朗是市に住む少女。三つ編みに大きな丸眼鏡を掛けた文学少女然とした人物。文武両道で、なんでもそつなくこなすため周囲の大人からは神童と呼ばれることもあるが、それでも普通の範疇を出ないどこにでもいる普通の少女。

　性格は内向的で人見知り。物事を人並み以上にこなす反面、自己肯定感が低く、人と話すことが苦手。明るく無邪気で誰とでも仲良くなれる櫻井青葉に憧れている。物真似が得意で、女優になってスポットライトの下で輝くのが夢。

　能力は「影の操作」。自身の影を植物の枝葉めいて伸ばすシンプルな能力。伸ばした影で相手を引っ掛けたり切り裂いたりして戦闘を行う。クセがなく使いやすい能力だが、これといった強みもないごく普通の能力。相手の影を操作しようとした場合はまた違った挙動を見せるらしいが……？

　FHセル、A.I.Mセルに所属するFHチルドレン。セル内の陰鬱な雰囲気に反し、不気味なほど明るく無邪気な少女。その無邪気な振る舞いに反応する相手はもやはいない。主に潜入や暗殺の任務を担当している。

　現在A.I.Mセルで櫻井青葉を名乗るこの少女は櫻井青葉本人ではない。本名を藤代彩夏といい、2年前に藤代彩夏を庇い死亡した櫻井青葉の名を名乗っている。絶大な精神負荷により自我が崩壊した影響で、自分のことを櫻井青葉だと思い込んでいる。

　能力は「影樹」。自身の影を植物の枝葉めいて伸ばすシンプルな能力……に思われていたが、他者の影に干渉した場合また違った挙動を示すことが確認された。
　その能力とは「オーヴァード能力及び人格情報のコピー」。藤代彩夏が他者の影を操作した際に生成される影の果実を食すことで、その人物の人格及びオーヴァードであった場合はその能力をコピーすることが出来る。コピーした能力は数分で揮発するものの、制限付きで能力をいつくかストックすることも可能である。他者の影から生成される果実は様々な形態をとり、一つとして同じものはない。

　オーヴァードに覚醒した経緯、置かれた境遇、自身の自我に負荷をかける能力、これらの要因が絡み合い藤代彩夏の精神は完全に崩壊した……と思われているが、それは否である。精神が完全に崩壊する直前、自我を守るために身代わりとなる人格を生み出すことで辛うじて精神の崩壊を免れていた。何かの拍子に元の人格が復活する可能性はあるが、その際に藤代彩夏が己の罪に耐えきれるかどうかは別な話である。