閲覧注意

〔記録No,305〕
　以前別の研究所で管理していた異形喰いから分離した個体を発見。どうやら先日のX区暴走鎮圧の際に発生した個体であると推測される。他の破片とは違い、休眠中の破片に接近させても吸収される様子は見られない。原因は不明だが完全に独立した個体として成立しているらしい。

〔新規個体記録No,7〕
　動きがなく同一の記録しか残っていない前回までの記録は廃棄した。発見から7日、歪ではあるが人の形を取り始めた。下位クラス職員を利用し、強化ガラス越しにて動作のみのコミュニケーションを図る。模倣はするが、意味のある行動は見受けられない。
　分離個体の存在確立から1週間、捕食に類する行動が見られない。生命維持不可の可能性も考慮し調査を行ったところ代謝は行っている様子である。何らかの栄養を得ていると思われるが、その方法、対象が判明していないため仮に当該個体を「アンノウンイーター」と呼称する。

〔新規個体記録記録No,7追記〕
　観察記録のファイリングの効率を図るため次回記録よりファイル名を変更すること。

〔アンノウンイーター収容記録No,24〕
　近頃の記録対象は明確に意味を持った行動をする様子が見受けられる。監視カメラを凝視していたり、ガラス越しに見える人影を追いかけている姿が観察されている。知能の発達が非常に早く、存在確立から3週間と少しで2歳児程度の知能を獲得していると思われる。後日知能テストを実施する予定。

〔アンノウンイーター収容録No,30〕
　先日実施されたテストでは記録対象の知能は5歳児程度であると証明された。我々が考えているよりもはるかに早く成長しているようだ。現状収容ケージの中にマイクは設置されていないが、口唇の動きで何かを伝えようとしているらしいことはわかった。発話によるコミュニケーションを試みようと思う。

〔アンノウンイーター収容記録No,30：追記〕
　上述までの記録者の行方が分からないため、次回の記録より他職員にて記録される。

まったく、前の職員はまともな引継ぎを残さずにどこに行ったんだ。

　個人的感情を記録触媒に残すのはやめてください。

〔アンノウンイーター収容記録No,35〕
　前の記録者の痕跡が収容ケージの中から発見された。以前の記録で5歳児程度の知能だと記していたが大きな間違いだ！あいつは俺たちの想定を大きく超えて進化している！！あのケージの中はすでにあいつの巣だ！ケージごと圧縮処分しないとまずいことになる…！

〔きろく〕できているかな？わたしのかんがえをつたえるためにここにのこしていくね。わたしはおなかがすいただけ。おなかがすいたから、たべないとしんじゃうから、しょくいん？っていうひとをたべました。とてもおいしかったです。たべてからいけないことだとしったので、かくしました。それは、ごめんなさい。わたしがいきられるほうほうをさがすためにここをでていきます。ひとはたべないようにします。たべたひとはいっしょにつれていくので、さがさないであげてください。わたしのことをしんぱいしてくれるやさしいひとでした。

　非常に温厚かつ友好的なため、強制収容されることはなく比較的自由に研究棟内部を徘徊することを許可されている。非常時、緊急時の対応用に武装したエージェント数名に常時監視されてはいるが、今のところ常識の欠如によるトラブル以外の大きな問題行動もなく（それも注意すれば学習するため減少している。）解除を検討中である。

　忘れてはいけないが彼女（本来性別というものは存在しないが、本人の希望と外見からそう呼んでいる。）は非常に危険なRBだ。友好的な態度は私たちを欺くためのカムフラージュであるという可能性も考慮して行動しなければならない。娘や姪を諭すような態度で接することはやめること。あくまで監視対象であるということを努々忘れないように。