ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

寿 別太 - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

怨讐の傀儡(グラッジマリオネット)寿 別太(ことぶき わかた)

プレイヤー:しろう

闇っつーのは心地良いものなんだぜ。         哀れな傀儡にはお似合いだろう?

年齢
16
性別
星座
天秤座
身長
180
体重
79
血液型
A型
ワークス
UGNチルドレン
カヴァー
高校生
ブリード
クロスブリード
シンドローム
ウロボロス
サラマンダー
HP最大値
33
常備化ポイント
2
財産ポイント
0
行動値
9
戦闘移動
14
全力移動
28

経験点

消費
+61
未使用
27
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自
待ち望まれた子
経験
裏切られた
邂逅
殺意
覚醒 侵蝕値
感染 14
衝動 侵蝕値
憎悪 18
その他の修正3※原初の黒+3
侵蝕率基本値35

能力値

肉体3 感覚1 精神7 社会1
シンドローム1+2 シンドローム1+0 シンドローム2+1 シンドローム0+1
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長 成長3 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵 射撃 RC2 交渉
回避1 知覚 意志1 調達
運転: 芸術: 知識: 情報:UGN1
運転: 芸術: 知識: 情報:

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 復讐者 尊敬していたあいつ
固定 あの日潰えた夢 憧憬 恥辱
固定 尊敬していたあいつ 尊敬 憎悪
シナリオ 東雲 花蓮

メモリー

関係名前感情
思い出 光を見た 憧憬 頭は拒否していても、心は求めてしまうモノだ

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
C:サラマンダー 2 メジャーアクション 2
C値減少(下限値7)
苛烈なる火 3 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 3
そのラウンドの間、攻撃力を+[Lv*3]する HPを5失う 
螺旋の悪魔 5 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 3
自身に暴走を受ける そのラウンドの間、ウロボロスのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力+[Lv*3] 
災厄の炎 5 メジャーアクション <RC> 対決 範囲(選択) 至近 4
攻撃力[Lv*3]の射撃攻撃を行う 対象を変更できない
原初の黒:ラストアクション 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 7 100%↑
戦闘不能の瞬間に使用可能 行動権を使用しないメインプロセスを行う 1シナリオ1回使用可能
傍らの影法師 1 メジャーアクション 効果参照 自身 至近
ずっと耳元で煽って来るお人形さんがいるの
禁じられし業 1 オートアクション 自動 単体 視界 3
見た目は似てるけど、別にその幻想はぶち壊さない

コンボ

燎原に焦れる自己嫌悪 "ロイエハズシュピーレン"

組み合わせ
螺旋の悪魔Lv5苛烈なる火Lv3
タイミング
セットアッププロセス
技能
span class="d-dash"―/span
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
6
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

暴走付与 攻撃力+24(30) HPを5失う 

邪怨の人形劇 "グラッジプッペンシュピール"

組み合わせ
災厄の炎Lv5C:ウロボロスLv2
タイミング
メジャーアクション
技能
<RC>
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
6
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
7dx+2
25
100%以上
10dx+2
7
28

一般アイテム常備化経験点種別技能解説
コネ:噂好きの友人 1 コネ 〈情報:噂話〉 <情報:噂話>の判定ダイス+2個
コネ:マスメディア 1 コネ 〈情報:メディア〉 <情報:メディア>の判定ダイス+2個

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
30 0 134 0 0 164 27/191
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

生い立ち

幼少時から子役として有名劇団に所属し、短い時期だが役者活動の経験を持つ少年。
当時は板の上に立つことが他の何よりも大好きで、演者としての才覚は親や劇団員達も一目置き、ゆくゆくは有名俳優になるであろうと期待されていた。
しかし本格的に芸能活動を始める為に所属した芸能事務所で、彼は手痛い挫折をする事となる。
曰く、同じ劇団出身で自分よりも一年早く事務所に所属した同輩にハメられ蹴落とされたのだと話している。
その失敗以来、演じる事や芸能界に連なる事柄にトラウマを抱えてしまい、寿別太という役者は二度と舞台に上がる事は無くなってしまっていた。
燻り続けている未練、それは同じ夢を抱きひた走る幼馴染を見るときの逆光となり心を虐め続けている。
自分は彼女のような希望はもう抱けない。もうあの場所には戻る事は叶わない。
それでも尚その未練はいつまでも彼を追いたてる。その炎に近づいているのは自分だと気がつかない虫のまま…

<あの日夢見た光は、今は自らを焼き焦がすスポットライト
ようこそ、楽しくて輝かしい残酷な舞台へ




ロイス関連SSっぽい蛇足

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いつもの部活動の帰り道、俺は見知った奴が校門に立っていることに気が付いた。

————————————ああ…あれから何年か経ったが、忘れもしないあの顔だ…
俺が憎くて…憎くて堪らない…俺がこの場所に、この道に"堕ちた"切っ掛け…

「…おいおい別太、素通りか?」

わざと無視をするかのように横脇を通り過ぎていこうとする俺に、あいつはため息交じりにそう言い放った。

「………今や人気沸騰中の若手俳優様が、落ちぶれた子役崩れに何の用だよ。」

吐き捨てるように言った言葉には棘があった。いや…棘しかなかった…
この男にかける言葉に丸みなど要らない…。
憎しみから抽出し、無加工のまま投げつけるだけで今の俺の精一杯だからだ。

「…久しぶりだな、随分長い事連絡もできなかったから…でも、お前だってすぐわかったよ。」

昔を懐かしむ様な口調であいつは言う。
その言葉だけで、俺は爪先から頭頂まで電気が走ったかのような錯覚を起こす。

————————…嫌悪感
「………笑いに来たのか?」
————————…憤慨

気が付けば俺はあいつの胸倉を掴んで今にも殴りかかりそうな体勢になっていた。
幸いにも下校時刻、黄昏色に染まるグラウンドには教師も他の生徒の姿もない。
しかし、俺はその拳を振り抜くことはできなかった。
こいつと再び遭い見える事があったなら…何度もこうしてやりたいと思っていた。
実際にこれまで脳内では幾度となく殴りつけていた。

————…それができなかったのは、こいつの落ち着きの払われた。
いや、これはもう達観したと形容すべきなのかもしれない。
まるでこうなる事がわかっていたかのような表情を俺に向けていたからだった。

「…殴れよ。俺はお前に殴られるだけの事をしたんだ。…そうだろう別太?」

「…」

俺は胸倉から手を離した…
拍子が抜けたわけでも、許したわけでも無い。
ただこいつの思惑通りになっているような気がして嫌だったからそうしただけだ。

「……何をしに来たんだ。俺がお前に用があることはあっても…。お前が…俺なんかには用はねぇはずだろ」

睨む双眼に力が籠る…
こちらには相手を毒する攻撃性が有り余っているのだと、この場から消えるなら早くしろと
そう言わんばかりの威圧を、目の前の仇に惜しまなく向ける。

「………謝りに来たと言ったらお前はどうする?」

————————目の前がカッと赤くなった。
なんとか押し留めていた感情が溢れ出て来る。

「————————…今更かよッ!!…今更どの口がッ!」

人の居ないグラウンドに怒声が響いた。
気が付けば、俺はまた胸倉を掴んで今度は相手を壁に押し付ける形で詰め寄っていた。
それは無意識だったのかもしれない、自分でも制御不能な行動だったように思う。

「………お前が芸能界から離れたと聞いたときは驚いた。…俺も罪悪感に苛まれたよ」

「…驚いた?…罪悪感…?…板から離れてカメラ相手に媚びるようになってから芝居が下手にでもなったのか?」

相手の言葉に間髪を入れず、悪態の泥を投げつける。

「…嘘じゃない。…お前が事務所を去って、まさか芸能界まで辞めるとは思っていなかった。
それが俺の所為だと考えたら……お前の言う様に今更だ。遅すぎる謝罪だけど、言わせてくれ別太…」

————————聞きたくない…

「…お前を追いやったのは俺だ。」

————————————————嫌だ……

「あのときは…本当に申し訳ない事をした…別太…」

————————————————————————やめろ…やめろやめろやめろ

「…今思えば他に方法なんていくらでもあったが…俺にはああするしかなかった。」

————————何もかも遅すぎるんだよ

「お前を守るには…ああするしかなかったんだ…」

————————……………
————————————————………………
————————————————————————……………

「…けど、あの頃は俺もそれが唯一の方法だと信じて疑えなかった。
…結果的にお前が業界を去るまでに追いやってしまったんだよな。」

「…待てよ」

今こいつはなんて言ったんだ。
俺は気が立っているんだ、聞き間違いくらいはあったのかもしれない。

「…いい加減な事言ってんじゃねーぞ。…何が俺を守るだ?…一体俺が何からお前に守られたって言うんだよ!」
訪れた疑問と困惑が、憤慨と混ざり合い区別がつかなくなる。

「ぐっ…。あぁ…そうかお前は…」

「そうやってよくわからねぇ事を吹聴して許しを乞うおうとでもしてんのかッ!?」
石造りの校門に服の擦れる音が低く産まれ、橙のアスファルトに零れ落ちていく。
胸倉を掴み感情のままに壁に押し付ける力には、最早容赦を籠める余裕など微塵もありはしない。

「…今日来たのは、お前への謝罪と…そして忠告をするためでもあったんだ。
ただ…こうやって軽々俺を持ち上げるお前を見てると…はは…その心配は無いようだけどな。」

「…何笑ってやがる?忠告されんのはお前の方だろ…!
お前はなッ、いつ背中刺されるかもわからねーような事を俺にしたんだよ!」

————————————ああそうだ、今こいつを殺してくれと言われれば幾何かの躊躇の後に実行に移しているだろう。

「なぁ…別太…。お前にはあの事務所での俺はどうみえていたんだ?」

「…ああ?」

急に声音が変わり、真っ直ぐに俺を見つめて来る…。
さっきまでの当惑していたかのような口調ではない、真剣な表情。
冷たいが熱の籠った、何かに懇願するかのような瞳。

————————————俺はこいつのこの目が嫌いだ。

「………俺にとっては死神だった」


「…………そうか。……そう、だろうな」



————————————こいつとは劇団員だった頃からの幼馴染だ。
歳も経験も下だった俺は、事あるごとにこいつに教えを乞い…こいつもそれに嫌な顔一つせず付き合ってくれていた。

才覚と練習量が抜きんでていたこいつは、劇団内の同い年くらいの中でも一目置かれる存在で
そんなこいつに俺は、憧れと尊敬を抱いていたように思う。
やがてこいつが劇団を卒業し親事務所に引き抜かれ、本格的に芸能活動を始めた頃
俺もこいつの劇団内ポジションを独占できる程に、頭角を魅せつける役者として注目されるようになった。
…早く追いつきたい…こいつに負けないように、同じ場所に立てるように…

————————————その願いは割とすぐに叶った。
同じ親事務所に引き抜かれ子役としてデビューすることになった俺は、やっとこいつと同じ舞台に立てるのだと幼心に胸を躍らせていた。

俺を引き抜いてくれたマネージャーはとても気の良い人で、すぐに俺に仕事を沢山持ってきてのし上がらせてくれると約束をしてくれた。
やっと夢が叶う…。輝かしい芸能人生を、こいつと肩を並べて歩んでいける
————————…ハズだった。
待てども待てども…事務所から仕事の話は俺には回ってこない。
マネージャーに問うても、今は他の役者に回してるからと、延々とはぐらかされるばかり。

今は事務所に所属したばかりだから、オファーが来ないのは当然だ。
舞台で目立ち、何かしらの監督や企業の人間に目をつけて貰えれば仕事は来るだろう。
それにマネージャーも約束をしてくれたのだから、待っていれば必ず…

そう自分に言い聞かせてレッスンに励む日々の中で…、俺の耳に妙な噂が入ってきた。

「…なぁ知ってるか?…あいつ…あのマネージャーと寝てるらしいよ?」
「えーまじかよ?…そういえばあいつあのマネージャーから仕事貰いまくってるもんな。独り占めかよ…」
「そうそう、マジで独り占めしてるってさ!なんでも…他の子役には仕事回すなって言ってるみたいで」
「…うわー…お抱えの子役たち可哀相ー…あ、でも今抱えてる子役って確かあいつ含めて二人しか…」

悪意の無いささくれが、背を向けたまま聞こえない振りをしている俺の背中に血豆を作っていく。

————————————…最初はただの妬みから来る噂でしかないと信じていなかった。
しかし調べてみると、マネージャーは本当にこいつにばかり仕事を流してるようだった。
…実力の差だ。
そう考えると挫けそうな気持ちに陥ってしまうが、それはそれで事実だと自分でも納得がいくし
あんな噂を信じられる程、自分もこの業界に染まりきっていなかった。
実力をみせていけばきっとマネージャーも認めてくれて、俺にも仕事を回してくれるようになる…。
年端もいかない少年には、このような純真で無垢な願い方しかできない。
学校での友人作りも遊びも、何もかもの時間を舞台練習に注ぎ込み、認めて貰おうと必死だった。

————————————ある日、ふとこいつにあの噂の真実を確かめてみようと思い立った。
一向にオファーがこず、持て余されるだけの登録役者でしかない俺には
こんなにも頑張っている俺を認めて貰えない理由が知りたくて知りたくて仕方が無かったのだ。

「…ねぇ、嘘だとは思うんだけど…こんな噂、知ってる?」

————————————…期待した反応ではなかった。
いや…ある意味俺はこんな風にその噂を肯定して欲しかったのかもしれない。
いくら頑張っても認めて貰えないのは、俺に実力が無いのではない。
…俺には仕事を回して貰えるだけの実力は十分備わっている。
こいつが卑怯にも自分の身体を売って、マネージャーを唆しているのだと信じたくなってしまっていた。

「————————…そうだよ?」

そう言い放ったのは、冷たいが熱の籠った、何かに懇願するような眼。


皮肉にもその問いかけには肯定の言葉が投げ返されたのだ。
————————————それから先の事はあまり覚えていない。

ただ裏切られたのだと…もうあの世界には居たくないのだという気持ちを抱えたまま
気が付けば事務所と劇団を辞めており、普通の子供が送る生活に逃避していた。

————————————躊躇いも無く肯定された、信じていた幼馴染による許されざる裏切り
————————————職権を乱用し、仕事を餌に子供をその手にかけたマネージャーの悪行

周囲や親などに糾弾したのかどうかさえ、もう今となっては思い出せない黒い記憶になってしまった。




涼しい顔で当時の生き甲斐を縊り殺したこいつは、俺にとっては死神以外の何物でもなかった。
その死神が今更刎ねた首に謝罪をしにのこのこと現れたところで、呪いの言葉以外に叩き返せるものなどない。

「…お前に踏み躙られた記憶はあっても、守られた記憶なんざこれっぽっちもなかったよ。
どの面を下げてそんな台詞が吐けるんだ…。それとも…やっぱりアイドルごっこしてる素人を揶揄いに来ただけってか?」

吐き捨てる飛沫を選ぶ余裕すらない、自分自身にまで皮肉が飛び火している。

「…別太、俺もな…お前が辞めた一年後にあの事務所を辞めたんだ。」

「………だからなんだよ?子供に手を出す色惚けしたマネージャー様が居座ってる事務所だ。
大方そういうのがバレて首にでもなったんじゃねーの…?ざまーみろ…ッ!」

嫌な汗を滴らせながら、余裕のない笑顔で俺は悪態をつく。

「—————…あのマネージャーはな別太。
一部の界隈じゃ、子役を食い物にして使い捨てる事で有名なマネージャーだったんだ。」

「…は?」

…————————————芸能界の卵を使い捨てる。
残念ながらこの業界じゃよくある事だ。輝かしい世界を夢見、自らもと目指す者はこの世界に星の如くにいる。
消費しても消費しても沸き続け、夢の為なら幾らでも金と時間と身体を捧げようとする若者たち。
"使う側"は、権力さえ持っていればこの若い芽をいくらでも味見だけして吐いて捨てることが出来る。

…ならば、あのマネージャーも最初からそのつもりでこいつと寝ていて。
飽きられたからこいつは使い捨てられたとでも言うのだろうか。

「あのマネージャーは業界でもかなり顔が効くからさ、今もあの事務所で同じことを繰り返してるよ悔しいけどさ。
使い捨てられるって事は知らなかったから、当時俺もどうするか戸惑っていたんだ。
大成したいならそういうことをするのがこの業界だから仕方ないんだって…」

胸倉を掴む振るえる手に、温度の違う冷えた指先が触れてくる。

「…でも結局返事を返さないままの俺に業を煮やして、マネージャーはお前を劇団から引き抜いた。
お前はトップスターになる事が夢で、どんな事だってやってやるっていつも言ってたから…
俺もこのマネージャーのやり方は俺よりもお前が向いてる、だからポジションを譲って事務所を辞めようって思ってた。
けど…知り合いの音響監督からそのマネージャーが役者を使い捨てるって話を聞かされて俺は焦ったんだ。
どうしよう…このままじゃ別太があのマネージャーに騙されていいようにされて捨てられてしまうって…」

…もう壁に押し付ける力すら失ってしまった左手は、すっかり血の気が引いてしまっていた。
セーターを掴んでいた指先は、根元から切り落とされてしまったかのように感覚が無い。

————————————この話は…きっと言い逃れの為の虚言だ。
そうに違いない…この男は俺を裏切った死神なのだから。

「だから俺は…マネージャーがお前に手を出さないようにあの人を受け入れた。
お前に振り向かないように…矛先が向かないようにって…。」

————————————嘘だ…

「ホントに…今思えばお前にこうやって言えば良かったんだよ…。忠告すれば良かったんだ…
けど、あの頃の俺はそうしなかったんだ。きっと中学生…ガキだったから頭回らなかったんだろうな…。」

————————————後になればなんとでも言える!そんなのは嘘だ!

「…劇団に居た頃から、キラキラした目で舞台の事を語ってたお前の夢を…汚したくなかったのかな。
………ううん、結局お前を傷つけてたからこんなの…ただの言い訳だよな。
汚したくないとか言いながら…お前に言及されたときに偽ろうともしなかった。
他の役者からも嫌がらせを受けたりもしたし…やっぱり俺がやった事ってのは許される様な事じゃなくて…」

————————————後で何とでも…なんとでも…

「…別太?」

————————————そうだ…俺が芸能界を去った理由を


思い出した



「————————…そうだよ?」

裏切りを本人に肯定され、自分の夢を真上から掬い上げられてしまった俺は当然のように怒りに身を焼かれた。
心の中でその行いと親友だった存在、そしてそれを黙認している周囲を蔑み罵った。

しかし声を荒げて糾弾したところで、権力も無い一介の子役風情の言葉に耳を貸すものなどいない。
それにあろう事か、相手はそれなりに大きな芸能事務所の敏腕マネージャーだ。
幼心にそれを知っていた当時の俺は、なんとか自分を裏切った奴らに一矢報いてやろうと行動を起こしたのだ。

「…あいつ、マネージャーと寝て仕事を俺から奪っているんだ。」
「他のマネージャーにも身体売ってるんだってよ、そのうちこの事務所の仕事全部とられちゃうんじゃない?」

噂には噂を…ネチネチとした悪評の伝染。
枕営業に加え、根も葉もない噂を方々に吹聴して回った。
他にも同じ事務所の仲間たちと結託し、かつての親友を貶める様な嫌がらせを幾度となく繰り返したりもした。

————————————…あの頃の俺は、本当にクズだったように思う。

孤立して虐めを受けるかつての親友を見て、天罰を下してやったのだと息巻いていた醜い人間だった。


結果的に本人にバレる前に事務所側に俺の主犯がバレてしまい、俺は事務所を追われる事になった。
醜い感情に支配された俺は…業界に対する絶望と、かつての親友に対する怨嗟の成せる業なのか
反省するべき心と共に記憶は捻じ曲げられ、自分にとって都合の悪い事は忘れ去ってしまっていた。



————————————俺の思考は———…ドス黒い淀みの中に叩き落された…。
かつての親友に齎された告白によって、記憶の中にしまわれた真実が…
俺にとって都合良く塗り替えられてしまっていた記憶が呼び戻された。


「別太…お前が業界を後にしたのは俺の所為だ…本当にごめん。
あんな形でお前の夢を汚した張本人が、今更謝りに来ても許されるわけじゃないってのはわかってる。
でも…言っておかなきゃって思ったんだ。」

————————————俺が裏切ってしまったかつての親友は
不器用ながらも俺の事を想い…人身御供でこの身を守ろうとしてくれていた。


「そういえば…お前が仲良くしてたあの子も元気かな…?ほら、いつも一緒にいた…」

————————————俺が裏切ってしまったかつての親友は
…俺の裏切りや醜い人間性を露とも知らず、抱える必要のない罪の意識を数年間飲み込んだまま
こうしてしなくてもいい謝罪をしに来ている。


「…どうしたんだ、別太…————————————」


————————————…話が脳に入ってこない

————————————…言葉が整理できない

————————————…この男は何を話してるんだろう

どこまでも白い世界が頭の中を覆い尽くしていく。
きっと、愚かとは俺の為にある言葉なのだろう。
なんて頭の悪い、意地の汚い人間なのだろう。


復讐だの怨嗟だの絶望だの…
あの日から胸に抱いてきた想いが、全て愚かしい独りよがりの虚妄だった。
この身を崖から投げ出せば、今までの過去も、自らの存在も、記憶も、記録も
全て消し去ってくれると言われれば
踏み出す爪先に一瞬の躊躇いも無く奈落へと捧げることができる自信が今の俺にはある。

————————————…ああ、そうだ。俺にはもう夢をみる資格なんてない。

そんなものを口にする権利は無い。
かつて親友を裏切り貶めた俺が、汚らしい俺が————————————

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セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 34
1 2018/05/25 LineOverture 27 みゃーの氏くまなべ氏こりく氏

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