スコープの中で如何にもガラの悪そうな男がタバコを吸っている。ターゲットを確認、FHの中でも特に過激なオーヴァードで遺産の事も知っている可能性があるため早急な処理を行う必要があった。
風速、風向きの修正良し、エフェクトの展開も正常。再度スコープを覗き込む。未だに呑気に紫煙をくゆらせている。
迷い無く引き金に力を込める。

パァン！！

銃声とともにスコープの中の男の頭が水風船のように破裂する。何度も見慣れた光景だ、しかし油断してはいけない。オーヴァードの生命力は桁違いだからだ。次弾を装填しスコープで弾け飛んだ男を捕捉する、少しでも動きが見えたらすかさず2射目を放ち再生を追いつけなくする。
1射目を放ってから30分後、スコープの中の男が動かないのを確認して立ち上がり「ヘルスナイパー」をウェポンケースにしまう。
本部に秘匿回線を開き報告を行う。「こちら“S.S.S.”対象の排除を確認。これより帰還します。」
不可視化のエフェクトは解除しないまま狙撃ポイントから離れる、とりあえずの仕事はおしまい。事後処理は別のエージェントの管轄だ、速やかに撤収しよう。


「以上が今回の報告となります。」そう告げて報告書をナイトフォール隊長・強羅瑠璃に手渡す。「お疲れ様。」そう言って隊長は微笑む。「あなたに渡した“夜の小鳥”は役に立っているか？」
「ええ、とても役に立っています。不可視化の負担軽減に索敵能力の強化、今まで以上の働きができそうですね。」そう言ってウェポンケースの中に収められた木彫りの鳥を取り出す。
「そうか、それならちょうどいい。あなたに出向の任務を命ずる。」
「出向…ですか？」
「そう、最近増加傾向にある事件に対応するために強力な遺産を持つエージェントを何人か分散して各支部に配置しようということになってね。真面目なあなたが適任だと考えたんだ。」どこか遠い目で隊長はそう言う。脳裏には個性派すぎるナイトフォールのメンバーが浮かんでいるのだろう。
「…そうですね。出向の件、承知しました。それで私はどちらの支部に向かう事になりますか？」
「そうだね、この支部長、正確には支部長候補なんだがこの人物の下についてもらおう。」
「朝霧薫、隊長と同じくらい若い方ですね。」
「実力は確かな人だ、しっかり助けてあげてくれ。」
「承知しました。」

現地のエージェントの一守レンヤと共にS村での調査活動にあたる。調査の途中窮地に陥るも間一髪で離脱、現地でオーヴァードの自治組織を作ろうと目論んでいたFHセルリーダー、オルトと交戦となりこれを撃破した。
レンヤの意見を受けオルトに止めを刺さず残された遺産の剣を回収した。

S市に任務の応援として送られたさい、大怪我を負った来栖倫子を発見、保護し飢えし妖刀の情報を入手する。その後オーヴァードに覚醒した甘崎巧矢とUGNに協力している荒谷晴輝と合流、協力して連続通り魔事件の解決に当たることになった。
途中情報収集中に倫子に書類の山に潰されたりしながら飢えし妖刀の足取りを掴むも鴻巣界人が妖刀と交戦し暴走してしまう。
界人を撃破し取り押さえ、妖刀を追い地下水道に向かい三人で妖刀との戦いに臨んだ。
妖刀を撃破し、打ち上げの席で巧矢に同年代と見られていたと判明。若く見られていたことに戸惑いつつも巧矢にUGNの事を教えることを約束し、帰路についた。