霧雅家で一家惨殺事件
―犯人は未だ発見できておらず、唯一の生存者である霧雅 帆遠君（10）も犯人の特徴は覚えていないとのこと。
―帆遠君は血まみれの状態で机の下で発見されており、「酷く混乱している様子だった」と検察官は証言していました。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　上手く行った　　　　　　　　　　　　　　　　　


家からの重圧と自由のない人生、叔父への度重なる侮辱の数々は幼いながらも知的に育った帆遠の感情を極限まで狩り立てた。
曰く、それは殺意。曰く、それは一つの罪を皮切りにほつれた解放の糸。曰く、それは生まれしころより持っていた不安。
　「強盗が家に押し入ってきて、家族全員を殺して行った。」「自分だけは運よく殺されずに済んだ」
一つの解れでも見えればバレるであろうそれは、バレることも無く、未解決事件としてファイリングされていった。
　　大人たちは何て醜くて、間抜けな生き物なのだろう。こんな物に僕の人生は奪われかけたのか。