と、ここまで記載された情報のほとんどは、全くのデマである。上記の情報群は、UGN情報管理部で「何故か」改ざんされた状態で保管された資料であり、“戦争誘発人(マッチポンプ)”アメリア・リートフェルトの持つ遺産「誓約の瞳」による洗脳で支配下に置かれた情報管理部の職員によって編集された内容であろうと思われる。本項は、UGN大和支部情報管理部チーフ「クロム・フォルクマン」によって情報精査が行われ、権限更新によるブロッキングが行われた正式な内容であるため、彼女に関する情報の閲覧については、本項以降の内容を参考にされたし。

彼女の正体は「戦争誘発人」。戦争を停めるのではなく「誘う」ことを至高の愉悦とする最悪の戦争犯罪者である。────正確にいえば、犯罪者で「あった」、が正しい表記であるといえる。

アメリア・リートフェルトは、ギルドオランダ支部「戦火扇動戦線」に所属するエージェントであった。もとより人の混乱と狂気に染まった顔を見ることを好み、大局を扇動することに優れていた彼女は、さらなる力を求め、人の心を覗き、その思考を除き取る遺産「誓約の瞳」を右眼に移植。その力を使い、各国の要人などを拐かすことで数多くの戦争を発生させ、それによって起きる特需を裏から独占することで多くの利益を得ていた。
ある時、アメリアは任務を受ける。日本にて、遺産継承者達によって構成された非正規の特殊部隊が発足し、数々の戦争を強制的に終わらせているという。この状況を危惧したギルド上層部は、アメリアに対し、かの特殊部隊の壊滅を命じる。彼女の力によって組織の主要人物を洗脳すれば、組織形態の瓦解は容易い────その、はずだった。その相手が、後のUGN大和支部支部長にして、「遺産小隊」隊長、「葛西飛鳥」でなければ。まんまと洗脳を打ち破られ、その作戦の悉くを失敗に終わらされたアメリアは降伏を宣言。彼女の身柄はUGNによって拘束された後、UGNへの貢献によってその罪を償うという形で葛西の管理下に置かれることになる。本来ならば即殺処分もあり得たはずの状況から命を救われたアメリアに対し、葛西は言った。

「君にはこれから、君を利用してきた悪党共の面を歪めさせるためにその力を振るってもらう。嫌なら精々寝首を掻けるように頑張るといい」

以降、彼女は、戦争の調停役兼戦地における諜報員として遺産小隊で活動。数々の戦争を終戦まで持ち込み、その関係者である多くの富裕層や裏で儲ける犯罪者たちの権威を失墜に追いやっている。しかし、どんなに多くの人間にとって有益なことを行っていたとしても、あくまでアメリア・リートフェルトは人の不幸を愛する犯罪者。彼女が改心したわけでもなければ、UGNらしい正義を持っているわけでないということを、努々忘れてはいけない。