元々はヤクザ同然の違法な金融会社に勤める会社員だったが、押さえ込んでいた上司・同僚への不満や業務への嫌悪感が我慢の限界を超えて爆発。
その時に抱いた怒りによってオーヴァードに覚醒し、職場の入った雑居ビルを半壊させる騒ぎを起こしてしまうも、彼の発したレネゲイド物質を感知して現れたFHエージェントの手によって何も起きなかったことにされ、事なきを得た。
その代償としてFHに弱みを握られる形となった彼は、適正を見こまれてある管理セルの下で働くことを要求される。
どう考えても拒否権なんてあるはずもなく、渋々ながら従った彼に与えられたのは、他の研究セルが活動するための資金調達作業だった。

FHに所属させられた彼はオーヴァードというものになり超常的な力を身につけたにも関わらず、今までと代わり映えのしない仕事を押し付けられる。
しかし、FHという組織の底知れなさに気圧されていた彼は、前の職場より多少は待遇がマシだからと自分を強引に納得させて指令に従う生活を始めた。
担当地域を駆け回って集めた馬鹿らしいほどの量の金が何に使われ消えていくのか、聞こえてしまう情報に耳を塞いで考えないようにしていたが、それは無駄な行為だった。
リーダーによる研究セルの視察への同行を命じられた彼は、そこで賢者の石を利用した実験とその被検体として用意されたという人々の姿を見たことで、FHに抱いた恐怖よりも強い嫌悪感を覚えることとなる。
その翌日、彼は任務中にFHからの脱走を決行した。
事前工作もなにもない衝動的な行動だったがセルにとって彼の存在はさほど重要でもなかったのか、意外なほどあっけなくそれは成功した。

自由を手にした彼は身の振り方に悩んだものの、今更普通の日常に戻れるはずも無く、レネゲイド関係の組織に参加することを決める。
悩んだ末にUGNに身を寄せた彼を待っていたのは、これまた代わり映えのしない金銭絡みの業務だった。
それでも、今回は不思議と不満は無い。その理由は考えてもまったく分からなかったが。
一般社会の枠から外れ、FHからも逃げ出した彼は今、紫藤支部で働いている。

誰にでも気安い態度で接する青年。
いい加減な性格と発言が原因で周囲から呆れられることも多いが、本人はそれを気にしている様子は無い。
普段から隙を見つけてはちょくちょく仕事を抜け出してサボっているが、不思議と業務に支障が出たことはないようだ。
着けている眼鏡はインテリっぽく見せかけるための伊達であり、邪魔になるとすぐ外す。

上司や他組織の人間に対しても茶化すような態度を崩さない士郎だが、支部の主要メンバーには彼なりに真摯に接している。
まだ若い蒼汰には自分が可能な範囲で色々とフォローはするし、ルイ支部長の悲観主義が悪化しないよう任務の際は安全を重視して行動するよう心がけている。
支部に配属されたばかりの頃、周囲との溝を埋めてくれる出来事を七色料理によって起こしてくれた灰人と晶には感謝しているのか、困ったことがあればそれとなく力になろうとする。

ミカゲを苦手としている理由は不明だが、過去にサボりを見咎められて猫語で説教されていたからだという噂が職員の間で広まっている。