「いつか。みんなで、家族で、幸せに暮らしたいなぁ。」

生まれてくる前に、母は父親と別れさせられたため父親の顔は知らないもの、それ故に『父親がいる日常』に憧れを持っている。

6歳の頃に住んでる町がFHの襲撃を受け、兄と共にFHチルドレンとなる。
研究セルに入れられ、実験体として戦闘訓練や実験を行われていたため劣悪な環境からの脱走を目論む。
兄のバロール能力を使い、休息時間の時間を停滞させ、自分たちの成長のためや休息の為に使っていたため年齢と産まれ年が一致しない。

「それでも『いつか』はやって来ないってわかっているんだ」

FHセルにいた頃、父親の夢を見たことがある。セルにいた頃に一番苦しかった時に、父親に抱きしめてもらえたことで自分は救われた気がする。だからこそここにいるんだ。
でも、父は自身の衝動の制御が効かないオーヴァードのようだった。生まれた頃からオーヴァードだったから自分は苦しんだことなんてなかったけれども、苦しむ人がいるなら救いたかった。故に『治療薬を作りたい』と志すようになった。
でも今まで決定的な治療薬は出来上がってないし、家族全員で会うことなんてないだろう。
母は死んでいるし、父はおそらく別の女性とくっついていることだし、兄は学園島で暮らしている。『家族と暮らす』という夢は見られないだろう。
だからこそ、実際にあったことのない父親に会って、さよならと決別の言葉を伝えて自分の心にケジメをつけたい。でも父に甘えたい気持ちもまだある…………

まぁ、時間はいくらでもあるから。

いつか本当になるその時まで素敵な夢を見よう。目が覚めるその時まで。
故に僕は多重夢(アネモイア)”なんだ。

イメージ曲：人マニア