容姿・経歴・その他メモ

【容姿】
能力に目覚めた日から徐々に身体の色素が薄くなっていっている。
肌は青白く、髪は赤茶けて、そして何より目である。爛爛と真っ赤に輝くようになってしまったこの目。
これらを隠すように冷房の効いている花屋ではモッズコートを着ており、目元を隠すように髪も伸ばしている。

【経歴】
「貴方には王の素質がある」嬉しそうに語り掛けてくる婆さんは、その後どうなったか全く分からない。
「貴方、目覚めたのね。私と来ない？」そう誘ってきた幼馴染の手を強引に振りほどいた。
最悪だよ全く。こんな生き方をするつもりは毛頭なかった。

17歳のある日、横断歩道の真ん中で往生している婆さんを助けた。
正義の心が～とかそういうもんでは決してない。俺も早く渡りたかったし、婆さんを見て見ぬふりってのも目覚めが悪いし。
そんなこんなで助けた婆さんがお礼をしたいっていうもんだから家までついていったんだ。人の好意は受け取りなさいって育てられてきたしな。
そしたら「見せたいものがある」とか言い出してガラクタを見せられた。ガラクタと引き合うように自分の手から電撃が流れたときはさすがに焦ったね。それを見た婆さんが言ったのが「王の資格」って単語だった。

わけが分かんないからさ、飛び出したんだとりあえず。
仕舞い方も分かんないから手から電撃は出っ放しだったよ。遮二無二走ってると女の子にぶつかりそうだったから「止まれ」って強く念じたんだ。そしたら止まって。可愛い娘だったからさ、かっこつけちまった。
デジャブってもんはあるもんで、「それが君の能力だよ。私ならその使い方を教えてあげられる。私と来ない？」なんて誘ってきやがった。怖かったから逃げたけど、思い返してみればありゃ幼馴染の奏里だったな。

その日の夜の事だった。
奏里が音もなく現れて俺をさらおうとした。
訳も分からずに連れていかれるのが気に入らなかった。あの時の気分を今考えるとそんな浅い理由だった気がする。
とにかく抗った。
こうなれと思ったことの6割が出来た。少しだけ力に酔っていたのかもしれない。
イヤホンをしたままチャリに乗った中学生が近づいているのに気が付かなかった。振り回した電撃がソイツを直撃した。
顔が真っ青になった。彼が倒れていくのをただ見ているしか無かった。
そしてようやく気づいた。この力は容易に人を傷つけてしまえる力だと。
闘う意思はもはやなかった。ファルスハーツだかなんだか知らないが、この力の抑え方を教えてもらうべきだと考えた。
すると別の集団がやってきて奏里を追い払った。別れ際の奏里のゾッとする笑顔は今でも忘れられない。

そいつらは自らをUGNと名乗った。記憶がまだあるということは、俺がその後組織に属したということの証明であると言えよう。
こんな能力を持っていることも嫌なくらいだが、生きていくのだ。付き合っていくしかあるまい。
いろんな事件に付き合わされた。能力を振るって爽快だと思う瞬間などない。いや、律しているから考えないようにしているだけか。

生き残るから、長く生きただけ立場ばかりが偉くなっていく。俺の内面はガキのままなのに。
どうせ偉くなったのだから我が儘を言ってみた。郊外で花屋がしたい、と。
言ってみるもので、これが通った。抗争？しらん、勝手にやってろ。俺はひっそりと暮らしたいんだ。

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