彼女には兄と弟がいる。

兄は有能な公安警察で、自分にとっては目標となる人物でもあった。

弟も学生ながらとても聡明な少年だ。

兄と競い協力しながら警察に情熱をかけている人生であった。

しかし、レネゲイドが原因で全てが狂ってしまった。

きっかけは兄が突然、警察を辞めたことだ。

理由について聞くと他にどうしてもやらなければならないことができた、とのこと。

その時は兄の意志を尊重した。

兄の道は兄が決めることだ。残念ではあるけど。

兄が辞めてからしばらくして、自分は警察組織内で密かに噂されてるR案件と呼ばれる事例を目の当たりにした。

人類の常識など遥かに超えた異形異能の者たちの起こす光景。

自分はそれに抗うために何かを求めた。その瞬間、自分の中で何かが目覚めたのだ。

その日、自分はオーヴァードとなった。

覚醒したての自分を助けたのはコルンムーメというコードネームの少女と、実の兄。

そこで自分は知る。兄は自分の知らないところでオーヴァードとなっていたのだ。

警察を辞めたのもそれが理由らしい。

この力を得たなら、もっとそれを専門的に扱い、それ関連の事件を防ぐエキスパートになりたい。

そして、そのためには今の警察の体制では難しいとのことだ。

なるほど、それが理由でUGNに入った。そこは、分かる。

適材適所。兄が好きな言葉だ。

兄は自らの力を活かせる場所に行ったに過ぎない。

自分もUGNに行くという選択肢は無かった。

なぜなら、そのUGNという組織に生理的に嫌悪を覚えたからだ。

UGNの理念や、必要性、R案件のプロというのは分かる。

しかし、だ。彼女には許せないことがあった。

それが、あの時いたUGNチルドレンという存在だ。

レネゲイド関連の事件の被害者を保護する。それは分かる。
しかし、その保護した子供に思想教育や戦闘訓練を行い、血生臭い現場に送るのは許容できない。

無論、本人が望んだことかもしれないし、そうしなければいけない理由があるのも分かる。

しかし、彼女の中で、子供を兵士に作り替えて非日常な修羅場に送るUGNをどうしても許したくなかったのだ。

なので、UGNは生理的に嫌いなのだ。

現在は新しく配属された部署で働きつつ、UGNで働く兄やUGNそのものを上手い具合にザマァする機会は無いか、と虎視眈々と狙っている。[---]