂いばっかりじゃない。まさかあんた……」

リリアーナは、メアの、どこか焦点の合わない青い瞳と、その後頭部に、髪で隠されたインターフェイスの痕跡を、食い入るように見つめた。
メアは、問われた情報に対し、開示制限(レベル2)の範囲内であると判断し、淡々と事実を告げる。

「是。私は、ランジャーノ製薬が開発した『春シリーズ』の、失敗作個体に該当します」
「失敗作……?」
「はい。製造過程において、脳機能の大部分が欠落した状態でロールアウトされました。ですが、FH第7研究開発部門の技術介入により、欠落部位は、専用の電子コンピューターによって代替されております。現在の私の全思考プロセスは、この内蔵された論理回路によって、制御、及び実行されております」
「……」

リリアーナは、言葉を失った。
目の前にいるのは、少女の姿をしているが、その実、中身は機械なのだと、そう言っているのだ。
感情がないのも、機械的な話し方なのも、全ては、そういう風に「作られている」から。
リリアーナの苛立ちは、完全に行き場を失った。
人形を相手に、怒鳴り散らしていた自分自身が、途端に、滑稽で、馬鹿馬鹿しく思えてくる。

(……人形。……命令を、聞くだけの、機械)

リリアーナの脳裏に、一つの考えが、稲妻のように閃いた。
父は、自分を「マスターレイス」とは認めない。
他の幹部たちは、自分を「コードウェルの子供」としか見ない。
誰も、自分を、自分として扱ってはくれない。

(だったら)
「……決めたわ」

彼女は、不意に、そう呟いた。
その瞳には、子供の、無邪気な独占欲と、そして、孤独な少女の、切実な願いが、混じり合って浮かんでいた。

「あんた、今日から私(わたくし)のものよ」
「……リリアーナ、様?」

メアの電子頭脳が、その言葉の意味を解析しようと試みる。

「現在、私の指揮権は第7研究開発部門に帰属しております。所有権の移譲には、所定の手続きが……」
「うるさい!」

リリアーナは、その機械的な正論を、感情論で一蹴した。

「手続きなんて、私がやればいいんでしょ!父様の名前を使えば、研究部門の連中なんて、どうにでもなるわ!」

彼女は、自らが持つ唯一にして最大の武器――「アルフレッド・J・コードウェル」という名前を、初めて、自らの意志で使おうとしていた。

「あんたは、ただの人形なんでしょ!だったら、私に相応しい、一番近くに侍る人形になりなさい!いいわね!?」
「……………了解致しました。」

メアは、表情一つ変えずに、答えた。

「リリアーナ様による、所有権の取得手続が完了するまで、現行の待機命令を継続します」
「ふんっ!すぐに戻ってくるから、そこで大人しく待ってなさい!」

リリアーナは、高飛車にそう言い放つと、来た時と同じ嵐のような勢いで、ラウンジを飛び出していった。
後に残されたメアは、再び壁に向き直り、完璧な待機姿勢へと戻る。

だが、その、機械仕掛けの胸の内。
電子頭脳の論理的な処理とは別の場所で、彼女の、僅かに残された人間としての心が、初めて、予測不能なノイズを検知していた。

(リリアーナ・J・コードウェル……。論理的ではない。感情的。非効率。……だが、興味深い。……サンプルとして、非常に)

彼女の、人形としての時間は、今、音を立てて、終わりを告げようとしていた。



ファルスハーツの施設内で、一つの小さな嵐が吹き荒れていた。

「私(わたくし)は、コードウェルの娘よ!たかが研究員風情が、私の命令を聞けないとでも言うの!?」
リリアーナは、第7研究開発部門の責任者と思わしき、白衣の男に、一切の遠慮なく詰め寄っていた。

「……リリアーナ様。いくら貴女様でも、それは」
「よく分かんないけど『春シリーズ』の失敗作一体でしょ!?あんなもの、ファンドネーズとかいう奴に引き渡すより、私の護衛につける方が、よっぽど有意義だわ!父様も、きっとそうお望みのはずよ!」

彼女は、半ばハッタリで、父の名前を振りかざす。
白衣の男は、そのあまりの剣幕と、「コードウェル」という名前の重さに、徐々に顔色を失っていった。
何より、この面倒な「お嬢様」の機嫌を取っておく方が、得策かもしれない。
数十分にも及ぶ、子供の高飛車な要求と、大人の打算的な計算がぶつかり合った結果――

ラウンジの自動ドアが、再び開いた。
メアは、プログラムされた通り、機械的に振り返る。
そこには、勝ち誇ったような顔で、一枚のデータタブレットを掲げたリリアーナが立っていた。

「メア!春園メア!」
「是。春園メア、待機(スタンバイ)中です」
「ふふん!見なさい!これであんたは、正式に私(わたくし)の所有物(もの)よ!指揮権(マスター)は、このリリアーナ・J・コードウェルに移譲されたわ!」

メアの青い瞳が、タブレットに表示された電子署名をスキャンする。

『……Processing... Command Transfer Request: ACCEPTED.
Authenticating... Code... Verified.
Updating Master File... New Master: Lilliana J. Code.』

彼女の電子頭脳が、新たな命令系統を構築していく。
それは、ほんの数秒の処理。

「……認証完了。指揮権の移譲を、確認しました」

メアは、リリアーナの前に進み出ると、完璧な所作で、片膝をつき、頭を垂れた。

「本日付をもちまして、春園メアは、リリアーナ様の指揮下に入ります。……マスター。ご命令を」

その、絶対的な服従の姿。
リリアーナは、心の底から、満足げな笑みを浮かべた。
自分が、初めて、自分の意志で、手に入れたもの。
自分だけの、完璧な人形。

「ご、ご命令……そ、そうね……」

だが、リリアーナは、いざとなると思いつかなかった。

「と、とりあえず……あんた、ずっと立ってて疲れないの?そこのソファに座りなさい!」
「是」

メアは、機械的に立ち上がり、ソファの、端に、完璧な90度の角度で腰を下ろした。背筋は伸び、手は膝の上。微動だにしない。

「……」

リリアーナはその光景を見て、急速に、自分が手に入れたものの「つまらなさ」を感じていた。

「……もっと、こう、リラックスとかできないわけ?」
「『リラックス』。定義を要求します。姿勢の崩し方、許容範囲をご指定ください」
「う……うるさいわね!普通に座ればいいのよ、普通に!」
「『普通』。データベースに該当する最適解が存在しません。」
「あーもう!だから、あんたは人形なのよ!」

リリアーナは、叫ぶと、自分もメアの隣に、どさりと乱暴に腰を下ろした。
そして、フリルのついたドレスの裾も構わず、ソファの背もたれに足を放り投げる。
わざと、行儀悪く。
わざと、高飛車な「お嬢様」らしくない、だらしない格好で。

「……別に、命令なんてないわよ」

彼女は、そっぽを向いたまま、ぽつりと呟いた。

「ただ……」

メアは、プログラムされた通り、主人の次の言葉を、待機している。
だが、その機械的な聴覚とは別の場所で、彼女の、僅かに残された人間としての心が、リリアーナの声に含まれる、微細な震えを検知していた。

それは、彼女の電子頭脳が「エラー」と弾き出す、論理的ではない、感情のノイズ。

「……ただ、そばに、いなさい」

リリアーナの声は、小さく、震えていた。

「私(わたくし)が『もういい』って言うまで。……それだけよ。分かった?」

高飛車な仮面の下から、彼女の、本当の『欲望』が、顔を覗かせる。

それは、「マスターレイス」になれない焦りでも、「コードウェル」の娘としてのプライドでもない。
ただ、誰かに、そばにいてほしいという、あまりにも子供らしい、切実な『寂しさ』だった。
メアの電子頭脳が、その矛盾した命令を、必死に解析しようとする。

『……Processing... Command: "Stay nearby indefinitely."
Logic... illogical.
Objective... unclear.
Calculating... Master's emotional baseline: 'Lonely' 78%, 'Irritated' 22%.
……Command Conflict: Standby protocol vs Proximity protocol.
……Resolving... Priority shift...』

だが、メアの、感情を持たないはずの胸の奥で、何かが、チリ、と音を立てた。
プログラムされた応答ではない、別の何かが、彼女の口を動かした。

「……是。リリアーナ・マスター」

彼女は、機械的な動きで、リリアーナの方へと向き直った。
その、焦点の合わない青い瞳が初めて、目の前の少女を、明確な『対象』として捉えた。

「貴女の側に、随伴いたします。命令が解除される、その時まで」

その声は、相変わらず機械のように平坦だ。
だがそこには、ただのプログラムにはない、新たな『タスク』が、確かに生まれていた。
この高飛車で、生意気で、そしてどうしようもなく孤独な、新しい主人を観察し、理解すること。
機械仕掛けの人形は、この日初めて、自らの意志で、自らの『主』を選んだのだった。

履歴

シナリオ中、『ホローポイント弾』を幾つか買う事を忘れないように。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 30

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