容姿・経歴・その他メモ

彼女は自身の生まれを知らない。
気がついたときには、白い箱の中で生きていた。

彼女はそこで生まれたのか、それともそれ以前に別の過去があったのか——その答えはわからない。
ただ、彼女の脳が記録しているのは、白い箱の中での日々だけだった。

何かを投薬され、試験を受け、また投薬され、また試験を受ける。
その繰り返しが、彼女にとっての「日常」だった。

だが、その日常はある日突然終わりを迎える。
UGNによる研究拠点制圧作戦が決行され、彼女は解放されたのだ。

――

その後、UGN支部長の勧めにより、彼女は高校に通いながら非戦闘員として働くことになる。
日常と呼ぶには変わった日々。
だが、これまでの彼女にはなかったものだ。

やがて、彼女は高校で出会った非オーヴァードの男子高校生とともに事件に巻き込まれる。
そして、その事件をきっかけに彼はオーヴァードへと覚醒し、二人は否応なく数々の事件に関わっていくこととなった。

いくつもの困難を乗り越えながら、なんとか二人は高校を卒業する。
いつ命を落とすかわからないこの世界で、彼女たちは卒業後すぐに結婚し、子供も授かった。
数年の間は、確かに幸せだった——あの日までは。

――

休日、親子水入らずで訪れたデパート。
突然の事件。
現れたジャーム。

夫は彼女と息子を守るため、自らを犠牲にしてジャームを食い止めた。
彼女にできたことは、ただ息子を抱いて逃げることだけだった。

だが、それで終わりではなかった。
｜世界《日常》はすでに浸食されきっていた。

息子が10歳になった頃、再び事件に巻き込まれる。
そして、彼もまたオーヴァードへと覚醒してしまう。

母を守るためにすべての絆を断ち切り、闘い続けた息子。
そして、最後にはジャームと化してしまった。

彼女は、手に入れたはずの日常を完全に失った。

――

UGNは彼女を憂いたのか、強制的に休暇を命じた。
しかし彼女は、何もすることもなく、ただ無力感に押しつぶされるように日々を過ごす。

そんなある日、転機が訪れる。

所与された｜力《ウロボロス》に彼女は踊らされるのか。
それとも、その力をもって｜夢《欲望》を叶えるのか——。

――

力を得た彼女は、もはや非戦闘員ではなくなった。
UGNエージェントとして、事件の最前線に立つ事となった。

そしてある日、UGN支部長のポストが引退により空席となった。
現場と裏方、双方を知る人間として、また元UGN支部長の推薦により、霧谷雄吾からその席に就くよう依頼を受ける。

今まで守れなかった分を、これから守るために。
そして、彼の夢を叶えるために。

彼女は、その席に就くことを決断した。

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