“傾奇の仇花”比戸英 蘭丸
プレイヤー:ザウルス
- 年齢
- 17歳
- 性別
- 男
- 星座
- 蠍座
- 身長
- 147cm
- 体重
- 34kg
- 血液型
- AB型
- ワークス
- UGNエージェントD
- カヴァー
- UGN職員
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- ブラム=ストーカー
- エンジェルハィロゥ
- HP最大値
- 24
- 常備化ポイント
- 6
- 財産ポイント
- 3
- 行動値
- 12
- 戦闘移動
- 17
- 全力移動
- 34
経験点
- 消費
- +0
- 未使用
- 0
ライフパス
出自 | 裕福ではなかったが、困窮していたわけでもなかった。今となっては郷愁の彼方に。 | |
---|---|---|
安定した家庭 | ||
経験 | 全ての始まり。やたらめったらに、めちゃくちゃに、すべてをぶちこわしにした。あの心地よさは今でも手に残っている。 | |
力の暴走 | ||
邂逅 | 腐れ縁というよりは、全力で近づいていっている。無理矢理にでも腐れ縁にしなければ会うことはできなくなるだろう。 | |
腐れ縁 | ||
覚醒 | 侵蝕値 | 己の体を蝕むのは姉の残滓。思えば、姉とのつながりとなるものはこれぐらいしかない。姉のことなんて、知ろうともしなかった。 |
感染 | 14 | |
衝動 | 侵蝕値 | 時折、果てしない恐怖に襲われる。永遠に孤独でいるのかもしれないという、どこか人ごとのように感じる恐怖だ。もしかしたら、この感情は姉が抱いていたそれであるのかもしれない。 |
恐怖 | 17 | |
侵蝕率基本値 | 31 |
能力値
肉体 | 1 | 感覚 | 5 | 精神 | 2 | 社会 | 1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
シンドローム | 1+0 | シンドローム | 2+3 | シンドローム | 1+1 | シンドローム | 0+0 |
ワークス | ワークス | ワークス | ワークス | 1 | |||
成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
白兵 | 5 | 射撃 | RC | 1 | 交渉 | 1 | |
回避 | 知覚 | 1 | 意志 | 1 | 調達 | 2 | |
芸術:ファッション | 1 |
ロイス
関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Dロイス | 光使い | ― | |||||
師匠 | 稍越恒河 | 尊敬 | / | 劣等感 | |||
腐れ縁 | マリア・チェスニコフ | 憧憬 | / | 恐怖 | |||
シナリオ | 元居恵怒文人 | 誠意 | / | 侮蔑 | |||
― | |||||||
― | |||||||
― |
エフェクト
種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
赫き剣 | 4 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | ― | |
使用時にLv×2以下の任意のHPを消費する。そのシーンの間、あなたは以下のデータの武器を作成し、装備する。[種別:白兵 技能:白兵 命中:0 攻撃力〈消費したHP+8〉 ガード値:0 射程:至近] 〈EA:45ページ〉 | |||||||||
血の宴 | 1 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | 範囲(選択) | ― | 3 | ― | |
このエフェクトを組み合わせた攻撃を範囲(選択)に変更する。このエフェクトは1シナリオにLv回使用できる。〈EA:48ページ〉 | |||||||||
渇きの主 | 1 | メジャーアクション | 〈白兵〉 | 対決 | 単体 | 至近 | 4 | ― | |
このエフェクトを組み合わせた攻撃では、対象の装甲値を無視してダメージを算出する。命中した場合、あなたのHPを[Lv×4]点回復する。ただしこの攻撃は素手か「赫き剣」によるものでなくてはならない。〈EA:45ページ〉 | |||||||||
光の舞踏 | 1 | メジャーアクション リアクション | 〈白兵〉 | ― | ― | 武器 | 2 | ― | |
このエフェクトを組み合わせた判定は〈白兵〉で行える。〈HR:72ページ〉 | |||||||||
コンセントレイト:エンジェルハイロゥ | 2 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
組み合わせた判定のクリティカル値を-Lv(下限値7)する。 | |||||||||
光芒の疾走 | 1 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 1 | ― | |
あなたは戦闘移動を行う。この移動では離脱を行える。また移動中に他のエンゲージに接触しても移動を終える必要はなく、封鎖の影響も受けない。このエフェクトは1シーンにLv回使用できる。 〈EA:22ページ〉 | |||||||||
光使い | 1 | メジャーアクション リアクション | シンドローム | 対決 | ― | ― | 2 | Dロイス | |
組み合わせた判定のダイスをLv+2個する。〈上級:48ページ〉 | |||||||||
裸の王様 | 1 | ||||||||
スポットライト | 1 | ||||||||
かしずく歯車 | 1 | ||||||||
コンボ
血槍降臨:寺池蓮&白鷺流「刺し翡翠」
- 組み合わせ
- 光芒の疾走&赫き剣
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 6
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 100%以上
〈赫き剣〉で武器を作成し、封鎖を無視して戦闘移動を行う。この戦闘移動では離脱を行え、エンゲージに接触しても移動をやめなくても良い。
白鷺流偽秘傳「水浴み烏合」
- 組み合わせ
- 血の宴&渇きの主&光の指先&光の舞踏&コンセントレイト:エンジェルハイロゥ
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 範囲(選択)
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 11
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+3
- 8
- 5
- 100%以上
- 5+4
- 7
- 5
- 5+3
この攻撃の判定は〈感覚〉で行い、判定のダイスを〈+Lv+2〉個し、C値を-Lv(下限値7)する。またこの攻撃は装甲を無視し、攻撃の対象は範囲(選択)になる。この攻撃が命中した場合、自身の体力を〈Lv×4〉点回復する。
白鷺流「昇り夜鷹」
- 組み合わせ
- 渇きの主&光の指先&光の舞踏&コンセントレイト:エンジェルハイロゥ
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 8
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+3
- 8
- 5
- 100%以上
- 5+4
- 7
- 5
- 5+3
この攻撃の判定は〈感覚〉で行い、判定のダイスを〈+Lv+2〉個し、C値を-Lv(下限値7)する。またこの攻撃は装甲を無視し、命中した場合、自身の体力を〈Lv×4〉点回復する。
白鷺流「帰り燕」
- 組み合わせ
- 光の舞踏&光の指先
- タイミング
- リアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対決
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 4
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+3
- 5
- 100%以上
- 5+4
- 5
- 5+3
このリアクションの判定は〈感覚〉で行い、その判定のダイスを〈+Lv+2〉個する。
武器 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 命中 | 攻撃力 | ガード 値 | 射程 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
特殊警棒 | 2 | 白兵 | 〈白兵〉 | 0 | 2 | 0 | 至近 | この武器はオートアクションで装備できる。 |
一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
---|---|---|---|---|---|
コネ:UGN幹部 | 1 | コネ | 〈情報:UGN〉 |
経験点計算
能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用/合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
14 | 116 | 0 | 0 | 130 | 0/130 |
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
〈プロフィール〉
・好きなもの
ヒーローもの全般、姉、槍
・嫌いなもの
高い所、銃
・好きな食べ物
抹茶アイス
・嫌いな食べ物
麻婆豆腐
・座右の銘
『情けは人の為ならず』
・一人称
わし
〈容姿〉
本人の趣味から、赤いシャツに黒いスーツを着た上から、やたらファーのついたコートを羽織っている。
髪は銀色に染め、オールバックに整えている。後ろの髪は少し跳ねさせており、このセットには1時間かかるとか。
目には赤いカラーコンタクトを入れている。これらのファッションの維持費はそこそこ馬鹿にならないらしい。
〈性格〉
簡単にまとめるのであれば『大人ぶろうとしている子供』。自分よりも年上の存在、『稍越恒河』や『比戸英蓮奈』に対して過度な理想化をしたうえで憧れ、彼らのようにあろうと完璧なヒーローを目指す。言うなれば他者理解が足りず、自分の中だけで世界が完結してしまっている。そのために他者への配慮も足りず、今でこそ大きな問題は起きていないが善行も主観的な視点から行ってしまい、言動にも思いやりが欠けている節がある。
明るく振舞っているが本性は根暗。憧れの二人のような明るいふるまいを目指して努力はしているが、時折暗い一面が垣間見えることがある。同時に悲観的でもあり、将来自分が化け物になるという意識は常にあり、その思いに苛まれている。
また自己肯定感が低く、自分の思考に対して余りも自信がなく、善行の基準も『比戸英蓮奈』や『稍越恒河』、『マリア・チェスノコフ』の言動に由来しており、行動を起こす前には彼らの言葉を思い出して行動している。
人への配慮が足りず、依存的であり思考も幼稚な臆病者であるのが比戸英蘭丸という男だ。
しかし、蘭丸はそんな自分について嫌悪感を抱いている。先ほどの自己肯定の低さもそれに起因するものである。故にこそ蘭丸はヒーローを目指し、ヒーロー足らんと振舞うのだ。
誰かの気持ちに配慮できずとも、せめて一人でも多くを喜ばそうと振舞い、未来において己を失い化け物となる恐怖に心を蝕まれようとも、勇気を奮い明日への希望を開く。
何もできない、何も救えない、何もわからない、そんな中においても何かをしたい、誰かを救いたい、人をわかりたいと願い、その思いを胸に秘め、比戸英蘭丸は、明朗快活にして豪放磊落、弱きを助けて悪しきと対峙し、誰かのよりどころとなるヒーロー『傾奇の仇花』として振舞うのだ。
派手でかっこいいのが好きなのは元から。オーヴァードとなる前には自分の服装で実践するにはには抵抗があったが、『傾奇の仇花』を名乗るようになってからは『ヒーローとはかくあるべき!』と一念発起し、お金をためて今のファッションにした。
〈経歴〉
『要約』
オーヴァードとなる前、蘭丸にはオーヴァードであり、UGNエージェントであった姉『比戸英蓮那』がいた。蘭丸は姉に『ヒーロー』に対する憧れのようなものを抱いていた。しかしある時、姉はジャーム化して暴走。UGNを離脱した上で一般人を無差別にオーヴァードにしようとし、大量虐殺を引き起こした。
蘭丸はその事件によってオーヴァードに覚醒。しかし姉を失った喪失感や暴走した時の不気味な快感から引きこもるようになったが、『稍越恒河』との出会いと交流、そして『鋼鉄の怪鳥』との戦闘を経て、かつての自らの過ちに気づき、そして追い詰めてしまった姉を救うような『ヒーロー』となることを誓い、UGN入り。
現在は稍越の元で槍術を学びながら、姉を追う足がかりの一つ、裏切り者殺しの本部四課『エスケープキラー』に入隊できるように研修と業務をこなし、誰からも頼られるヒーローを目指して生活している。
『全文』
比戸英蘭丸はごく普通の一般家庭に生まれた。ドイツ人の父、ユリウス・ヒュンダイムと日本人の母の比戸英雛菊との間に生まれた蘭丸は、二歳違いの姉である比戸英蓮那と共に愛されて育てられた。
蘭丸は体の発達が比較的遅かった影響で、運動がてんで出来ず、鬼ごっこやかけっこで負かされてはそのことをほかの園児からからかわれ、泣かされることが多かった。そのたびに姉である蓮奈が弟を庇って意地悪な園児と喧嘩するというようなことが多く起こった。そういった幼少期から蘭丸はシスコンかつまた運動嫌いになり特撮やゲームなどのインドア系の趣味に走るようになった。
小学校に上がってからも運動を好むことはなく、昔の経験から周囲の『同級生』に不信感があったために周囲と馴染むことができずにおり、暇があれば姉のクラスに行って読書かお絵描きばかりしていたという。しかし、そんな蘭丸を両親は心配していたものの、蓮奈が蘭丸を
そして小学六年生になった時、ある大きな転機が訪れた。姉の蓮奈がオーヴァードに覚醒したのだ。本来ただの人間であった蘭丸はワーディングによって蓮奈がオーヴァードであることを知る由もなかったが、たまたま蓮奈が関わった事件の黒幕に人質として誘拐され、蓮奈がオーヴァードという怪物だと見せつけることで動揺を誘う作戦に利用された。しかし、蘭丸は動揺せず、むしろ姉をヒーローと呼び勇気づけ、事件の解決に貢献した。事件の解決後には蓮奈がオーヴァードであることは二人だけの秘密として家族や友人には教えることはなく、蓮奈がUGNに所属し働けるようにサポートするようになった。UGNで日夜働く姉の姿を見ていた蘭丸は、その姿をかつてあこがれたヒーローに重ね、ますます尊敬の念を募らせていくようになった。
しかしその三年後、蘭丸が中学三年に上がるころに悲劇は起きた。突如蓮奈がジャーム化(第四課の考えではこれより以前にジャーム化しており、本性を現した、という方が正しいという)所属していた支部を壊滅させた。
そればかりか両親と蘭丸の三人にも致命傷を与えたばかりか、自身の血を強制的に輸血し、無理矢理にオーヴァードに覚醒させようとした。
結果として父親はオーヴァードになることなく死亡、母親はジャーム化し、蘭丸もかろうじてジャーム化だけは避けられたものの、暴走状態に陥りジャーム一歩の手前の状態となった。蓮奈はこの行為を友人や見知らぬ他人にも行い、次々とジャームと死者を増やしていった。その被害は蓮奈が手をかけたものだけでも百数十人に及び、ジャームの被害なども含めれば数千人は下らなかった。
未曽有の大災害となった蓮奈の大暴走は、UGNから派遣されたマリア・チェスノコフ率いる本部第四課『エスケープキラー』の面々と近隣の市から派遣された十人のオーヴァードによって最終的に鎮圧されたが、首謀者の蓮奈は逃亡。強制的に覚醒させられた市民たちは殆どが『処分』された。
蘭丸は暴走に際し、多くの建造物を破壊したが、派遣された十人のオーヴァードの一人、古流槍術『白鷺流』の使い手である『稍越恒河』により鎮圧された。
事変解決後、僅かな生存者の一人としてUGNに回収された閼伽井はジャームの収容施設に収容され、そこで四課に事情聴取を受けながら、オーヴァードとしての力の使い方を受けることになった。
"裏切りもの"閼伽井蓮奈の弟であり、オーヴァードとしての覚醒を遂げた蘭丸は、重要参考人として本部四課のリーダー『マリア・チェスニコフ』から直々の聴取を受けることとなった。
そこで蘭丸はマリアから、よく聞き知っていたヒーローとしての姉の功績、そして蘭丸が知る由もなかった姉の苦痛や悲劇について聞かされることになった。
結局、事件との関連性が薄いと判断された蘭丸は重要参考人から外れ隔離施設から出ることを許されたうえで、少なくとも高校を卒業するまでの経済的支援を約束された。しかし超越的な力がこの世に存在し、そして自分がそれを宿す『怪物』であるという意識と、一番の憧れであった姉が、大規模な災害を引き起こし、自身を傷つけたという経験は、蘭丸のこれまでの人生と常識を打ち壊し、普通の日常へと戻れなくしてしまった。
特にヒーローとして憧れていた姉が、実のところは様々な悲劇に晒され、苦しみぬいた果てに完全な怪物となってしまったことになによりもショックを受け、かつての明朗な姿は影も形もなくなってしまった。今まで頼りにしていた、姉をはじめとする家族を失った喪失感、そして化け物になってしまう不安を抱えながら日々を過ごすことになった。
そんな折、彼の元を稍超恒河が訪ねてくる。稍越が訪問した目的は、かつて暴走した蘭丸と相対した際に、その振る舞いが特徴的だったため、素がどういう人物という興味から来る軽い動機だったが、実際の蘭丸はあまりにも普通の子供であり、それどころか心身ともに衰弱してしまっていた。見かねた稍越は蘭丸の話を聞き、蘭丸の悩みがオーヴァードゆえの力の暴走であると知った稍越は、蘭丸に自身の経営する武術道場で稽古を受けることを提案する。厭世的になっていた蘭丸は、その提案にはあまり乗り気ではなかったが、当時彼の心理的なケアを担当していたUGN職員『八目蓮華』の勧めもあり、しぶしぶ稽古に赴くことを承諾し、週に二回ほどL市に赴くことになった。稍越が教えていた白鷺流槍術は合気道をベースとしており、力を操ることを念頭に置いた武術であり、力の暴走を恐れる蘭丸にとっては力の制御を旨とする白鷺流は、蘭丸にとっては自身に宿る"よくわからない力"の存在を明確に知覚し、荒ぶるそれを抑える手助けとなるものだった。
レネゲイドの暴走を不可避のものとして恐れ、それに起因する不安や抑うつなどを抱いていた蘭丸の気分は、力の手綱をにぎる術を手に入れたことで改善したものの、それでも蘭丸には漠然とした不安や厭世感は残り、生活に対する消極的な姿勢が変化することはなかった。
そんな折、比戸英蓮奈の捜索の手がかりを失ったマリア・チェスノコフ並びに四課の面々は、蓮奈をおびき出す囮として彼女が執着を見せていた蘭丸の利用を思案し、そのために蘭丸の社会復帰に対して援助を行うようになる。それでも蘭丸の消極的姿勢は変化を見せることはなかったが、マリアが提案したとあるプログラムにより蘭丸の状態は大きく変化することになる。
そのプログラムとはUGNの任務に補助要員として同行させることであり、その内容はオーヴァードとして生まれた子供たちの移送だった。マリアの狙いとしては社会に参画する実感を与えることで、社会に貢献する喜びを見出させて、そこから社会で生きる姿勢を取り戻すというものだったが、その目論見は大きく外れることになる。
特段の危険性がないとされていた任務だったが、護送対象の子供の父親の一人が、自身の離婚後にUGNが子供を預かることを逆恨みし、『ギルド』経由で雇った傭兵をけしかけ、子供を取り戻そうとしたのだ。
突然の襲撃にUGNの護衛たちはほとんど対応できず、ほぼ壊滅状態となるものの、すんでのところで非戦闘要員であった蘭丸と標的だった子供『蛾引結喜』を逃がすことに成功する。蘭丸はそのまま近くの支部に逃げ込めばよかったものの、支部への道が分からずに子供と二人で途方に暮れる羽目になった。
二人でうろうろと歩いているうち、とうとう差し向けられた傭兵の一人『"鋼鉄の怪鳥"チャールズ・ワットソン』に発見されてしまう。戦闘訓練も不十分な上に、レネゲイドの力を扱うようになって日が浅い蘭丸では歴戦の傭兵であったチャールズには全く相手にならず、徹底的にいたぶられてしまう。圧倒的な暴力に恐れをなし、とうとう血に伏せて動けなくなってしまった蘭丸。結喜も精いっぱいの抵抗を見せたものの、子供では相手になるはずもなく、同じように痛めつけられてしまう。蘭丸を見下ろし、罵倒する言葉を吐きながら結喜を連れ去ろうとするチャールズ。それをなすすべなく見送るしかなかった蘭丸は、目に涙を浮かべ、今にも気を失いそうになりながら必死にこちらに手を伸ばそうとする結喜の姿を見る。その姿に守れなかったことへの罪悪感、そして何もできない自分への自嘲を抱いていたが、チャールズがたたんでいた翼を広げ始めた時、蘭丸は結喜が何かを言おうとしていることに気づいた。あちこちを殴られ、息も絶え絶えになりながらの言葉はもはや音としての形を成してはいなかったものの、その口の動きで蘭丸は何とか何を言おうとしているのかを気づくことができた。
その言葉は「大丈夫」。その時の蘭丸は、その言葉が結喜が自分が大丈夫という意味で言ったのか、それとも地面に倒れ、動かない蘭丸を気遣い大丈夫といったのかの判別はつかなかった、というよりもそんな解釈などはその時の蘭丸にはどうでもよかった。その『言葉』が届いた瞬間、蘭丸は反射的に立ち上がっていた。チャールズに痛めつけられていたことは確かだったが、本来は立ち上がることのできないほどの傷ではなかった。蘭丸の誰かがやってくれるという甘えの気持ちと、痛いのは嫌だという気持ちが、蘭丸を立ち上がらせていなかっただけだったのだ。その気持ちを振り払うことができたのは、当然の如く結喜の言葉がきっかけだった。結喜が口にした大丈夫という言葉は、蘭丸にとっては聴きなれた言葉だった。その言葉はかつて、ジャームとなる前の姉がよく口にしていたものだったのだ。結喜がその言葉を発した瞬間、蘭丸には最後に見た姉の姿と結喜がダブって見えた。結喜に姉と同じ道を歩ませないという英雄的な動機、そしてかつて姉を救えなかった故の代替行為、この二つが原動力となり蘭丸を立ち上がらせたのだ。オーヴァードとなって、というよりも人生で初めて一人で立ち向かうという決意をした蘭丸の脳は著しく活性化し、その高ぶりに合わせ、レネゲイドも活性化し、血でできた武器を生み出す力と異常な集中力を発現。「失う」という恐怖の衝動に身を任せ、チャールズに挑みかかる。圧倒的優位に立ち、このまま蘭丸を無視することもできたチャールズだったが、強い嗜虐衝動をもっていたチャールズは蘭丸の衝動に当てられ、蘭丸を痛めつけるという誘惑にあらがえずに戦闘を受けてしまう。
レネゲイドの扱い方を覚えたとはいえ、それでも実力の差は歴然であり、蘭丸は劣勢に立たされてしまう。それでもレネゲイドの衝動に身を任せて、命を削るような戦いを続け、とうとうジャームとなる直前にまで追い込まれる。それでもわが身を顧みることなく、戦闘を継続しようとする蘭丸の眼に、怪物と怪物の戦いを怯えながら眺める結喜の姿が飛び込んでくる。その姿に動揺をした蘭丸は、その隙を突いたチャールズに捕まれ、結喜の方へと投げ飛ばされてしまう。壁にたたきつけられ、地面に倒れる蘭丸。冷静になった頭で自分が力の衝動に飲まれたことを理解し、すさまじい後悔に襲われるが、そんな蘭丸に結喜は「負けないで」と声を掛ける。その言葉に蘭丸はかつて見ていた、そして憧れていたヒーロー番組がフラッシュバックし、今の自分がヒーローの立場であるということに気づく。それは今まで自分が頼る立場であったのが、頼られる立場になったことということであると気付いた蘭丸。結喜を守るため、安全に助けるため、怯えさせないため、救うため、衝動に飲み込まれない戦いをすべきだと悟った蘭丸は呼吸を整え、思考を巡らせる。チャールズがゆっくりと近づく中で、蘭丸は一つの答えを導き出す。
それは稍越の元で学んだ白鷺流の術理、己のうちに荒れ狂う力を制御し最大限に利用する武術。その力を以て衝動に飲まれることなく、敵を打ち倒すことを思い立つ。
しかし、それではまだ足りない。未だレネゲイドの暴走の危険性は秘めたまま。おまけに武術を使うのもぶっつけ本番である。再び恐怖という暗雲が蘭丸に立ち込める。しかし今の蘭丸の心に一つの光明が差す。それは自分が理想とするヒーロー像。テレビの中にいた、勇猛果敢な架空のヒーロー、レネゲイドの力を完璧に抑え、暴走する自らを鎮め、力の手綱の握り方を自らに教えた稍越、そして暴走の際に垣間見た、姉と戦い合理的に戦う美しいマリア、そしていつだって弱音を見せず困難辛苦に戦い続けた姉、情けない、という自覚はあったが、自分では暗雲を払うことは叶わないと分かっていた。だからこそ、そのヒーローたちの在り方を求めた。自分では無理ならば、彼らであればその暗雲を払うことができると考えたのだ。
その願いに応えたのは、やはりレネゲイドウィルスだった。血でできた武器は直槍という明確な形に変化し、みずからに流れるレネゲイドを感覚的に知覚する力と、自らの思いのままにレネゲイドを統べる力を獲得した。そして、ヒーローという在り方を求めた蘭丸の手に、その在り方をなぞるための軌跡が与えられた。蘭丸はヒーローになるのではなく、ヒーローの在り方を手に入れたのだ。
冷静に、不屈に、流麗に、槍を構えチャールズと再び相対する蘭丸。その後の決着は一瞬だった。地面に膝をつくことになったのはチャールズ。槍で腹を貫かれたのだ。敗因はチャールズの慢心と油断。実力の差を考えればその慢心は妥当ではあった。事実、新たな力を手に入れた後でも、蘭丸とチャールズとの間に大きな力の隔たりがあり、本来は慢心をしてもたやすく勝つことのできるほどであった。しかし、チャールズは嗜虐に走るあまりに防御を捨てていた。その上に蘭丸は、稍越の動きをトレースし攻撃を行っていた。蘭丸ならばともかく、稍越は歴戦の実力者であり、彼の攻撃を捌くのは万全のチャールズであっても難しかっただろう。
とはいえチャールズもオーヴァード。本来ならば致命傷であるその一撃も、オーヴァードであればかすり傷のようなものだ。逆上したチャールズは再び蘭丸に襲いかかる。が、ちょうどそのタイミングで二人の捜索に派遣されていた支部の職員が到着。形勢不利と判断したチャールズは悪態をつきながらその場から逃走し、蘭丸と結喜は事なきを得たのだった。
UGNに保護された蘭丸は気が抜けてしまい、そこから三日ほどぶっ続けで眠ってしまった。目覚めた後、チャールズとの一件を想起した蘭丸は”頼られるものの重圧”を知り、かつての姉がどれほど辛かったのかをやっと心で理解することができた。再び思い悩む蘭丸の元に、結喜が訪れてきた。お礼を兼ねてのお見舞いであり、蘭丸が目覚めたばかりであったこともあって長く話すことはできなかったが、蘭丸は結喜から感謝の言葉を述べられたことでどこか救われたような気持ちになった。この体験から蘭丸は、過去自分は姉に頼ることを当然と思い、感謝を述べることをしなかったことを思い出した。姉に重荷を背負わせたままにしてしまったことに後悔の念を抱いた蘭丸。また感謝されることにも喜びを感じた蘭丸はあることを決意した。それはかつての姉のようなヒーローとしていろいろな人を助けながら、いつか姉すらも救えるヒーローになって姉を迎えに行くというものだった。そこで蘭丸は準備として実力をつけるために稍越への本格的な弟子入りを志願。そして姉を追っている四課への参加をマリアに直談判した。稍越の方は快く受け入れてくれた。一方四課のほうも囮要員として使う関係から参加することを認めたが、5年間、四課の監督下でUGN職員としての研修を行った後、マリアから直々にアッシュ評議員に推薦してもらったうえで、評議員が了承した場合にのみ参加を認めるという条件を付けられ、蘭丸はこれを受け入れUGNに加入した。
現在はUGNで働きながら、稍越の元で本格的に槍術を学ぶ日々を送っている。最近ではマリア直々に潜入の演習として斬断組の調査を命じられ、そこの組員として活動しながら多くの人を救えるように奮闘している。
〈セリフ〉
名乗り口上
遠からんものは音に聞け、近くばによって目にも見よ!我こそは斬断組が一番槍!"三途の血留玉"、"紅き陽炎"、"輝ける尸鬼"、"傾奇の仇花"、我を飾り立てる名は数知れず!我が血槍は無窮の極み、貫かざるを知らずの天下一の冴え!我が腕は武錬の極み、並び立つもの天下に数知れずの無双の技!天下泰平に轟き、聞けるもの遍く全てを慄かせる、勇ましくも美しき我が名は比戸英蘭丸!我が名、黒縄の果ての果てまで、閻魔獄卒への土産にでも持ち帰るがよいわ!
〈蘭丸のあれこれ〉
・体格について
元々、同級生の中でも小柄な方であったがオーヴァードとなった日からは完全に肉体的な成長は止まってしまった。UGNの研究者は蘭丸に投与された蓮那の血液が、他の被害者よりも多かったことが影響しているのではないか、と考察しているが実際の原因は不明。
・戦闘スタイル
白鷺流槍術をベースに、未だ足りない部分をエフェクトで補う、もしくは強みを活かす戦闘スタイル。体格に恵まれない蘭丸は、白鷺流の力を操る技法と不意打ちの技術にエンジェルハイロゥの超感覚を利用し、常に初見殺しのような攻撃を仕掛けることで正面からの打ち合いを避け、体格面での不利をカバーしている。
また、一戦級には劣る技量と経験を補うため、戦闘時に血でできた鱗粉を撒き、戦闘中に行う戦闘の動きを予め組み立て、その動きを独自のパターンで鱗粉を光らせることで予め記述することで、戦闘でのもたつきやミスを防ぎ、さらに思考の速度を排した高速戦闘を可能にした。
光る鱗粉を用いているため、蘭丸が戦闘を行う際には周囲に蛍のような光の粒子が飛んでるような状態になる。その様から『蛍の支配者』というコードネームを付けられそうになったが、断固拒否した。
・武器
『寺池蓮』
蘭丸が『赫き剣』で作成する武器。日本の直槍に類似した形状をしており、長さは250cmほどだが、蘭丸の意志に従いン伸び縮みさせることも可能。
槍として使うために
・白鷺流
——その槍捌き流麗にして、その体捌き嫋やかなり。白鷺流とは捌きの術理、その有様は天を舞う鳥の如く、何人にも触れること叶わず
L市に伝わる古流槍術。直槍による実践槍術を主軸としながら合気や古流柔術を取り込んでおり、力を制御することに重きを置いている。力の制御と知覚を根幹とし、相手の力の流れを掻き乱すことで攻撃を逸らし、自らの力の流れを操ることで最小の力で最大限の破壊力を発揮するのが特徴である。
技
『白鷺流・刺し翡翠』
白鷺流に伝わる歩法。腰を深く落とし、槍を地面につけるほどの前傾姿勢からすり足で移動する。重心を全くずらさず、すり足での不規則な移動により、相手の懐に一瞬で潜り込む。
本来は相手との間合いを詰めるためだけに使われる歩法であり、ある程度の距離がなければ使用すらできないはずだったが、特に自身の力の知覚に長けた蘭丸の才覚とエンジェルハイロゥの超感覚による身体制御により、相手をぐるりと囲むように移動することによって、この移動方法を近距離においても活用することが可能になった。この『刺し翡翠』、もしくはそれを応用した動きにより相手をかく乱しつつ、意識外からの奇襲をかけるのが蘭丸の基本戦法である。
『白鷺流・帰り燕』
白鷺流に伝わる槍の操術。相手の攻撃に槍を合わせ、その攻撃の勢いのままに槍を軸として自分の体を回転させることで相手の攻撃をいなす技。
蘭丸は白鷺流を学び始めて日が浅いため、相手の力を乱すことは不得手としているため、鱗粉による補助やエンジェルハイロゥの超感覚を以てしてもこの技の精度は低い。
『白鷺流・昇り夜鷹』
白鷺流に伝わる刺突技。『刺し翡翠』からつなげる刺突であり、相手の懐までもぐりこんだ後に死角から低い前傾姿勢から突き上げるように槍を繰り出す技。
出会いがしらの初見殺しの色が強いこの技を、蘭丸は本来は難しい『刺し翡翠』の連続使用と鱗粉による動きの補助によって、不規則な軌道での移動を常時行い、かつ相手への死角への移動を素早く行うことができるようになり、防ぎにくさを保ったままに、連続での使用を可能とした。さらに『寺池連』を用いることで、刺突の瞬間に結合をほどくことで相手の装甲をかいくぐり直接攻撃することも可能にした。
『白鷺流・水浴み烏合』
白鷺流秘傳の一。膝の抜き差しと手首のひねりを利用することで不規則かつ正確に素早く、連続で複数の敵に刺突を繰り出す技。
蘭丸は白鷺流を学び始めてから日が浅く、この技を未だ体得していない。なので蘭丸はこの技の代わりに、寺池蓮を地面に突き刺してから、寺池連の穂先を分裂させて地面から生やすことで複数人への攻撃を行う。その技も『偽』と銘打っているものの、同じ『水浴み烏合』の名を冠している。本来の技とは似ても似つかない技にこの名前を冠している理由は『奥義とか秘伝は滅茶苦茶かっこいいからどうしても言ってみたかった』とのこと。
・話し方について
一人称はわし、語尾にはじゃを付けるなど、老人のような喋り方をする。これは意図的なものであり、自身の師である稍越を真似たもの。蘭丸の戦い方は稍越をトレースしており、トレースの正確性をより高めるために喋り方も真似ている。また比戸英蘭丸ではなく、『傾奇の仇花』として振舞うためのトリガーでもあり、この喋り方であることで自分との乖離感を生み出している面もある。
・近況
1年ほど前に斬断組への潜入任務の命を受けてから、現在に至るまで組員の一人として活動している。相手に対する手加減や一番
槍ってかっこよくない?という意識から喧嘩などでは先陣を切ることが多く、それが原因となって意図的ではないものの組員からは信頼を得るに至った。斬断組の暴力で何事も押し通すやり方には否定的であるが、潜入の都合や暗黙の了解の件もあり表立ってその意見を言えずにいる。そこで事務作業に携わることで少しでも暴力を減らす方向に舵を切れないか模索しているが、成果は芳しくない。
・人間関係
テン
ベル
モネ
ラン
エドモンド
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
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