容姿・経歴・その他メモ

「君が陽真君かい？　今日からは君の保護者……みたいなものだよ」

　敵意も何も感じない、にへらと緩い笑みを浮かべる男を見た時に感じた事は、苛立ちだった。
　どうやら今日から俺の世話役。みたいな物らしい。
　こんな弱そうな奴が、だ。

「脱走回数63回……いやぁ、初めて見たなぁこんな数字……と、自己紹介がまだだったね。高城、高城悠治だ。改めて君の名前も教えてくれるかな？」

　何にもわかってなそうに俺に手を差し向ける男。
　返す答えは決まってる。
　すっと差し出そうとした右手で……中指を立てる。

「失せろ。オッサン」

「……まだギリギリお兄さんだよ」

　そんなあまりにも最悪なファーストコンタクトが、俺と高城さんの出会いの一幕であった。



「いやぁ、あの頃が懐かしいねぇ……そろそろオッサンの呼ばれる歳になってきたし、時間が経つのは早いなぁ」

「いやあのぉ……マジで黒歴史なんで勘弁してくださいな……」

「はっはっは、それはそれとしてコレ(ヤンキー漫画)でも読むかい？」

「高城さぁん！？」

　葬儀の合間。ふと立ち寄った高城さんの部屋で思い返す懐かしい記憶。
　そういえば結局、あの漫画は読まなかったな……ペラペラとページを捲り、続きが気になるな……そう思い棚に手を伸ばすと────数巻抜けている事に、首を傾げるのだった。

履歴

「まっ、あんまり重く考えるのは俺の性にあわないっしょ。気楽にスマーイル。ってね！」
「いやあのぉ……期待されるのは嬉しいっすけど自分は高城さんのようにはですねぇ……いや、まぁ、はい。高城さんにそこまで言われてやらないのは男が廃る。タイタニックに乗った気持ちでドーンとお任せあれ！」

　織部(おりべ)陽真(はるま)。物心ついた時からストリートチルドレンにしてスラム育ち。
　生まれながらに持った力を悪用して日々のメシや金を手に入れていたが、まぁバレてUGNに捕まった。
　力はあるし一般的な道徳とかその辺りを叩き込めばコマとして使えるんじゃね？　って理由で高城さんの所に叩き込まれた。
　当初は問題児。UGNの施設からも何度も脱走したり他のチルドレンと問題を起こしたりとUGNも手を焼いていた。
　元がストリートチルドレンなのもあって力こそが正義。という考えで暴力性も高かったが、そんな自分に対しても他のチルドレン達と変わらない態度で接してくる高城さんにウゼェウゼェと毒を吐いて中指を立てていた。なんか弱そうな雰囲気だし。それもあって当時は他の高城の教え子との関係も爆裂に悪かった。
　けれどある日、与えられたFHとの交戦任務で陽真は絶体絶命の窮地に陥る。
　その任務自体、問題行動が過ぎた陽真はジャーム化の可能性がある。ならば任務にという名目で処分するという物であり、任務成功はほぼ不可能と呼べる物。

　もはやこれまで。そう思った陽真を助けたのが高城さん。
　彼だけは陽真の処分に最後まで反対し、独断で陽真を助けに現れたのだ。
　そこで彼のオーヴァードとしての実力と人の良さに触れ、この事件をきっかけに陽真にとって高城さんは人生で初めて出会った頼りになる大人。という認識になった。
　その後、カミソリのような態度は徐々に軟化。周囲に対しても歩み寄る姿勢を出すようになり、問題児っぷりも暴力性もなりを潜め、協調性と面倒見のあるゆるーくて軽そうな男に成長した。
　今では高城さんの教え子連中とはいい仲を築いている。コミュ力が高いのでグイッとぬるっと行く。
　けど当時を知る教え子連中にはワルガキ自体の事をネタにされて黒歴史だから許してくれぇ〜ってなってる。
　でも根っこの所は相も変わらずスラム育ちなのでキレ散らかすとガラが悪くなるとかそんな感じ。

　親が居なかったし、身近にいた大人である高城さんを無意識に親として見てたから表面上は高城さんと似た感じになってる想定。
　色々と教えてくれ、自身を助けてくれた高城さんにはとても大きな恩があると思っており、彼の頼みなら「まー高城さんが言うならお任せあれ！」と引き受けるノリ。
　高城さんに対する感情は尊敬……もあるが、根っこの所にあるのは劣等感。
　高城さんのように平和的というか、自らを絆たような暖かさに憧れているが、ふとした時に「殴った方が早いだろ」という暴力的な考えも浮かんでしまうので、自分は本当の意味で彼みたいにはなれないな……という劣等感がある。

　高城による教育が終わった後は問題なし！　と判断され、その後は別の支部に飛ばされたが高城や教え子達との関係は続いており、また顔出さないとなぁ……と考えていた所で高城の訃報が届いたとかそんな感じ。

　高城さんの死に関しては表面上は「まぁ、辛気臭い顔しててもあの人は喜ばないでしょ。スマイルスマイル」といつもより覇気がない笑みで言ってる。
　本心ではあの人がそう簡単に死ぬはずがないだろと疑ってかかっている。何かあったに違いない……そう、何かが……！

　戦闘スタイルは射撃でチクチク。クリスタライズで撃ち込んだ弾丸が内部で結晶化して破裂する絵がハリネズミみたいに見えるのと、過去がカミソリボーイだったので『触るな危険(ヘッジホッグ)』というコードネームが付いてる。本人的には不服。

　六咲さんとの関係はこのあと話しながら詰める。

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