ある女性の子供として生まれた。父親はおらず、母親に育てられる。

中学の時から、彼に対する母親の接し方が変わった。彼の知らない男の名前で呼ぶようになり、彼を「男」として扱うようになった。厳密には知らない男、という訳ではなく、名前だけしか聞かされていない父親の名前だった。

父親と見なされ、男として扱われ、彼の精神は次第に歪み始める。他人にすら触れられなくなり、特に女性に対する嫌悪は著しいものとなった。化粧品の匂いや好意を持たれること、性的な目で見られることなど、多くのことを受け付けなくなった。外では笑顔で過ごしていても、一人になると吐いたり、体調を崩したりするようになっていた。

そんな生活が続き、高校生になってからのある日。母親との半ば強制的なセックスをさせられる生活に限界が来る。オーヴァードとして覚醒した彼は意識せずにワーディングを発動してしまい、無抵抗になった母親を手に掛けた。触れたくなかった為、台所にあった包丁で何度も何度も何度も滅多刺しにして……。そうして呆然としている間にレネゲイド反応を検知したUGNに発見され、保護された。

UGNで精神面での支援や治療を受け、オーヴァードとしての戦い方や世界の真実を学んでいる間に季節は過ぎ、彼は大人になった。
現在はUGNのエージェントとして働いている。

「　　　　」は、彼の保護を担当した、UGN所属の人間である。保護にあたった後に彼の身辺事情を知り、トラウマを払拭出来ないかと積極的に関わった。その結果、時間こそかかったものの確実に彼の信用を得ることに成功。ほんの僅かずつだが触れられるようにもなっていき……彼の歪みの根幹である、「性行為」に対するトラウマを軽減させることにも成功した。

その結果として、彼は「　　　　」に良く懐いていて、「　　　　」以外の命令は渋々で聞く、と言った具合にまでなっている。「　　　　」にだけは触れることが出来る。また、自身を受け入れ、認めてくれた上で救ってくれた恩人としてとても慕っている。
それこそただ一人、「　　　　」にだけ身を許す程には。

赤い長髪を高い位置で一本に束ねている。肌は白く、オッドアイであることや背が高いことも相まって、本人の意思に関わらず人目を引く容姿をしている。中性的な美人。

赤いスーツに白いシャツ、黒いネクタイ。胸や太腿、腕などにベルトをしていることもある。ぴっちりとした黒手袋を着用している。また、スーツに見合った黒い靴を履いているが、その踵はかなり高い。靴底1cmに加えて、踵だけで10cmはあるので、服を着ている際の身長は211cmとなる。でかい。

余談だがそれなりに筋肉はついていて、体付きは男性そのものである。