“記者”照原麻衣
プレイヤー:観測窓
「ファインダー、よし」
- 年齢
- 25
- 性別
- 女
- 星座
- 牡羊座
- 身長
- 152
- 体重
- 55
- 血液型
- AB型
- ワークス
- 企業エージェントB
- カヴァー
- 記者
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- エンジェルハィロゥ
- モルフェウス
- HP最大値
- 23
- 常備化ポイント
- 10
- 財産ポイント
- 8
- 行動値
- 21
- 戦闘移動
- 26
- 全力移動
- 52
経験点
- 消費
- +154
- 未使用
- 0
ライフパス
| 出自 | 妹がいた。元気で、可愛い妹だった。父親のお古のカメラを手に取って、いつもピンボケの写真を収めては、アルバムに貼っていた。 | |
|---|---|---|
| 姉妹 | ||
| 経験 | 妹を火事で失った。全てが燃えてしまい。妹の存在を証明する者は何とか回収できたカメラだけだった。このカメラは、妹の分身だ。 | |
| 永劫の別れ | ||
| 邂逅 | 七姫薫と出会った。彼女は、元気で、可愛い後輩だった。どうしても、妹の影を見てしまう………彼女は大切な後輩であり、親友なのだ。そう信じたい。 | |
| 後輩 | ||
| 覚醒 | 侵蝕値 | 目の前で、妹が死んだ。その光景を私は生涯忘れることがないだろう。私のシャッターは、あの瞬間、切られたのだから。 |
| 犠牲 | 16 | |
| 衝動 | 侵蝕値 | レンズを向け、ファインダーを覗き込むとき……・…直視したくない。一刻も早く、一歩でも遠く、距離を取りたくなる。 |
| 嫌悪 | 15 | |
| その他の修正 | 5 | 《実験体》 |
| 侵蝕率基本値 | 36 | |
能力値
| 肉体 | 1 | 感覚 | 10 | 精神 | 1 | 社会 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンドローム | 0+1 | シンドローム | 3+2 | シンドローム | 1+0 | シンドローム | 0+1 |
| ワークス | ワークス | 1 | ワークス | ワークス | |||
| 成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
| その他修正 | その他修正 | 4 | その他修正 | その他修正 | |||
| 白兵 | 射撃 | 6 | RC | 1 | 交渉 | ||
| 回避 | 知覚 | 1 | 意志 | 5 | 調達 | 4 | |
| 芸術:写真術 | 2 | 情報:ウェブ | 1 | ||||
| 情報:噂話 | 6 |
ロイス
| 関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Dロイス | 実験体 | ― | 能力値を4点上昇させる | ||||
| 固定 | ミノルタα-7000 | 懐旧 | / | 悔悟 | 妹の形見。家族の形見。そして相棒。 | ||
| 固定 | ジャーナリズム | 執着 | / | 侮蔑 | 私は忘れてはならない。このカメラは、この目は、全て報道のためにあるということを。この精神を、忘れてはならない | ||
| シナリオ | 都築京香 | 執着 | / | 恐怖 | 最後の謎を突き止めなければならない | ||
| PC間 | 櫻庭澪亜 | 連帯感 | / | 不安 | |||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
メモリー
| 関係 | 名前 | 感情 | |
|---|---|---|---|
| 親友 | 七姫薫 | 友情 | 七姫薫は死んだ。何故だろうか。真実はどこかにあるんだろう。私はそれを知らなければならない。でもただ一つ、分かっている真実は……彼女は私の大親友だったということだ。 |
エフェクト
| 種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
| (LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
| ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
| 非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
| オプティカルレンズ(最大) | 3 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | ― | |
| そのメインプロセスの間、あなたが行うエンジェルハィロゥのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+【感覚】する。1シーンLV回まで | |||||||||
| ソウルドウェポン(最大) | 3 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 4 | 100% | |
| 《ハンドレッドガンズ》で作成した武器を一つ選択。そのシーン間、その武器の攻撃力を+[LV*4]し、その武器はエフェクトの効果で破壊されなくなる。1シナリオ1回まで。 | |||||||||
| ハンドレッドガンズ(最大) | 3 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | ― | |
| 武器作成。 | |||||||||
| コンセントレイト:エンジェルハィロゥ(最大) | 3 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
| C値-[LV](下限7) | |||||||||
| デトネイトチャージ(最大) | 3 | メジャーアクション | 〈白兵〉〈射撃〉 | 対決 | ― | 武器 | 4 | リミット | |
| 前提条件:《オプティカルレンズ》。このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力+[LV*4]ただし、判定後攻撃に使用した武器は全て破壊される。 | |||||||||
| ギガンティックモード(最大) | 1 | メジャーアクション | 〈白兵〉〈射撃〉 | 対決 | 範囲(選択) | 武器 | 3 | ― | |
| 組み合わせた攻撃の対象を範囲(選択)に変更する。ただし、判定後に装備している武器は全て破壊される。 | |||||||||
| マスヴィジョン(最大) | 3 | メジャーアクション | シンドローム | 対決 | ― | ― | 4 | 100% | |
| このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+[LV*5]する。1シナリオ3回まで。 | |||||||||
| 砂塵の帳(最大) | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 7 | 120% | |
| 対象が攻撃の命中判定を行う直前に使用する。その判定は失敗となる。このエフェクトは1シナリオに1回まで使用できる。 | |||||||||
| 水晶の宮殿(最大) | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 8 | 100% | |
| 対象が攻撃を行う直前に使用することで、その判定は失敗となる。1シナリオ1回まで。 | |||||||||
| ミスディレクション | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 単体 | 視界 | 5 | ― | |
| 対象が行う「対象:範囲」または「対象:範囲(選択)」の攻撃の判定が行われる直前に使用する。その攻撃の対象を「対象:単体」に変更する。対象は改めて選択させること。このエフェクトは1シナリオにLV回まで使用できる。 | |||||||||
| 猟犬の鼻 | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
| 匂いの粒子や細菌、ウィルス、粉じんなどを見分けることができるようになるエフェクト。どんなに細かい粒子でも電子顕微鏡並みの精度で「見る」ことができる。 | |||||||||
| 見放されし地 | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 効果参照 | 視界 | ― | ― | |
| 光の屈折率を操り、全ての光が遮断された空間を作り出すエフェクト。シーン内の任意の空間を闇で閉ざしたり、光量を変えることができる。 | |||||||||
コンボ
レンズ交換
- 組み合わせ
- 《オプティカルレンズ》+《ハンドレッドガンズ》
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 6
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
レンズ交換
- 組み合わせ
- 《ハンドレッドガンズ》
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 3
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
特注レンズ
- 組み合わせ
- 《オプティカルレンズ》+《ハンドレッドガンズ》+《ソウルドウェポン》
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- ―
- 難易度
- 自動成功
- 対象
- 自身
- 射程
- 至近
- 侵蝕値
- 10
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
浮き上がれ!
- 組み合わせ
- 《デトネイトチャージ》+《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》+(《マスヴィジョン》)
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 射撃
- 難易度
- 対決
- 対象
- 単体
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 6
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 10
- 7
- 6+3
- 35+1d
- 100%以上
- 10
- 7
- 6+3
- 78+1d
- 10
自動照準
- 組み合わせ
- 《ギガンティックモード》+《デトネイトチャージ》+《コンセントレイト:エンジェルハィロゥ》+(《マスヴィジョン》)
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 射撃
- 難易度
- 対決
- 対象
- 範囲(選択)
- 射程
- 武器
- 侵蝕値
- 9
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 10
- 7
- 6+3
- 25+1d
- 100%以上
- 10
- 7
- 6+3
- 68+1d
- 10
| 武器 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 命中 | 攻撃力 | ガード 値 | 射程 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ミノルタα-7000 | 射撃 | 〈射撃〉 | 0 | LV*3+4 | ー | 30m | 《ハンドレッドガンズ》より作成 |
| 一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|
| サイドリール | 15 | 一般 | ― | あなたがエフェクトを組み合わせて行う「種別:射撃」の武器による攻撃の判定の達成値に+3、ダメージに+1Dする。 [備考]カメラには様々なアタッチメントを取り付けることができ、 《高感度IRフラッシュ(不可視光)》を装備している。 | |
| コネ:協力者 | 5 | コネ | 解説参照 | 取得には〈情報:噂話〉4レベル以上が必要。〈情報:~~〉判定を行う時に使用する。その判定で本来使用する技能の代わりに〈情報:噂話〉を使用することができる。この効果は1シナリオ3回まで使用できる | |
| 思い出の一品 | 2 | 一般 | ― | あなたが行う〈意志〉の判定の達成値に+1する。 ミノルタα-7000、これはただのカメラじゃない。大切な、大切な思い出の一品だ。 | |
| ┗ブランケット | 1 | カスタマイズ(一般) | ― | あなたが行う〈意志〉の判定の達成値に+1する。ただし、あなたが改造元アイテムを所持していない場合、あなたが行う〈意志〉の達成値に-1する。 |
経験点計算
| 能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用| 0
| 34
| 214
| 21
| 15
| 284
| 0/284
| |
|---|
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
パーソナルデータ
名前:照原麻衣
年齢:25歳
一人称:私
好きなこと:カメラ、取材
嫌いなこと:隠蔽
設定
フリーランス記者。報道写真家。元・全国紙社会部記者。
一見すると無口で取っつきにくいが、芯の通った強い意志を秘めた人物。
中学時代に起きた住宅火災で妹を亡くし、その極限状況でオーヴァードとして覚醒。以後、“焼け落ちるものをただ見ているだけではいけない”という衝動からカメラを手にし、報道の道へ進む。大学では停止状態だった報道研究会を一人で復活させ、フィールド取材を重ねるうちに、七姫薫という破天荒な後輩と出会い、気づけば取材の相棒に。
在学中、学生ボランティアとして赴いた東欧の内戦地・クロドヴァにて、ルカーン財団の人体実験に巻き込まれ、オーヴァード能力の第二段階に覚醒。日本帰国後は、大手新聞社の社会部記者として勤務するも、不正金融事件の取材を止められたことを機に退職。現在は独立報道グループ「ルクスプローブ基地局」を設立し、記者としての活動を継続中。
記者歴はすでに7年を超えるが、社会性はお世辞にも高いとは言えず、無愛想かつ言葉少なめ。
略歴
11歳 妹を亡くす。その際、オーヴァードとして覚醒
18歳 大学進学。現代マスコミュニケーション専攻
19歳 サークルにて、七姫薫と出会う。友人に
21歳 クロドヴァ内戦を取材。その際、ルカーン財団による人体実験を受ける
22歳 大学卒業。大手新聞社に就職。社会部記者に
23歳 七姫薫、大学中退。フリー記者に
24歳 東京第一銀行、日本エアウェイズとの資金洗浄事件を取材
社会部部長より、取材中止を言い渡され、退職
フリーランスの記者として「ルクスプローブ基地局」を設立し、活動。短い期間であるが、七姫とタッグを組む
25歳 七姫薫失踪。面影島に出発
戦法
相棒のミノルタα-7000一眼レフカメラを構え、レンズを生成し光線を放ち、敵をなぎ倒す。彼女の目的は取材であるが、実験体として得た強力な力、また、クロドヴァ内戦で得た戦訓を元に、初撃必殺戦法を得意とする。
現在
大手マスコミに失望し、フリーランスの記者として活動しているが、真実を探求するフリーの報道関係者グループ『ルクスプローブ基地局』に所属し、そのエージェントとしての一面も持つ。
報道メモ
都下住宅街火災
深夜未明、老朽化した木造集合住宅で火災が発生。逃げ遅れた数名が建物内に取り残され、消防到着までに全焼。死者3名、負傷者7名。
その中に、照原麻衣の実妹──照原ひより(当時8歳)が含まれていた。
火元は建物一階のガス暖房器具の故障によるものとされるが、出火後の避難指示の混乱、消防署への通報遅延、周辺住民の証言食い違いなど、複数の構造的問題が後に明るみに出た。
後の調査で照原麻衣のオーヴァードとしての覚醒はこの事件をきっかけにしていることが明らかになった。極度の精神的衝撃下で発動したオーヴァード覚醒で、詳細は不明ながら、空間屈折/光学干渉を伴う視覚記憶の異常な定着であると推測されている。
――――――――――――――
避難時……ひよりが「宝物が燃えちゃう!」と言って、再び燃える部屋に走っていった。両親は、すでに重傷で、止める力は残されていなかったようだ。まだ軽傷だった私は、ひよりの後を追った。
燃え盛る炎の中、うずくまるひよりを見つける。焼け落ち、黒くくすんだ木材がひよりの足に重たくのしかかっていた。ひよりの周りには、アルバムとフィルムカメラが落ちていた。これを取りに戻ったのだろう。私は、何が何だか分からなくなった。とにかく、このままではひよりが死んでしまう、と言うことだけは分かった。
私は、必死にひよりの名前を呼んだが、返事は帰ってこなかった。火の手は増すばかりで、このままでは私も危なかった。私は半ば無意識にカメラを拾って逃げ出した。
私が最後に見た妹の姿は、炎に包まれ、見る見るうちに焼けていく様だった。私は、この光景を鮮明に、あまりに鮮明に焼き付けてしまった。思えば、これが能力の萌芽だったのだろう。
その日から、私はカメラを手放さなくなった。アルバムも焼け、それが唯一の妹が生きた証だった。
………ミノルタα-7000、これは、妹の分身なんだ。
補遺1:報道研究会
大学公認サークル「報道研究会」は、過去には複数の硬派な記者志望学生が所属していたが、私の入学時点で活動は実質停止。
前年度、私一人の署名で活動申請を行い、機材の保管と最低限の自治会予算だけで維持されていた。言うなれば、「存在しているが誰も知らないサークル」だった。
その静寂の部室に、突然現れたのが──七姫薫だった。
七姫:「こんちはー! あの……ここ、報道系のサークルですよね?怪奇現象をルポしたり、スクープをバシッ!とモノにしたり!」
麻衣:「………………少しイメージと違うかもしれませんが…そうですね、ここは報道研究会です。」
七姫:「報道研究会!いいですねぇ!それで、えっと……センパイ?の他に人が見当たりませんね」
麻衣:「……部員は私一人ですから」
七姫:「……え、めっちゃかっこいいじゃないですか。入っていいですか?」
麻衣:「規則上、拒否はできません」
七姫:「やった~。これで私も、記者の仲間入り~!スクープを撮って撮って撮りまくるぞ~!」
ひとりの静けさに慣れていたつもりだった。
外の喧騒から逃れるために、ここに“逃げ込んでいた”のだと思う。
七姫薫は、まるで火の玉のように飛び込んできた。私の記録に、感情に、過去に──何の遠慮もなく。
天真爛漫で、遠慮がなくて、声が大きくて。
……だけど、なぜか、私の中でひとつの像と重なった。
──妹。照原ひより。
その面影を見たせいか、私は、七姫を追い出す理由を探すことをやめた。
クロドヴァ内戦
東欧の小国クロドヴァ公国では、経済格差を理由に反乱が発生。ラゼラム共和国を名乗った反乱軍は超国家規模の軍事企業ルカーン財団の支持を得て首都に迫った。しかし、そこに政府軍のオーヴァード部隊が投入され、戦線は膠着し、二年余りの時が流れた。
クロドヴァ内戦に関しては、報道が極端に行われておらず、ルカーン財団の意向が働いていた。そこは、オーヴァード同士の国家規模での戦闘行為が行われていたのである。
照原麻衣は大学の掲示板で「学生ボランティア募集」の紙を見た。
募集団体は、東京の小さなNGO。「国境・難民支援と子どもの学びを守る」という理念で、活動地はモルドバ南部・タラクリア県と書かれていた。
そこは、内戦状態にあったクロドヴァと国境を接する地域だった。彼女はミノルタα-7000と、スーツケースの半分を占めるフィルムを持って、モルドバ南部へ飛んだ。
NGOが拠点とする避難民キャンプでは、以下の状況が見られた
・クロドヴァ側から越境してくる市民・兵士・少年兵らしき流入者
・国境付近に並ぶ「謎の黒塗りトラック群」と、ラテン文字で記された“Lucarne Industries”のロゴ
・フィールドワーク中に爆音のような「光の衝突」現象──これが、オーヴァードの戦闘痕跡だった
照原はあくまでボランティアの立場を装いながら、隠し持っていた報道記者証のコピーと、写真記録を用いて取材を開始した。
――――――――――――――
ミノルタ………いや、ひより、世界に見せたいんだ。あなたみたいに、誰の記憶にも残らずに消えていく人々を少しでも減らすために―――
ボルグラード邦人拉致事件
クロドヴァ公国西部にある、タラクリア県とほど近い都市、ボルグラードが事件の舞台だった。非公式であるが、この地で日本人ジャーナリスト数名が反政府軍によって拉致されていたのだ。この件について、在クロドヴァ日本大使館は口を閉ざし、公的にはなんらのアクションも示していなかった。
カライクリアの難民キャンプに訪れたボロボロの女性が、ボーイフレンドの日本人がボルグラードに閉じ込められてしまったという話を照原は聞いた。
また、クロドヴァ側より流入してくる難民、少年兵ら証言を受け、照原はこの拉致事件をルカーン財団による人体実験であると確信する。照原は、ボランティアの枠を超えた行動を決断する。
■ 危険区域への密航
■ ボルグラード市への徒歩潜入
■ 武装警戒網をすり抜けての市街地潜入(変装・夜間行動)
この頃になると、照原はよくよく自分の力の使い方を心得ていた。周囲の光を曲げ、自身の姿を隠す。《見放されし地》―――彼女は、自身の能力をそう名付けた。彼女には見つからない自信があった。とどのつまり、油断していたのである。
照原は、ボルグラード市外への潜入に成功し、それらしき廃工場までたどり着くことができたが、そこで目撃したものは人であって、人ではない、異形―――ジャームの姿であった。次々と、謎の注射を打たれ、異形となっていく人々。周囲の武装した研究者は、それらをいともたやすく処理していく。照原は、その光景を「焼き付けて」しまった。そして―――叫んでしまった。
照原は、その場で拘束され、廃工場に運ばれた。被験体の一人として扱われた彼女は、オーヴァード覚醒因子を強制注入される。結果として、彼女は第二段階覚醒を果たす。
拘束から数日後、NGO職員がクロドヴァ西部の国境検問付近で、衰弱した照原麻衣を発見。
麻衣はフィルムバッグを肌身離さず抱えており、中には焼け焦げたカメラと未現像のフィルムが6本だけ残されていた。
彼女は、その時からレンズを生成できるようになった。
その後、照原は数度の戦闘に巻き込まれた。
―――――――――――――――
報道なんかじゃない。私がやったのはただの暴走だった。
でも、そこには確かに人がいて、命が弄ばれて、
“世界が見せたがらないもの”があった。
なら、私はそれを写してやる。二度と目を逸らさせないように。
補遺2:帰国~社会部記者
クロドヴァからの帰国後、照原麻衣は半年の療養期間を経て、大学を卒業。
すでにジャーナリズム界では「東欧渡航経験を持つ学生記者」として一部注目を集めており、数社から内定を受ける中、最も報道自由度の高いと目された東京日日新聞社へと入社。同期からは密かに、「戦場帰り」と呼ばれた。
希望部署は「国際部」だったが、上層部判断により社会部・事件班へ配属される。
照原は、クロドヴァで目にした“命の最前線”と、日本社会の報道基準のギャップに当初戸惑いを覚える。
だが同時に、「この国にも、語られない死や声がある」と強く実感していく。
▸ 内部メモ(社内評価より抜粋)
「感情を表に出さないが、取材相手には極端に踏み込む。ときに職業倫理を逸脱する傾向あり」
「視点が冷たく、死体や暴力を美的に切り取ってしまう感覚がある。だが、それが記事を強くしている」
社会部勤務中、照原は一時期、フリー記者として現場に現れた七姫薫と偶然再会。
最初は取材競合として軽く牽制し合うが、やがて息を合わせ、短期間の共同取材へと発展。
七姫「センパイ、このスイーツ、美味しそうじゃないですか!?」
取材の合間、七姫が見せたなんてことはないスイーツ記事。そこに、東京第一銀行・日本エアウェイズの資金洗浄事件への伏線があった。
七姫薫が照原麻衣に持ち込んだ、なんてことのない地方雑誌のスイーツ特集記事。
その中の1ページ──「空港から徒歩5分のカフェ、贅沢スイーツを堪能!」という紹介文に、奇妙な文言が紛れていた。
「“TDBブラック”のお客様専用スイートルームをご利用のお客様に限り、ご注文可能な限定パフェです」
それは──
東京第一銀行(Tokyo Daiichi Bank)が富裕層向けに裏で発行していると言われる非公開のブラックカードの略称。
通常、一般店舗がそれを提示することはあり得なかった。
東京第一銀行・日本エアウェイズ不正資金洗浄事件事件
東京第一銀行・日本エアウェイズ、その他関連企業による架空取引による資金洗浄(マネーロンダリング)事件。
顧客リワードを装った私的利益供与、国際線関連税制を利用した租税回避スキームが発覚した。
七姫が発見した「TDBブラックカード」専用スイーツ記事から調査開始。
取材の結果、複数の架空取引が以下のように接続していたことが判明
1. 高額な“プレミアサービス”(例:10万円のパフェ)を「顧客リワード」として設定
2. 実際は発生していない取引を「クレジットカード履歴」として処理
3. その売上が、海外の関連会社へ“原材料費”などとして送金
4. 送金先は、ケイマン諸島・ルクセンブルクなどの法人名義口座
5. 最終的に一部が国内に戻され、「投資配当」「奨学金」名義で幹部の家族に振り込み
照原は、社会部記者として、東京第一銀行が運営する特別口座群「TDB-X」の存在、日本エアウェイズと東京第一銀行の高級顧客向けリワード・プログラムの不審な取引履歴、いくつかのスイーツ店、飲食関連会社が「マネーロンダリングの経由地点」として使われているというスクープを報道することを部長に提案した。
報告を受けた社会部部長は、資料提出を求めるも掲載には難色を示した。
部長:「政治的に微妙だ。航空と金融、両方敵に回して得はない。社としては静観する」
照原:「事実を提示しても、見ないふりをするんですか」
部長:「見ないふりじゃない。生き残るための選択だ」
照原は、新聞社の報道態勢に失望し、退職を決意した。
補遺3:ルクスプローブ基地局設立
新聞社を辞めたのは、正直、衝動だった。
それでも、私にとっては必要な決断だった。
クロドヴァの難民キャンプでシャッターを切った時、私は“報道”が何かも知らなかった。
でも今ならわかる。
あれは、「誰かの声にならない叫びを、光の中に焼きつける」行為だった。
誰かが書かなければ、撮らなければ、世界から切り落とされる現実がある。
……それを、また見過ごすぐらいなら、私は“報道記者”を名乗る資格はない。
会社を出た翌日、七姫が連絡をくれた。
七姫「センパイ、フリーになったんですって!?私とおそろいじゃないですか!フリーランスコンビで活動しませんか!よっしゃ、じゃあまず名前考えましょう! かっこいいやつ、やつ!」
おそらく彼女の中では、ゲームのギルドか、探偵団のノリだったんだと思う。
でも、その軽さに救われた。
私には、名前なんてどうでもよかった。
記事が真実なら、それでいい。誰の名で書こうが構わない。
でも、七姫は違った。
七姫「探索!我々は探索しなければなりません!闇を照らす光を持って!フフフ………実は、こういう時のために名前を温めておいたんですよ…!その名も、『ルクスプローブ』!光を探求するモノです!」
照原「ルクス(光)プローブ(探求)ですか………いい名前ですね。でも……私とあなたでは、取材のベクトルが違うでしょう。名前だけ、借りても良いですか?」
―――――――――――
ルクスプローブ基地局は、日本において設立された独立系報道グループである。
匿名のフリーランス記者を中心に20XX年に設立され、既存メディアが報じない事実を追及することを目的としている。
名称の「ルクスプローブ(Luxprobe)」は、ラテン語で「光」と「探査」を意味する語の組み合わせで、モットーは「光で暴き、闇を撃つ」
SNS、ブログ、暗号通信プラットフォームを活用し、「基地局」という名の通り、少人数かつ可搬型・秘密拠点的に活動可能な構造をとった。
初期主要報道案件
・東京第一銀行・日本エアウェイズ不正資金洗浄事件(スイーツロンダリング事件)
・旧防衛省関係機関における「能力適正検査」の匿名実施問題
・民間ドローン企業による都市監視プロジェクトリーク
―――――――――――
ルクスプローブ基地局は、今はまだ小さな基地だ。
大手の機材も、組織の保護もない。
けれど、ペンとシャッターがあれば、私はまだ戦える。
七姫が名づけ、私が灯した光。それが、今も誰かの闇を照らすなら──
それで十分だ。
一言メモ
カメラの腕前と勘だけで生き残ってきたため、社会性は極めて低い。一匹狼。コイツと仲良くなれた七姫は偉人だろう。
第一話「Birdcage」
取材メモ
七姫薫についての足取りは不明。島の山岳部に現れる幽霊を取材していたとの情報。現時点での最終目撃情報は民宿の玄関。現地女子高校生の面影冬日と面識を持っていたようである。今後はさらなる目撃情報を収集する。
マル秘メモ
面影山麓付近(座標点は別添のデータを参照のこと)において小規模な戦闘が発生した。また、当該事案に於いて、数名の強化人間に遭遇。彼らは自らをUGNと名乗り、非常に強力な戦闘能力を見せた。彼らの証言によると、我々が強化人間と呼んでいたものは覚醒者―――オーヴァードであり、レネゲイドウィルスという未知のウィルスへの感染者であるとのことだった。。(UGNに対する取材記録は別添―――β201を参照のこと)彼らは我々よりもはるかに高い強化人間への理解を示していたことは注意すべきものである。
彼らへのアクセスは非常に危険であると考える。ルクスプローブ各調査員及び、報道員は留意すること。また、当該メモは照原麻衣の遺書として機能することをここに明記する。
面影島についてー1
多くの村人が、所謂オーヴァード能力を所持しているとされている。影響としては通常よりも病気や不肖の回復が早い程度で、過度の戦闘能力や、社会生活上著しく逸脱した能力はないとされ、島民も特に不思議に思っていないようである。
この現象自体はUGNなる秘密結社は以前から観測していたとされ、調査を行っているが、原因は不明とのこと。
櫻庭澪亜氏について
面影高校二年生。快活で真面目な女子高生だが、UGNエージェントであるとのこと。レディースに所属していた節がある。詳細は不明なれど、UGNへの所属が本人の自由意志であるか、甚だ疑わしいものがある。
RUNA氏について
本人曰く「UGNが有するオーヴァード研究施設において作成されたR-NA機のうち、第3期に作成されたもの」「実験施設の、所謂蟲毒を生き残り、実践投入されたもの」と話す。社会生活上著しく常識に欠けた言動を取り、これはクロドヴァ内戦時の強化少年兵との類似した傾向である。UGNという組織において、ルカーン財団と同種の人体実験が行われていることを示唆している。
飛鳥馬叶翔氏について
UGN面影島支部長。ほんの数週間前に着任したとされる。高校生にしてはあまりに幼く見え、年齢詐称の可能性を考慮しなければならない。彼のような少年が支部長という責任ある立場にあること自体が信じがたいが、さらに信じがたいのが、大人が進んで彼をそのようなポストに推していることだろう。UGNなる秘密結社の組織構造は不明なれど、危険な価値観を持った組織であると考えられる。
時雨恭一郎氏について
UGN前面影島支部長。オーヴァード発生率などの研究を行っていた。島には4年ほど前から暮らしているとのこと。病弱な妻がおり、戦闘がなく、なるべく妻と共に過ごしたいという理由から、面影支部を希望して支部長になった。しかし、およそ一か月前に突如失踪。そのため、高校生の少年である飛鳥馬叶翔氏が現支部長として着任した。
現在、本記者の前に姿を現したが、UGNへの復帰は否定的である。
覚え書き
友人の七姫薫を追いかけて、根深い陰謀に足を踏み入れてしまった。面影島の島民は何らかの事項をひた隠しにし、七姫の足取りはようとして知りえない。彼女の安否を知りたい。無事であることを祈る。
この島で、子供たちが戦っていた。日常の裏で、子供たちが戦争をしている。ある大人は、ここで戦争を起こしたくないと語った。その時点で、彼らはマヒしているのだ。子供たちは、戦争をしている。彼らは、戦争をしている。
第二話「Yesterday Once More」
取材メモ
面影島は黄泉還りと呼ばれる伝承が伝わっている。以下、詳細。
黄泉還りについて
死者が生き返ってくるという、島の古い伝説。遥か昔、恋人を亡くした女性が、自死するつもりで海に出たところ、面影島に流れ着いた。そこで恋人が生き返り、二人は幸せに暮らしたという。
また、島民によれば、縁切りの祭りによって黄泉還りという現象は清算されるとされ、その祭りの直前に行方不明事件が頻発するとのこと。七姫薫が失踪した時期もこれに当たり、慎重に取材を進める必要がある。
マル秘メモ
UGNや、それにまつわるあらゆる陰謀や隠蔽は全て白日の下に晒されるべきである。それが社会正義というものだ。本当か??
黄泉還りについて
死者が生き返ってくるように見える現象。レネゲイドが関連している可能性が非常に高い。死んだ者が復活し、そしてそれを周囲が不審に思わないという特徴を持つ。対象が死亡したことを認識できる人間はオーヴァードに限定される可能性もある。少なくとも、記者は後述する3名の死亡を認識することができた。あるいは、本当に生き返っている可能性もあるがさらなる調査を進める必要がある。
七姫薫について
〇月×日、面影山、面影神社付近の森林で死亡したと推定される。後述する面影冬日、小鳥遊小夜の例と併せて考えてみても、それは今のところ明白である。面影島、そして黄泉還り伝承への調査、取材中に何者かによって殺害されたと考えられる。容疑者として考えられるのは時雨恭一郎氏である。彼はUGN面影島支部前支部長であり、島の詳細について外部の人間でありながら知りえる人物であり、面影神社への訪問も確認されている。後述する彼の目的達成のための口封じとして殺害された可能性が高い。現在、彼女らしき人物が確認されるが、それは『黄泉還り』現象の結果出現しているものだと思われる。
七姫薫の生存の可能性も捨てきれない
面影冬日について
面影神社の娘。ただし神事に関しては姉の小春が取り仕切っており、冬日は関わっていないようである。同級生が、オモイデ様に深入りし行方不明になったことがあるという。それ以来、面影の島と家に反発している。島の秘密について、具体的なことを知っているわけではない様子で、ネットで知り合った相手に調査を依頼したりしていた。それが七姫薫である。
〇月△日、面影島――――の雑木林付近で死亡したと推定される。後述する時雨恭一郎の手により殺害されたとみられる。現在は学校に復帰しており、これは『黄泉還り』現象によるものである可能性が高い。
小鳥遊小夜について
〇月◇日、記者らの手によって死亡(詳細は別添の戦闘記録を参照)。死体を確認できたものの(別添の撮影記録を参照)翌日死体が消失、学校に復帰していた。『黄泉還り』現象によるものである可能性が高い。
時雨恭一郎氏について
重病につき亡くなってしまった妻を生き返らせるため、面影神社と接触し『黄泉還り』現象を知り、妻と再会するためUGNとの報告を絶っていたいたのだと考えられる。『黄泉還り』現象によって出現した妻に執着しており、彼女との生活を脅かすものを秘密裏に排除していたと考えられる。
〇月☆日、記者らの手によって死亡(詳細は別添の戦闘記録を参照)。
第三話「Invader Festa」
取材メモ
面影島では「縁切りの祭り」が決行された。その際、不可解な現象に当記者は見舞わた。面影島住宅地において、火災が発生。民家一軒が全焼した。奇妙なことに、その当時の出来事を島民は覚えていないようであった。しかも、面影島消防団の出動も非常に遅れたものとなっており、これは「縁切りの祭り」への注目が集まっている中、通報が遅れてしまったことが考えられる。また、面影神社六代目面影小春の変死体が発見された。記者は、この件についても引き続き調査していく。
マル秘メモ
島で発生した火災はUGN面影島支部を標的にした計画的な工作であることは間違いない。櫻庭澪亜を始めとした、UGNの「縁切りの祭り」への関与を嫌った面影神社六代目当主である面影小春あるいは研究者の六白霧人らが首謀した事件であると考えられる。
記者は面影小春と接触し、彼女への取材に成功したが、UGNとの関係の悪化は不可避であり、衝突は必然であったように思う。UGN面影島支部長は衝突を回避しようと努力していたが、結果的には「縁切りの儀式」の失敗によるオモイデ様の暴走による島民の暴徒化、UGN面影島支部火災の発生により、UGNはレネゲイド災害被害拡大防止のため、面影神社にて面影小春らとの戦闘が発生した。記者もそれに同行したが、面影小春はその場で死亡。その後現れた六白霧人によって、櫻庭澪亜はオモイデ様と接触し、レネゲイド災害は収束したが、その際、六白霧人との戦闘が発生。戦闘の末、彼はその場で死亡した。
以下、詳細
面影小春について
面影神社六代目当主であり、17歳の高校生。また、オーヴァード。彼女は「縁切りの祭り」及び「縁切りの儀式」の成功を目的に動いており、どうやら櫻庭澪亜によってその儀式の円滑な遂行が阻害されると彼女は考えたようである。
彼女は記者に接触し、自らの考えを述べた。櫻庭澪亜及びUGNの、「縁切りの祭り」への関与の停止、さらには櫻庭澪亜の島外退去を記者を通してUGNに要求した。
彼女は記者の取材に対し、面影神社当主の責任と責務について語った。以下、取材ログ
インタビュー記録(面影小春)
記者「今回はありがとうございます。実際に記事にするかは別として、このような会話の機会を設けてくれたことに感謝します」
面影小春「いえいえ、お気になさらず。それよりも、私の要求を伝えられたことが良かったですから。」
記者「私はあくまでも中立を心掛けているつもりですが、そのように行かない場面もあるでしょう。UGNへの要求が拒否された場合、どのように動くのですか?」
面影小春「(しばしの沈黙)その時は、『縁切りの儀式』を決行するだけです。その場でのUGNの関与については、実力をもって排除させていただきます」
記者「何故その要求を記者を通してなされたのですか?」
面影小春「あなたがある程度信用でき、また、この島の事情とUGNの事情に通じているからです」
記者「なるほど、では私もできるだけ衝突を避ける方向に動きましょう」
面影小春「ありがとうございます」
記者「ところで、小春さんは高校二年生だと思いますが、あなたが『縁切りの儀式』を成功させるには……言葉を選ばずに言えば、まだ早いと言いますか、責任が余りに大きすぎるように思えますが」
面影小春「(数十秒の沈黙)そのように大人は捉えるでしょうが、しかし、今の私は面影神社六代目当主です。それに、もう引き返せないでしょう。一体何人の命を背負っていることやら」
記者「これは私の私情が入りますがね、あなたがそのような役割を強いられるいわれはないと思います。このようなことをあなたに言っても、意味はないと思いますが―――」
面影小春「(言葉を遮るように)ええ、ええ。よく分かっています。しかし、UGNが、櫻庭澪亜さんが島の外に、儀式の間だけでも出て行ってもらえれば、全て丸く収まるのです。ご理解ください」
記者「(しばしの沈黙)理解は、出来かねますが」
インタビュー終了
その後、UGNは要求を拒否。レネゲイド災害拡大防止のため、『縁切りの儀式』中断を目的に出動。面影小春をその場で殺害した。
六白霧人について
面影島の風習や神話などを調べている研究者であり、博士課程に在籍する大学生。また、オーヴァード。彼には六白神無という妹がいたが、彼女をある種の生贄に、オモイデ様に接触し、すでに死亡していた六白傷無を復活させるために、櫻庭澪亜とUGNを利用していた。
儀式の中断に向かうUGNを待ち伏せし、櫻庭澪亜の特異な力を利用し、オモイデ様の力でより『完璧な』妹を作ろうとしていた。その後、UGNの手によりその場で殺害された。
第四話「Hertless Memory」
マル秘メモ
状況が非常に複雑になってしまったため、詳しい経緯は別添の資料を参照のこと。
概要を述べると、記者はUGN面影島支部のエージェントらと共にオモイデ様により、死者の記憶と対峙することとなった。
以下、記者が対面した死者の記憶とのインタビューログ。
インタビューログ-七姫薫
状況:七姫薫が死亡したと推定される面影山の麓で対面
対象:七姫薫を主張する人物(以下、七姫)
インタビュアー:照原麻衣(以下、記者)
〈記録開始〉
記者「記録が開始されました。インタビューに応じてくださり、ありがとうございます」
七姫「いえいえ、センパイらしいと思いますよ。相変わらずですね」
記者「では簡潔に質問をしていきます。あなたは何故面影島に来たのですか?」
七姫「はい、面影島に在住している女子高校生からインターネットを通じて、面影島の取材を依頼されたのが始まりです。面影島には何かオカルト的な秘密があるというタレコミでした」
記者「それを聞いたあなたは、すぐに島に向かったと」
七姫「ええ。そこで私は現地協力者を求めました。取材を依頼した面影冬日さんと合流し、栄田商店や、島の事情を知ってそうな人に、旅館を拠点に聞き込み調査を開始しました」
記者「その時点ではどのような情報を掴んでいたのですか?」
七姫「残念ながら、有力な情報はあまり得ることができませんでした。『縁切りの祭り』というお祭りが、何らかの秘密を抱えていることは分かりましたが、島全体でそれを隠そうという空気感がありました」
記者「それは、島民全体が情報を隠蔽していたと?」
七姫「ん~~~……そう言う感じじゃないですね。島の人たちも知らないような、そう言う秘密……何と表現すればいいのかわかりませんが、みんな、そう言った話題に触れたくないようでした」
記者「なるほど。では、そこからあなたが―――(少々間を置く)亡くなったときの出来事を聞いてもよいですか?」
七姫「もちろん。えー………あの日は……どうやら面影山の麓の森で幽霊が出るとの情報を掴んだ私は、早速一人で現場に乗り込みました」
記者「単独で?」
七姫「はい。昼間、山に入って取材をしていましたが、何の収穫も得られず、旅館に戻って休憩した私は、虎穴に入らざれば虎子を得ずという感じで―――夜間の面影山に入って行きました」
記者「そこで何が起こりましたか?」
七姫「表現することが非常に難しいのですが、一言で言うなら化け物と遭遇しました。UMAというか、生物ではあるのでしょうが、なんというか、人知を超えたものを感じました」
記者「化け物?」
七姫「異形というか、頭から手が生えていたり、既存の生物を改造したような見た目でした。夜なので、見た目をハッキリと捉えることができませんでしたが……一体だけでなく、数体いたように思います」
七姫「(ため息をつく)何のためにカメラを携帯していることやら……咄嗟の出来事で、私は動くことができませんでした」
記者「…………(10秒間の沈黙)」
七姫「その隙に、私はバケモノに襲われ、命を落としました」
記者「――――――そうですか」
七姫「死の瞬間は意外とハッキリ覚えているもので……ああ、こういう感じなのかって、他人事のような感じがしました。それで、気が付いたらこの空間にいたという感じです」
記者「この空間というのは、今我々がいるこの場所のことですか?」
七姫「ええ。これが死後の世界なのかなとも思ったりしましたが、案外そっけないものですね。私以外に人はいないし」
記者「……続けてください」
七姫「私はこの空間に居ながら、センパイのことをずっと見ていました。ええと、センパイは会ったかと思いますが、『黄泉還り』によって出現した私との会話なんかは、鮮明に覚えていますよ」(追記。七姫薫が死亡した後に記者に接触した七姫薫を主張した人物については、別添の資料γ-112を参照)
記者「―――(沈黙)あの時私が会った七姫薫と、現在ここにいる七姫薫は別人なのですか?」
七姫「難しい質問ですね。あの時の私は、記憶をもとに再構築された七姫薫ですから―――別人であるとも、同一人物であるともいえます」
記者「なるほど」
七姫「あの時は、センパイに辛い思いをさせちゃって、申し訳ないなーと思いながら見ていました」
記者「謝罪の必要はありませんが」
七姫「まぁ、とにかく、ここは死後の世界ともちょっと違うような空間だと思います。私自身、よく分かっていませんが……」
記者「これがすべて私の妄想でないことを祈ります」
七姫「私もそう祈っていますよ」
〈記録終了〉
インタビュー終了後、七姫薫を主張する人物は記者が去っていくのを手を振って見送っていた。
インタビューログ-面影小春
状況:面影小春の自宅の応接間と酷似した部屋で対面
対象:面影小春を主張する人物(以下、小春)
インタビュアー:照原麻衣(以下、記者)
〈記録開始〉
記者「録音を開始しました。どこまで公開するかは未定ですし、あなたという存在がどういったものなのか、確定はできませんが、一応許可を取ろうと思います。取材をしてもかまいませんか?」
小春「ええ、問題ありません」
記者「ありがとうございます。あなたに聞きたいことはいくつかありますが、まず最初に、ここはどういった空間なのでしょうか?」
小春「ここはオモイデ様の力によって保存されていた人々の記憶です。生前の記憶が形となって空間を形成し、あなた方はどういう訳かそれにアクセスできたということです」
記者「では、この空間はいずれ消えてしまうと?」
小春「空間そのものがイレギュラーなのかは分かりません。ただ、あなた方がそれにアクセスできたということは間違いなくイレギュラーだと思います」
記者「なるほど、オモイデ様に関して詳しく伺っても?」
小春「ええ、構いませんよ」
(追記。以下、面影小春を主張する人物によって提供された情報は別添の資料γ-234に記載)
記者「ありがとうございます。では、さらに質問なのですが、七姫薫の死にあなたは何らかの関与をしましたか?」
小春「―――(数十秒の沈黙)はい」
記者「それは、どのような方法で、また、どのような理由でしたか?」
小春「――――――(長い沈黙)」
その後面影小春は七姫薫の死に対する詳細な情報を述べる。
記者「ありがとうございます。最後の質問ですが、あなたの姉妹や、近しい人でも構いません……何か伝えたいことはありますか?」
小春「――――――こんな状況になって、思い残したことはないのだろうか、と考えていました。おおよそ普通の高校生活は送れなかったから。面影家の使命と、役割をこなすだけだと、そう思っていましたから。(間を置く)でも、そうですね…‥冬日には、悪いことをしました。本当に……」
記者「―――」
小春「いえ……やはり、何かを伝えて欲しいとは思いません。今ここにいる私という存在が……伝えたいことなど、ありませんよ」
記者「そうですか、ありがとうございました」
〈記録終了〉
セッション履歴
| No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
|---|---|---|---|---|---|
| フルスクラッチ作成 | 30 | ||||
| イージーエフェクト | 4 | ||||
| 1 | 2025/07/20 | 第一話「Birdcage」 | 29 | 落葉 | 観測窓メタリカねこすろり |
| 2 | 2025/08/31 | 第二話「Yesterday Once More」 | 28 | 落葉 | 観測窓メタリカねこすろり |
| 3 | 2025/09/13 | 第三話「Invader Festa」 | 32 | 落葉 | 観測窓メタリカねこすろり |
| 4 | 2025/10/25 | 第四話「Hertless Memory」 | 31 | 落葉 | 観測窓メタリカねこすろり |