一人称は俺。二人称はお前、あんた。三人称はあいつ。
　口調は強く雑だがこれといった特徴はなく、一般的な男子高校生のもの。
　自身のために誰かが犠牲になるといった事は許せず、その身を邪神(くそ野郎ども)に捧げてでも誰かを救う事を選ぶ。
　行動原理は自身が納得できるかできないかにあるらしく、他人に何を言われても特に何も感じず、アドバイスや助言の類は一応もらうが自分の中で納得がいかなければ実践しない。
　とは言うものの、優しさや思いやりに欠ける訳ではなく、空気を読んだり気を遣ったりする事もある。

　自身に取り憑いたレネゲイドビーイング（ヒキガエルと呼んでいる）については、「喧しいからとっとと消えて欲しい」という思いが強いが、いつ自身の身体を乗っ取られてしまうか不安でもある。

　本人は自身の意志の強さに無自覚であり、研究者やUGN本部の組員から意志の強さを言及されても「確かに、昔からホラー映画に強かったからな」位に思っている。
　本人曰く「恐怖は感じている。その様子が表に出にくいだけ」との事で、実際に邪神の眷属やその他の神話生物（独立種族）を直視した際も、手に汗を握っていたり、よく聞くといつもよりも声が若干震えていたりと僅かながら変化は見られる（それでも他者のそれと比べれば圧倒的に薄いが）。



　　理由は分からないが表情筋が死んでおり、泣いたり笑ったり怒ったりする事が余りない。本人曰く生まれつきのモノらしい。

　偽神の心臓(ファルスハーツ)の連中のアジトに潜入、または突入し、その中から象牙の書（エイボンの書）と呼ばれる魔導書の奪還が任務内容だった。
　構成員や実験体からの抵抗は予想よりも遥かに強かったものの、何とか殲滅に成功。厳重に保管されていた象牙の書の元へと辿り着き、任務達成のためその本に手を伸ばした。

　その時だった。突如として目の前の本からにゅるりと異形の触手が飛び出してきた。周囲の光を吸い込むほどに黒く、汚泥のごとき粘液を纏った触手は、どこかヒキガエルを連想させる……見た目だけは。
　一瞬の出来事で触手の対処は間に合わず、這いずり出てきた触手は勢いよく自身の身体へと近付き、その穴という穴から侵入を果たした。
「汝が肉体は我が従僕なり。汝はツァトゥグァの門なり」
　その声と共に、自身の邪神の因子が活性化し始める。旧支配者の依り代として相応しい肉体へと、自身の身体がこの世ならざる悍ましき怪物の姿へと変貌していくその恐怖は、矮小なる只人が狂気に囚われたジャームと化すのに、余りあるモノだっただろう。










―――本来であれば。

「……いや人の身体で、ごちゃごちゃ騒いでんじゃねーよ。出てけ」

　能力のルーツはツァトゥグァ。

　手で銃を形作る事によって（別にこの動作は必要ではなく、ルーティーンのようなモノ）人差し指の先に魔法陣が展開され、そこから銀の弾丸を発射する。
　また自身の因果律を歪め、攻撃を回避した事にできる。