【詳細設定：現実】
外の世界における『新童 萌乃美』
本名は『明日 萌乃美 / アカヒ モノミ』
オーヴァードでも何でもないごく普通の中学生だった。
性格も外見も夢の世界とほとんど変わらない。
違うところがあるとすれば、『現実の彼女は両腕を失っている』『家族全員を失っている』という点。
ある日の学校の帰り、いつものように帰宅していた彼女は突然何者かに目隠しをされさらわれてしまう。
犯人たちの目的は身代金というもの。結局犯人たちは警察の働きによって逮捕されることとなるのだが、逮捕される直前に彼女を閉じ込めていた家屋に放火してから逃げたのだ。
彼女は燃え盛る家屋の中、焼ける鉄の扉を必死に叩き助けを求め続けた。
意識も朦朧とし、あと少し助けられるのが遅ければ命を落としていたというところで救出される。
ただ無我夢中で叩き続けていた両腕は火傷により使い物にならなくなり、手術によって切除される。

こうして日常生活を送るのが困難になった彼女は、家族や友人からの助けがなければ生きるのも一苦労という状態で過ごすことになる。
この頃から「皆に助けられてばかりで辛い、皆を助けられるようになりたかった」と思うようになる。
両腕を失ってから半年、奇しくもその事象は彼女の学校帰りに発生した。
彼女の帰りを待つ家族がいる家に強盗が押し入り、金品を盗むと同時に家族を全員殺害したのである。
それだけであればまだ家族の顔を見ることはできたのだろうが、その犯人は隠滅とばかりに放火したのである。
彼女が家に着く頃には全てが焼け落ちた後で、あとには燃え尽きた灰が残るのみとなっていた。
呆然とし、その場に立ち尽くす彼女が目を泳がすと視界の端に映る小さな影がある。
それは、外で殺害されたため燃え尽きることなく横たわっていたペットの猫、ごまの亡骸であった。
彼女はその亡骸の前にへたり込み、ただただ、泣き続けた。

誰も救えなかった　誰の助けにもなれなかった　彼女の叶いもしない夢は炎と共に消えたのである。

【色の由来】
灰色。全て燃え尽き、あとに残った彼女の心だったもの。
焦げ付いた臭いと共に彼女の目に、脳裏に焼き付いた絶望の光景。
今まで抱いていた『安らぎ、温かさ』を塗りつぶすような『喪失、絶望』の色

【童話】
マッチ売りの少女。望んだものを夢見、どれも手に入れられなかった少女の物語。
最期は安らかな眠りを得た彼女だが、萌乃美に安らかな眠りは訪れない。彼女の心、安らぎは燃え尽きた。