母である永遠野恵美と父である”永遠野”優流、6歳年下の永遠野香蓮の4人家族であった。
父が外資系に勤めており帰りが遅くなることが多かったが休みの合間を縫って家族と過ごす時間を作るなど家族関係は良好だった。
そんな真面目で優しい父に憧れており将来、自分も同じ道に進みたいと考えていた。

しかし彼が10歳の誕生日に母が倒れたことで徐々に家庭が壊れ始めた。母は胃癌と診断され闘病生活が始まった。抗がん剤治療によって髪は抜けどんどん痩せていく母を見ていることしか出来なかった。手術も治療も無意味だった、母は死んだ。父は母の異変に気付けなかったことを悔い、自分を責め仕事にのめり込んだ。彼と香蓮は施設に預けられた。

施設に預けられて数年が経った。父が姿を見せた。女性を連れていた。苗字が変わっていた。父が職員と一言二言交わすと彼と香蓮は施設から出され、親戚の家に預けられた。父はいなくなった。二人を見る大人の目は冷たかった。家族と言えるのは香蓮だけになった。彼は守ると誓った。

15歳になった。家を出てアパートで二人で暮らし始めた。高校に行くのは諦め働き始めた。半年経った、安定してきた。妹に笑顔が見え始めた。そんな矢先にテロに巻き込まれた。妹を守りたいと強く願った。激痛が走った、意識を失った。目が覚めるとテロリストは居なかった。妹を見た。自分を怖がっていた、影を見た。蠢いていた。理解した。

軍人が周りを囲んだ。殺されると思ったが保護された。リヴァイアサンと名乗る男に真実を話された。これ以上、妹が危険な目に遭うかもしれないのが気に食わなかった。イリーガルになった。数日後、日常に戻れた。妹はテロの記憶を消されたいた。自分におかえりと微笑んだ。守ると強く誓った。