N市に所属するUGNチルドレンであり、N市の高校に通う高校生。
便宜上UGNチルドレンとして扱われてはいるが、その出身はFHのとある研究所。
カプセルの中で眠っていたところを1年前にUGNに救出された彼女はそのままUGNに所属することになったものの、その出生に関する記録は一切なく彼女自身も記憶を持っていないためそれまでの経歴の一切が不明となっている。

更には彼女は経歴だけではなく、そのレネゲイドの能力にも非常に謎が多い。
その性質は他者の傷や病を癒すというもの。それだけならば一般的なソラリスと大差はないものの、何よりも異質なのは『他者の持つレネゲイドすらも癒し、限りなく人に近い状態に戻せる』という点。
その特殊性から、現在N市にて蔓延している病に対する対抗策として重要視されている。

ふわりとした銀色の髪の奥に縹色の瞳を覗かせる少女。
表情に乏しく口数も少ないものの、物腰は柔らかく穏やか。人間的な生活を営み始めて非常に日が浅いため一般常識や倫理に疎く、少々ズレた発言や子供っぽい言動も目立つ。

総じて天然な不思議ちゃんといった印象の彼女ではあるが、相対する人間にとってはなによりも目を引くのは彼女の身体の至る所に巻かれた包帯とそぐわない黒手袋だろう。
包帯によってその右目は隠れており、更には首元、服の隙間に見える肩にも包帯が巻かれている。
より注意深く見るならばその包帯の端からは黒い痣のようなものがほんの少しはみ出しているのも見えるだろう。

黒い痣は彼女の持つ治癒能力の副作用。あらゆる傷、病、レネゲイドすらも癒すその能力の代償に、彼女の身は能力を扱うたびに火傷のような黒い痣が広がっていく。黒い痣はその身を蝕むレネゲイドそのものであり、痣が広がれば広がるほどその侵蝕率は上昇しジャームに近づいていく。

それにも関わらず、彼女は病やレネゲイドに侵され助けを求める人に対して分け隔てなく、一切の躊躇いなくその能力を振るい救おうとする。
自身が傷つくことも厭わず他者を救うその行為は献身的を通り越して自己犠牲的ともとれるものであるが、彼女は自分自身が蝕まれていくことを一切気に留めていない。
他者を救うという行為そのものについても、それは彼女の優しさからくる献身ではない。ただ“それが自分のやるべきことだから”という使命感のみが、彼女を突き動かす理由である。

【人を救う理由】

FHの研究所で拾われた天涯孤独の身であり、自らを大切にしようと思えるほどの誰かの愛も思いやりも受けたことが無い。
そんな彼女が心の奥底で求めているのは、『誰かの何かでいられること』。すなわち存在意義である。

無意味な存在、不必要な存在は廃棄される。彼女の生まれたFHの研究所ではそれが当たり前の光景であり、記憶がなくともそれが彼女の心に刻まれた価値観の根底。

誰かを救うことでその存在意義は得られ、救うことをやめてしまえば自分は何の意味も無い存在となる。
自らの身が蝕まれていくことよりも、自らの存在に価値がなくなってしまう事こそが彼女が最も恐れている事なのだ。

ウロボロスとソラリスのクロスブリード。

それぞれのシンドロームの初歩的な能力は扱えるものの、何と言っても特異なのは通常のオーヴァードが扱う治癒系エフェクトとは一線を画す力を持つ治癒能力。
一般的な外傷だけでなく病原菌やウイルスによる病気も治療することができ、果てにはレネゲイドに蝕まれたオーヴァードを鎮静化し、完全なレネゲイドの除去こそ不可能な物のほぼ感染前の状態にまで戻すことができる。

ひとえに治癒能力と言ってもソラリスシンドロームから来る薬品生成の効果は一部であり、その本質は“他者のレネゲイドを自在にコントロールする”というもの。
外傷であればその部位にレネゲイドを集中させることで治癒を促す、病気であればレネゲイドに病原菌を捕食させる、といった具合である。

戦闘においては、味方のレネゲイドを鎮静化することで強力なエフェクトを行使するリスクを排除し間接的に戦闘能力を高めたり、敵の攻撃に乗せられたレネゲイドを吸収することで妨害したり、敵のレネゲイドを除去することで実質的な攻撃としたりと様々な応用が可能。