ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

ユゥユゥ - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

焔ノ巫女姫(フォーマルハウト)ユゥユゥ

プレイヤー:ぷちぺち

年齢
16歳
性別
星座
魚座
身長
155㎝
体重
秘密ですっ!
血液型
A型
ワークス
UGNチルドレンC
カヴァー
高校生
ブリード
クロスブリード
シンドローム
サラマンダー
バロール
HP最大値
32
常備化ポイント
4
財産ポイント
2
行動値
10
戦闘移動
15
全力移動
30

経験点

消費
+201
未使用
51
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 理解者:孤児院の人たちは私の家族みたいな人たちだよ!
天涯孤独
経験 炎の神:目を付けられた原因は私の失敗なんだけどね...それはそれとして私は貴方が大嫌いだねっ。
力の暴走
邂逅/欲望 天子様:天子様は私の望み、思いの具現化。はぁ、どこにいるのかな...。
慕情
覚醒 侵蝕値 彼女は生まれながらにオーヴァードであったが、炎の巫女となることを強いられた哀れな少女である。
生誕 17
衝動 侵蝕値 彼女の心は縋るためのナニカを作り出した、それが何であるかはっきりしないまま...。
妄想 14
/変異暴走 妄想:通常の暴走の効果に加え、行動値が‐10される
その他の修正5Dロイス:実験体による上昇5点
侵蝕率基本値36

能力値

肉体2 感覚1 精神8 社会2
シンドローム2+0 シンドローム0+1 シンドローム1+2 シンドローム1+1
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正4 その他修正
白兵 射撃 RC7 交渉
回避1 知覚 意志3 調達
運転: 芸術:琵琶1 知識: 情報:UGN4

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 実験体(ロストナンバー) 今では懐かしい過去って感じだけど...うぅ...注射だけは今でも苦手かな...。
Sロイス 炎の神 信頼 嫌悪 私は貴方が大嫌い...でも貴方の力は信用せざるを得ないかな。
ミストリア・エックス 幸福感 不安

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
コンセントレイト:サラマンダー 2 メジャーアクション シンドローム 2
クリティカル値を-LVする(下限-7)
災厄の炎 5 メジャーアクション 〈RC〉 対決 範囲(選択) 至近 4
攻撃力Lv×3の射撃攻撃 このエフェクトの対象、射程はエフェクトの組み合わせによって変更できない
プラズマカノン 3 メジャーアクション 〈RC〉 対決 単体 視界 4 100%
攻撃力LV×5の射撃攻撃を行う
インフェルノ 1 メジャーアクション シンドローム 対決 単体 4 100%
このエフェクトを組み合わせた攻撃で対象にダメージを与えたとき対象を行動済みにする このエフェクトの対象は変更できない 1シーン1回
マクスウェルの悪魔 3 オートアクション 自動成功 単体 視界 5 120%,妄想
ダメージロールの直前に使用 ダメージを[LV+1]Dかー[LV+1]Dする このエフェクトは貴方に対する攻撃かあなたの攻撃のダメージロールにしか使用できない 1ラウンド1回
フェニックスの翼 3 クリンナッププロセス 自動成功 自身 至近 4
HPをLV×5点回復する 戦闘ではないとき1シーン1回まで使用できる
火の鳥の加護 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 4 リミット
フェニックスの翼直前に宣言 対象を範囲(選択)に変更 1シナリオLV回
暗黒の槍 3 メジャーアクション シンドローム 対決 3
装甲無視 HP5点消費 シナリオLV回
終末の槍 3 メジャーアクション 〈RC〉 5 リミット
暗黒の槍と組み合わせ ダメージを+LVDする HP4点失う
時間凍結 1 イニシアチブ 自動成功 自身 至近 5 80%
組み合わせ不可 イニシアチブにメインプロセスを行える このメインプロセスは行動済みならず行動済みでも行える HP20点消費 1シナリオ1回
時の棺 1 オートアクション 単体 視界 10 100%
判定直前に使用 判定を失敗させる 1シナリオ1回
炎の理 1 メジャーアクション 自動成功 効果参照 至近
炎を作り出す
不燃体 1 常時 自動成功 自身 至近
燃えないからだ
魔王の玉座 1 常時 自動成功 自身 至近
ふわふわ浮くよ(気分で変わる)
実験体(ロストメモリー) 0 常時 自身
基本能力値を4点、基本侵蝕率を5点増加する

コンボ

妖星ノ火輪(ようせいのかりん)

組み合わせ
コンセントレイト 災厄の炎  ストレンジフェイズ
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
8+3
8
7
15
100%以上
8+3
7
7
18

炎は彼女の体の周りを廻る それは舞を踊る妖精か星を廻る衛星か

紫微宮・北落師門(しびきゅう・ほうらくしもん)

組み合わせ
コンセントレイト 災厄の炎  暗黒の槍 終末の槍 ストレンジフェイズ
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
18
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
8+3
8
7
15+3D
100%以上
8+3
7
7
18+4D

装甲無視 HP5消費 HP4失う
炎の神を導く門 門を開くために巫女はその身を異界の炎へと捧げる

霓裳羽衣・比翼連理(げいしょううい・ひよくれんり)

組み合わせ
コンセントレイト 災厄の炎 プラズマカノン  暗黒の槍 終末の槍 ストレンジフェイス
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
22
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%以上
8+3
7
7
38+4D
160%以上
8+3
7
7
46+5D

100%制限 装甲無視 HP5点消費 HP4点失う
天子様に捧げる舞 その舞はその身を焦がすあなたへの愛の炎

其ノ身ハ火炎恒星ト成リテ(リヴァーサル・フォーマルハウト)

組み合わせ
コンセントレイト 災厄の炎 プラズマカノン  暗黒の槍 終末の槍 マクスウェルの悪魔 ストレンジフェイス
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
27(22+5)
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
120%以上
8+3
7
7
38+9D
160%以上
8+3
7
7
46+11D
220%以上
8+3
7
7
54+13D

120%制限 装甲無視 HP5点消費 HP4点失う
全てを燃やす火炎の星 その身を焦がす炎は一つの星となりて天子のために輝く

邪神ノ煉獄抱擁(クトゥグア・レントリスト)

組み合わせ
コンセントレイト プラズマカノン インフェルノ 暗黒の槍 終末の槍 マクスウェルの悪魔 ストレンジフェイズ
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
15(
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
120%以上
8+3
7
7
20+9D
160%以上
8+3
7
7
25+11D
220%以上
8+3
7
7
30+13D

120%制限 対象を行動済みにする 装甲無視 HP5点消費 HP4点失う
巫女が忌み嫌う邪神の一端 炎の神による抱擁は信者には恩寵を、信仰無き者には耐え難い拘束へと変貌する

火精ノ妖星炎舞(フサッグァ・エクナド)

組み合わせ
コンセントレイト 災厄の炎 プラズマカノン マクスウェルの悪魔 ストレンジフェイズ
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
120%以上
8+3
7
7
38+5D
160%以上
8+3
7
7
46+6D
220%以上
8+3
7
7
54+7D

120%制限
誰にも捧げぬ炎の舞 彼女のための舞であり巫女が炎の精となるための導きでもある

妖星恒星:停滞ノ炎

組み合わせ
時の棺
タイミング
オートアクション
技能
難易度
自動成功
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%以上

100%制限 判定直前に使用 判定を失敗させる 1シナリオ1回
与えられた生命の炎 それは巫女の手により取り上げられる不確かなものである

妖星恒星:時空ノ炎

組み合わせ
時間凍結
タイミング
イニシアチブ
技能
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
5
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
80%以上

イニシアチブにメインプロセスを行える このメインプロセスは行動済みならず行動済みでも行える HP20点消費 1シナリオ1回
万物が持つ時空の炎 巫女の祈りと捧げた代償により彼女は手の中に時空の炎を得る

妖星:慈愛ノ炎(フェアリーフレア)

組み合わせ
フェニックスの翼 火の鳥の加護
タイミング
クリンナッププロセス
技能
難易度
自動成功
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
8
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

LV×5回復する 1シナリオLV回
巫女による慈愛の炎 巫女の慈愛はただ一人のものだが天子のために巫女は施す

防具常備化経験点種別行動ドッジ装甲値解説
アルティメイド服 防具 -3 10 RC判定+3する
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
ストレンジフェイズ 15 その他 RC判定のエフェクトによる攻撃の判定ダイスを+3個する
コネ:情報収集チーム 2 コネ 〈情報:〉 情報:の判定値を+2する 1シナリオ3回
「私に協力的なのは...友達と孤児院の人たちかな?友達の情報収集能力は...ちょっと...アレだけど...孤児院長のネットワークは凄いからね!」
携帯端末 0 愛用の携帯端末、と言ってもあまり使用していないが...友達と施設の人間の連絡先が入っている。
制服 0 通っている学校の制服、制服のまま任務に赴くことがあるため替えの制服を数着用意している。
琵琶 0 〈芸術:琵琶〉 初めてできた趣味...琵琶の演奏に用いる琵琶、まだあまり上手くはないが上手くなる為に練習中。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
19 246 15 0 280 51/331
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

キャラクター設定
名称:ユゥユゥ、孤児院育ちのため名前しかない。高校生、誰とでも仲良くなれるような幼馴染系ハイスペック少女。好きなものは琵琶とライチ、嫌いなものはドタキャンと私に干渉してくる炎の神様、自分の理想の天子様を見つけることが人生の目標。物心ついた時からUGNの孤児院で生活していた。今は学業兼一般社会に溶け込むために一人暮らしをしている。ユゥユゥは生まれたときからサラマンダーの能力を本能的に使用することが出来る先天的なオーヴァードで幼少のころに手に持ったものを発生させた炎で燃やしてしまいエージェントとしての訓練を積むことになった。その経験によってフォーマルハウトに住む炎の神(名称不明)に魅入られてしまい無意識のうちに天子様を求めるようになった。今は炎の神を天子様としているがそれ以上の理想の天子様に出会うことが出来れば一生尽くすつもりでいる。たとえそれが男でも女でも人間という枠組みを外れていた存在だとしても。

生まれたときから体内に小規模の恒星を保持している...いわば第二の心臓...それによって彼女はオーヴァードとなり、炎の神に目を付けられることとなった。炎の神は彼女が恒星を制御できることが出来れば将来自らの巫女となり得ると考えた。しかし、彼女の体は恒星が発生する熱に耐えることが出来る体であっても、恒星の重力ががエネルギーとして吸収する熱を賄えるほどの力はなかった。巫女候補がその程度のことで散ってしまうことがないように恒星のエネルギー吸収を自分へと置き換えるようにした。恒星のエネルギー吸収...つまり、ユゥユゥに対する恒星の重力による影響をすべて無効化してしまったことでユゥユゥはバロールの力を使用できなくなっていた。体の成長に合わせて恒星の重力による影響を出来るだけゆっくりと馴染ませようとしていたが幼少期の事件のときにユゥユゥの炎が暴走し、その影響で体内のエネルギー容量が増加、増えた容量である程度のエネルギー吸収を賄えると判断し重力の影響を一部開放した。その時点でバロールの力を使用できるようになった。

ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと うがあ=ぐああ なふる たぐん いあ! くとぅぐあ!



用語・技説明・コンボロールプレイ

妖星(ようせい)
サラマンダーの炎とバロールの重力操作を利用した炎の塊、ユゥユゥの体の周りのフワフワと浮遊しながら回転している。その様子がまるで妖精のようであり、星を周る衛星のようでもあったので妖星と呼称している。ほぼ無意識で作り出し、出力を変えることが出来るため、通常の攻撃手段から明かりの確保までといろいろ重宝されている。

恒星(こうせい)
ユゥユゥの胎内に存在する特殊な器官、彼女のオーヴァードのしての能力を司る第二の心臓のであり一つの星。これが体内に発生してしまったことで彼女はオーヴァードとなり炎の神に目を付けられる原因となった。恒星は火炎恒星(フォーマルハウト)へと繋がる鍵であり門、普段は炎の神が能力の一部制限、管理している。炎の神からユゥユゥへ恒星の能力の制御を返還した場合、異界の炎と炎神の炎を十全に使用できる状態になるが恒星の重力がユゥユゥの熱を吸いつくしてしまい死んでしまう諸刃の剣である。

妖星の火輪(ようせいのかりん)
妖星を展開し自分の体の周りを高速回転させる。回転が速くなるにつれて要請が炎の輪のようになるため、妖星の火輪と呼んでいる。炎の輪はユゥユゥの合図とともにその推進力を乗せたまま敵対者に突撃し対象の身を焼く。
「妖星展開...敵を燃やせ!"妖星の火輪"!」

「紫微宮・北落紫門《しびきゅう・ほうらくしもん》」
体内の恒星の力を一部開放することで火炎恒星(フォーマルハウト)と恒星を接続し、異界の炎を用いることが出来る。異界の炎は普段のユゥユゥの炎の色である青色に黒を少し混ぜたような色をしている。異界の炎を体から放出し、広範囲を焼く。欠点として異界の炎を放出するにつれて体の熱を恒星に吸収されてしまう。
「恒星開錠!これは異界の炎!"紫微宮・北落紫門"!」

霓裳羽衣・比翼連理(げいしょううい・ひよくれんり)
異界の炎とユゥユゥの炎が比翼連理の如く互いを増幅し合い熱エネルギーを膨張させる。その炎は地面を溶かすほどの火力であり敵対者を焼く凶器となる。炎を増幅させるために舞を踊るような動作をする。この舞は誰かと捧げる舞であり、その炎はその身を焦がす誰かへの炎である。
「見ていてください天子様...これがあなたへ捧げる"霓裳羽衣・比翼連理"です!」

其ノ身ハ火炎恒星ト成リテ(リヴァーサル・フォーマルハウト)
恒星の力を全開放している状態。この状態を維持し続けると恒星に体の熱をすべて吸い尽くされてしまう。恒星から火炎恒星(フォーマルハウト)へと接続し自分の体を起点に異界の炎を火炎恒星として顕現させる。地上に顕現した火炎恒星は全てを灰にする炎であり敵対者へと襲い掛かる。この炎はいわば諸刃の剣でありその身を蝕む狂気の炎である。
「ふんぐるい...むぐるうなふ...ふぉーまるはうと!"其ノ身ハ火炎恒星ト成リテ"!」

邪神ノ煉獄抱擁(クトゥグア・リストレント)
炎神の炎による抱擁、その炎は信者へは恩寵を、敵対者へはその身を縛る煉獄の炎となる。恒星から炎神の炎を引き出すことが出来る状態は恒星と体が適合していて一時的に制御が出来るようになっている。炎神の炎は巫女を包み込む蒼い炎でありユゥユゥ自身の炎と混ざり青白い炎となっている。攻防どちらともに優秀でありこの状態のユゥユゥは一種の精霊と同義である。
「貴方に邪神の恩寵を..."邪神ノ煉獄抱擁"...!」

火精ノ妖星炎舞(フサッグァ・エクナド)
恒星の力を最大限引き出している状態で行うユゥユゥ自身の炎のみを用いた炎の舞。数百にも及ぶ妖星を展開し舞を踊るように戦場を駆け回る。ユゥユゥの手足一振り一振りに連動し妖星が波となり敵対者を蹂躙する。これは人のためではなくユゥユゥが彼女自身のために踊る舞であり、彼女の心の在り方を正しく示す炎舞である。
「そう...それじゃ...私と一緒に踊ってね?"火精ノ妖星炎舞"!」

「妖星恒星:停滞ノ炎」
一時的にユゥユゥに対する恒星のエネルギー吸収の影響を妖星を媒介に外に移すことで攻撃のエネルギーをすべて無効化する。対象の攻撃エネルギーはまるで何も起こらなかったかのように停滞し妖星から恒星へと吸収される。ユゥユゥ自身に対する影響も大きく連発して行うことが出来ず数日に一回しか使うことが出来ない。
「それはやらせない...!私が止める!"妖星恒星:停滞ノ炎"!」

「妖星恒星:時空ノ炎」
妖星を操るかのように恒星の自転を加速させることでまるで周りの時が止まったかのような速度で行動することが出来る。ただし、それ相応の代償が必要であり普段の数倍のエネルギーを恒星に吸収される。それでも、時間加速の如き速さで行動できるため敵の一瞬の隙を生み出すことが出来る。
「まだまだ...!もっともっと...!もっと速く!"妖星恒星:時空ノ炎"!」

妖星:慈愛ノ炎(フェアリーフレア)
温かいオレンジ色の妖星、この炎は触れたものを癒す慈愛の炎である。病気を治すことは出来ないが傷を治すことが出来たり疲れを取ることが出来たりと汎用性が利く。見た目だけだとただの炎のように見えるため初見だと怖がられることがあるがユゥユゥの出せる炎の色でオレンジ色はこれのみであるため100%善意の行動として甘んじて受け入れよう...。
「これは貴方を癒すための炎だよっ!"妖星:慈愛ノ炎"...って、ちょっとぉ!逃げないで私に燃やされてよー!」



設定怪文書

「...」
寝る前のひと時、ぽっ、と掌の上に炎を燃やす。
「...」
手の中で燃えている炎から声が聞こえる。炎とは誰に干渉されるこのもなく自らの意志で燃え続けるもの。幼いころからそうやってこの力と向き合ってきたはずだった。
「...」
この声は遥か彼方にある火炎恒星にいる名も知らぬ炎の神からの声だ。
「...」
私は炎を見ることが好きだ。この力は私が生まれたときから共にしてきたものだ。
「...」
私はあの火炎恒星を見るのが好きだ。フォーマルハウトというらしいが私のコードネームの由来にもなっている。秋の夜、夜空に輝くあの星を眺めるのは楽しい生活の中でも心を落ち着かせる時間となっている。
「...」
だが、あの炎の神、あいつだけは嫌いだ。あの日、幼少のころ手の中の炎を眺めていたとき、間違えて炎を出しながら物をつかんでしまった。初めて自分の手で自分の許容量以上の炎を出した時あいつは私に干渉するようになった。
「...」
ふっ..と息を吹きかけて掌の上の炎を消す。私の中の雑音が消える。あいつを賛美するような声が消える。あいつは私の炎に干渉して声を届けてくる。
「...」
それだけならまだいい。しかし、あいつは私の望み、理想の天子様を見つけるという望みにまで干渉してきた。それだけは許せない。私の望みに誰かもわからないやつが干渉するな。
「寝る前に、虚空に怒っても仕方ないか...明日も学校あるし今日は寝よーとっ。」
明日の学校はどんな楽しいことがあるのかな。そんなことを思いながら今日も眠りにつく。どこにいるのかな私の理想の天子様。夜空には火炎恒星(フォーマルハウト)がきらめいていた。



とあるUGN職員の記録
UGNチルドレン:ユゥユゥの生まれについて

彼女が発見され保護されたのは火災によって倒壊した病院の中から奇跡的に発見された。この病院で発生した火災は突如手術室から発生した青い炎によって始まったといわれている。その炎は当時病院の外にいた人からも見えるような強い炎だった。原因としてはオーヴァードという存在を知らない社会には病院内で用いられていた最新鋭の機器の暴走ということになっている。

しかし、真実はそうではない。この火災の原因は当時出産されていたユゥユゥ自身にある。彼女は生まれながらにしてサラマンダーのオーヴァードであった。なぜあれほどの炎を生まれたばかりである彼女が発生させることが出来たのかは定かではない。母親が出産によって受ける痛みに呼応したのか体外という未知の空間に出ることによる恐怖によるものなのか直接的な原因は判明していないが、無意識のうちに発生させた炎は当時手術室にいた彼女の母親はもちろんのこと医師や看護師、手術室の外で待機していたと思われる彼女の父親までも一瞬のうちに炎によって焼き払ってしまった。

その後、消防が到着する前に病院全域に炎が回ってしまい病院が倒壊した。消防による消火活動が行われすべての炎を消火することが出来た後に生存者の探索が行われた。病院内からの生存者の発見は絶望的だと考えられていた。しかし、病院の手術室の周辺になぜか火災による外傷がない赤子が発見された。病院内の生存者はこの赤子だけだった。

その後、調査と保護という名目で赤子をUGNの孤児院で引き取ることでなった。そして、ユゥユゥ名がつけられUGNチルドレンとして育てられる。これが彼女が保護されるまでの生い立ちである。この事故の顛末は彼女には伝えられていない。不慮の事故ではあったが彼女の手によって彼女の両親を焼いてしまっていた。このことを伝えることによってまた暴走するのを危惧しているためだ。彼女には火災から発見された孤児だとだけ伝えられている。



秋の夜空には名も知らぬ星と共に私が好きな火炎恒星(フォーマルハウト)が光る。こんな穏やかな夜には一つ、私の過去の話でもしようかな...まだ16歳のひよっこなんだけどね。
まあ、それはともかく...私のシンドロームは生まれつき使うことが出来たサラマンダーと......まことに不服だが私に干渉してきたあいつによって発現したバロールの能力がある。まあ、つまるところ私はクロスブリードのオーヴァードであるってところかな。
「....」
おい、そこうるさいよ。少し隙を見せたからってすぐに交信しないでほしいな。私は貴方のこと嫌いだから。
「....」
ふ...ふふふ、本当に私を怒らせるのが得意だね貴方は、私の干渉によって力を発現したことに感謝して信仰を捧げよ、だって?私は怒りで体が燃え上がりそうだよ...ふう、危ないまた何か燃やすところだった。
まあ、少しだけ、本当に少しだけは感謝してる、けどね、絶対に貴方には信仰は捧げないよ...絶対にだ。
あいつのせいで話がずれた。私が何を言いたかったかというと、昔はサラマンダーの能力しか使えないクロスブリードのオーヴァードだったってことだ。

物心がついたとき、私はUGNの孤児院にいた。聞いた話によると私は火災の中から見つかった赤子だったらしく火災から無傷で見つかったという異常性からUGNに保護された。そこで検査を受けて初めてオーヴァードだということがわかり、正式にUGNの孤児院に保護された。
生まれてからUGNに保護されるまではそんな感じかな...。そこで初めて私はユゥユゥという名前を授かった。この名前にどんな意味があるのかは知らない。単に呼びやすいからって理由だけかもしれない。でも私にとっては大切なものだ。
孤児院では...そりゃあもぉってぐらい可愛がられてたなあ。孤児院の人たちは私という存在を見て愛してくれていた。私も孤児院のみんなのことは大好き...なんだけどなぜか私の心は満たされていなかった。そのころかな私の望みが生まれたのは。
私の望みは理想の天子様を見つける、私ただ一人に愛を与えてくれる...そんな存在を見つけること。簡単に言ったらこんな感じ。これ以上天子様について語るのは長くなるからまた今度かな。

私がしゃべって歩けることが出来るようになったくらいにあることが私に言い渡された。
それは私はサラマンダーのピュアブリードではなくサラマンダーと何かのクロスブリードであるということだ。
その時は困惑したなぁ...だって私が使うことが出来たのはサラマンダーの炎の能力だけだったから、自分のことはピュアブリードだと思ってた。それが私はクロスブリードだっていうんだから驚いたね。
実は、私が保護されたときに行われた検査で分かってたらしい。私が理解できるようになったから教えられたって感じかな。

その日から私の二つ目の能力を発現するための特訓が始まった。いや、特訓なんてものじゃないな。あれは実験だ。私という実験体を用いたレネゲイドウイルスの実験というべきなものだ。それまでの私は孤児院という温かいものしか知らない温室育ちのお嬢様だったってことかな。
UGNの暗い部分をその時に知った。というか意志の判断がうまく取れない幼少の人間にしていいものではない。まずは発現のため訓練だとか言ってぼこぼこにされた。今考えると理解できないよ。確かに私は燃えるけどそれは体育会系の熱血のことじゃない。負荷を与えることで力を引き出すとかなんとか...本当におかしい。
さらに脳が発達していないからではないかといわれ勉強させられた。当時の私は幼稚園児ほどの年齢だったんだけどな...。わけのわからない問題を出された。解けるまで食事抜きだともいわれたな。立派な虐待じゃないか。
極めつけはコレ...新たにレネゲイドウイルスを注入して反発作用でシンドロームを発現させるとかいうやつ。これを考えた奴は灰にしてやりたい。あの時は本当に死んだかと思った。確かに反発作用は起こった。でもそれは今あるサラマンダーの能力だ。自分から出る炎に焼かれるところだった。それくらい死の淵をさまよったけど結局発現することは無かった。

まあこんな感じでいろいろなことをされたんだけど...そんな特訓を騙った実験はある日終わりを告げた。大事っぽく言ってるけどなんてことは無い、私のもう一つの力...バロールの能力が使えるようになった。
「....」
はぁ...確かにあの日、私は貴方の干渉でバロールの能力が使えるようになった。それもサラマンダーの能力とそん色ないぐらいの力で。
あの日、私はとてもイライラしていた。今まで特訓だのなんだの言われて行われていた実験に対する怒りがレネゲイドウイルスを直接注射するとかいう頭のおかしい非人道的行為によって限界に達したって感じかな。
実験が始まってすぐのころは私も幼かった。だからあの扱いは普通だと思っていた。それしか私は知らなかったから。まあ、少し経ったら気づいたんだけどね、明らかに普通じゃなくて異常だったってことは。
そんな怒りを抱えたまま正常な判断はできないよね。その怒りは爆発した。始まりは手に持っていた本からかな。気づいたら手の中の本は燃えていた。いつの間にか私は荒れ狂う火の海の中にいた。自分の炎に気づかないなんて相当追い詰められてたなぁ...。
この火の中で私が最初に思ったのはここが孤児院じゃなくてよかったってことかな。その時は実験施設にいたから。あと、私が炎で燃えないから私以外のここにあるものは全部燃えて無くならないかなぁ...なんてのも考えたかな、流石に無理だったけど。UGNの施設なだけあるね。私の暴走は計算内だったのかな?
そんなことを考えながら私は燃えていたんだけど、私の意識はだんだんと暗くなっていった。それが酸欠か、エネルギー切れか、はたまた燃えることをやめない私を止めるために研究所側が使った毒ガスだったのかはわからないけどそこで私の意識は途絶えた。
暗い意識の海の中を漂う私の体、言葉にするとそんな感じだったけど夢を見ているような状態だった私は意識の中で星を見た。その時は何も考えずにその星をつかみに行ったけど、今思い返すとあれは空に光る火炎恒星、そこにつながる門だったのかな...。
星を掴んだ瞬間私の意識は覚醒した。私は懲罰部屋...まあ、簡単に言うと牢屋かな。そこのベットの上で拘束されていた。まあ、暴走して周りを燃やしたわけだし当然か...。炎も出し切ったといっていいくらい出したから出せる気しないしなぁ、とかなんとか思ってたらいきなり頭の中に知らない声が聞こえた。
「....」
そうだよ、貴方が初めて私に呼び掛けたんだよ、巫女の試練は合格だ、これで汝が我の信徒として力を使うことを許可する。とかなんとか好き勝手言い出してね。まあ、普通に意味が分からない。でもそこで気づいた。こいつが私の力を制限したせいで私は不必要な実験まがいの虐待を受ける羽目になったんだなって。思わず怒っちゃったよ、髪の毛が逆立つぐらい。怒髪天てやつだね。そして、私の髪の毛は実際に逆立った。あれっ?て感じ。気づいた時には怒りは喜びに代わってたね。やっと使えるようになった私の力はバロール、重力を操る宇宙の力。この力を自在に操れるようになっていた。

そんなこんなでやっと私は普通のクロスブリードのオーヴァードになった。暴走を起こしたことで数週間の懲罰期間があったけどその間に私の力が覚醒したことで実験は終了した。いや、終了というよりは自分たちの行いで覚醒させられなかったから凍結に近いかな。ざまあないね。
「....」
力を解放してあげたことに対する信仰の献上ねえ...。絶対にないってさっき言ったよね?確かに私の扱えるバロールの力は私自身に危害を加えるような力だった。未来の巫女が死なないように扱えることが出来るようになるまで封印していたっていうのが貴方の言い分らしいけど。私からするとね、貴方が勝手に封印した私の力をあなたが使えるようにしただけ。それで信仰しろなんて盛大なマッチポンプじゃない?それに私が信仰を捧げない最大の理由は貴方が私の望みに干渉してきたからだよ。貴方は私の天子様じゃない。そこは絶対だ。勝手に出てきて私に干渉してきただけのやつが私の天子様になれると思うなよ。
「....」
何?最初から目を付けていたって?どういうこと...?
「....」
はぁ...教えるにはまだ早いって何なの...。まぁ、わからないことを考えてもどうしようもないか。

コホン...まあ話の続きをするけどここから話すことはそう長くはないかな。懲罰期間が終了した後は私は正式にUGNチルドレンとしての訓練と実戦を行うこととなった....なったんだけど正直に言うとUGNチルドレンの訓練は相当ぬるい。それと同時に実感した、あぁ...私がいたあの研究施設で行われていたことって本当に異常なことだったんだなって。そのおかげで訓練も実戦も余裕だったって感じかな。そこだけはあの研究所の奴らに感謝だね。
それで私は勉学のためと支部での活動のためにこの町で一人暮らしをしている。まあ、勉学に関しては研究施設にいたときに詰め込まれた内容で分かるぐらいのことだからほとんど支部での活動のための異動だった。でも、学校生活っていうのは楽しいね。私にとっては未知のものだったし、そこでの関りで友達もできた。それに趣味もできた。学校の授業で初めて使ったんだけど琵琶っていいね。音もいいしなんだか持ってるとしっくりくる。
っと、まあこんなもので私の過去の話は終わりかな。明日も学校があるし今日は寝るとするかね...。

寝る前の微かなひと時彼女は思考する。
最初から目を付けていた...か、私ってなんで孤児なんだろ...?私にも親っていたんだよね...?
その疑問に答える者はいない。真実を知るものは彼女をいたずらに傷つけるようなことはしない。たとえ、それが神であっても今伝えることで起こる障害は計り知れないものだろう。そんなパンドラの箱を抱えたまま彼女の日常を過ごしていく。それが異常だと気付かないまま...。



~炎の巫女の怠惰な日常『巫女と絵描き』~

 昼過ぎ、今日最後の授業、ユゥユゥは己の睡魔と戦いながら授業を受けていた。
「....ね...眠い...。」
 もう日常となった高校生活、今は古文の授業だ。日本で過去に使用されていた言語の学習...本音を言ってしまえば古文なんて私の今後のオーヴァード人生でほとんど使わない。
だけど、学生っていうのは勉強しなきゃいけない。それに、テストのためには勉強は大事。まあ、私は他の人よりちょっと蓄えがあるから楽なんだけどね、ふっふっふ...。
それはともかく、いくら蓄えがあったとしても眠くなるものは眠くなる。まあ、今日の内容はそう難しいこのじゃないようだしちょっとだけなら寝てもいいよね...?
「ユゥユゥさん、堂々と寝ないように。」
うう...バレてるししっかり怒られた...。しかも、なんだか周りから温かい目で見られてるような...?
「はーい、すみませーん...。」
...やっぱり授業はしっかりと受けないとね。でもなんでかなー?古文の授業だけは眠くなる...は!?もしや...先生は眠くなる成分を放つソラリスのオーヴァード!?
...そんなわけないか。流石に私も伊達にUGNチルドレンやってきてないからね。毒の耐性ぐらいは多少ある。それでも眠くなるぐらいの毒使いなら一目オーヴァードって分かるし。...もしや、魔術師?...あり得る、古文って魔術言語みたいなところあるしなぁ...。そう考えると、古文に興味出てきたな...?

キーンコーンカーンコーン....

あ、授業の時間終わりか...せっかく興味出てきたのに...。
ま、いっか、今日の授業はこれで終わり!放課後は...任務ぅ...ああ、忙しい忙しい、これも人気者の(さが)ってって奴なのかな...簡単な調査任務らしいけどね...。町の郊外にある廃墟から夜な夜な叫び声がする、他の町から来た怪奇が住み着いてる、なんてんて信じられないような依頼。こんなベタな都市伝説みたいなこと本当にあるんだなーってものだけどこうゆう事件性がありそうなものって警察の領分じゃないのかな?ま、対応できないからUGN(わたしたち)に来たのだろうけど。私みたいな下っ端は下っ端らしくおとなしく任務に就いてますかね...。
「ユゥユゥ、もう放課後ですよ!早く帰りましょう!」
おやおや、学友の言葉が聞こえてくる...考え事の間にいつの間にかこんな時間に...。
「一緒に帰るよ~、置いてかないで~。」
さてさて、学校はおうちに帰るまで、任務の話はそこそこにして学友との時間を満喫しますか!

 まだ夜が深まる前、午後八時頃...ユゥユゥは調査現場である廃墟へとやってきていた。 
はーい、やってきましたー調査任務ー!うーん、家からここまでバスで1時間...もうちょっと早く来たほうがよかったかな?ま、すぐに終わらせればいいだけだし、いっか。表の顔は高校生、裏の顔は平和を守るエージェント!っと、聞こえはいいけど私はただのUGNチルドレン、下っ端だからね、謙虚に謙虚にっと。
今日の仕事場はこの廃墟...昔は病院だったって話、うーん雰囲気はあるけど外見は普通の廃墟ってところかな...。まあ、行ってみますかね~。

おっじゃましまーす...へぇ...これは流石にUGN(うち)に回ってきた案件だってことはあるね...見た目だけは普通の廃墟かなって感じなんだけど流石に誤魔化しきれないほど血の匂い...ていうか気配がすごい染みついてるのかな?これは怪奇って言われるより殺人鬼が住み着いてるって言われたほうが信じられるぐらいかな。それにここに入ってから体が冷える...ような...?雰囲気だけは怖そうな場所だしホントに何か住み着いてるのかも...?はぁ...憂鬱だよ...調査任務だからな...最深部まで調査しないとだからな...ああ、下っ端にも人権を...。
なんて、冗談もほどほどに、上の判断も正しかったってことかな。他の人じゃなくて私にこの案件を回してきたってことは戦闘(そういうこと)があるかもってことなんだろうなー。
さて、気を引き締めていかないと...まずは明かりの確保からっと...。
「明かりを灯せ、妖星:狐火(ようせい:きつねび)。」
私の体の周りを廻る妖星、サラマンダーの炎とバロールの重力操作で作る簡単な明かりだけど、熱は普通の炎程度のもの。その代わりに消費もなくて使いやすいし、いろいろと応用がきくから便利なんだよね~。

明かりの準備が出来たことだし先に進んでいきますか~。もともと病院だっただけあってかなり広いからサクサク行かないと明日の授業に響いちゃうからね、でも一階から虱潰しってわけにはいかないし...ってことで一番血の気配が濃いところは...うーん、二階のほうかな?多分。二階を目指すついてに軽ーく一階も見ていこうかな。

うへぇ...そこらじゅう血が乾いた後ばっかりだなぁ...何がいるのかなぁここには?新手のジャームでも住み着いたのかな?でも、血の跡がある割には死体がない...まさか、人間を食べるジャームなんて...あり得る...ジャームってなんでもやりそうだしなー。
ん?なんだこれ、この血痕だけ記号?いや、絵?みたいに見えるなこれ...。しかも、かなり細かい...。こんなの死ぬ前の微かな時間に描けるようなものじゃないな、これは心得のある人間が描くような精工なもの...一体ここには何がいるっていうの?...先に進もうかな...。

ここが二階への階段...ここに来るまでにある程度の確認はしてきたけど、あるのは血痕と血で書かれた絵ばかり...しかも上手いし...ホント、何が住み着いているのかな?
さってと、よし!気合を入れていきますか!えいえいおー...一人でこんなことするの悲しくなってくる...。
うーん、上に進むにつれてどんどん気配が濃くなってきてるな、やっぱり親玉はここに...ってナニコレ!?さっきまでとは比にならないぐらいの量の血痕...それに所々に人の死体が...ううーん、やっぱりここで帰るべきかな?でも、ここまで来たら最後まで見てかないとなぁ...一応、調査任務だしなぁ...。
とりあえず死体の確認をっと...これ、血で分かりずらかったけどFH(ファルスハーツ)の戦闘服?うん、間違いない、じゃあこいつらFHの人間ってことかな?じゃあこの奥にはこいつらが追っているジャームがいるってことだ。それならなお気を引き締めていかないとね。
「おーい、お客さん?死体にあんま手ぇ出さないほうがいいゼ、そいつら何隠し持ってるか分かんねぇからサ。」
......バレてる、入ってきたことがバレてる...しっかり注意されたし...あれっ?人間?しかも、女の子っぽい声だったし...あそこの部屋からだったよね...よし、女は度胸!行ってみるしかない!
「お、おじゃましまー....」
私の声はそこで止まった。女の子の声がした部屋の中にはまるで死体安置所とばかりの死体の山!見る限りは外で見た死体と同じFHの戦闘服を着てるみたいだし多分FHの人間かな?それでもこの数の死体はおかしい、ぱっと見で10人以上の死体があるみたいだけど...。
そんな異様な空間の中でもひときわ目立つのは、死体の山の真ん中で座布団に足を崩してポツンと座る着物姿の女の子。見た目は私と同じくらいの年齢かそれよりちょっと上...だと思うけど...なんだか雰囲気が異様というか不思議というか...うーん、言葉では言い表せない...けど...私と似てる...ような...?

「おや?どうした?そんなとこで惚けちまってサ、死体なんて見慣れてるもんだと思ってたけどナ。」
間違いない、さっきの声と同じ...しかも今の発言、ここにある死体や外の死体は全部この人が...?
「ねえ、貴方、だれ...ですか...?」
まずは情報収集から、一応それが任務だからね。
「おいおい、自己紹介は言い出しっぺ、聞くからにゃ先に名乗るのが礼儀じゃねぇカ?」
正論で返された...まあそれは確かにだけど...。
「それは...ごめんなさい...では、改めて、UGNチルドレンのユゥユゥ...です、一応、調査任務で来ました。」
「うんうん、素直でいいってもんサ、ってことで俺も自己紹介をと、俺はお栄、しがない絵描きサ。」
お栄...聞いたことがない名前...しかもしがない絵描きって...怪しい...なんか...すごく怪しい...。
「...う、なんだいその顔、疑ってんのカ?まぁ、そうだよなぁ...はたから見りゃあただの小娘サ...俺はヨぉ...。」
なんか、すごい落ち込んでる...申し訳ないことをしちゃったのかな...。
「なんか、ごめん...あ、いや、ごめんなさい...。」
「いや、いい、俺なんかに敬語なんて使わなくても、俺もあんたも同じくらいの歳だろ、それよりずっと立たせっぱなしで悪かったナ、今はここも俺の仕事場だ、出せるものは特にねぇが、まあ、座ってくれヨ、調査任務だろ?俺もやることなかったしナ。」
え...今...何もない場所から...座布団が生まれてきた...?いや、違う、描き出した...ってコト?ってことはやっぱりオーヴァード?
「それじゃあ、お言葉に甘えて...よいしょっと。」
まあ、話が出来るみたいだし、いろいろ聞いてみようかな...。
「ここにある死体って全部お栄さんがやったの?」
「ああ、ここにいる奴らは全部俺が殺ったゼ?こいつらは分類でいったら普通の人間...ま、FHの実戦部隊サ...勝手に暴走した奴等だが...それを始末するってのが俺の仕事ってわけサ。」
「ねえ、お栄さん...ホントに何者...?ただの絵描きってわけじゃないよね...?ただの絵描きだったらこんな死体の山の中で平然とできるわけないし...。」
一番聞きたいことを聞いてみる...けど、答えてくれるのかな?
「確かにな、それもそうだネェ...うん、こんな奴が普通なわけがねえ...なあユゥユゥ、俺、UGNとFHどっちだと思う?」
質問で返されたけど...そうだなぁ...、
「うーん、UGNなのかな...まともに喋れてるし...それに、FHの戦闘員と戦ってたみたいだし...。」
「いい考察だ、でも、不正解だナ、立場的で行ったら俺はFH...ってユゥユゥ...?俺は、お前と殺り合いたいわけじゃねぇヨ...だから、その殺気引っ込めて欲しいけどネェ...。」
そんなに漏れてたのか...しかも気づかれるぐらい...私もまだまだってコトかな、でも、FHって言ってるけど同じFHの戦闘員を殺してるみたいだし...。
「お、ちょっとは緩まってくれたかナ?ま、UGNとFHは犬猿の仲...そういう反応も無理はねぇカ。」
「FHっていうのだったら、なんでこんなにFHの戦闘員を殺してるの...仲間じゃないの?仲間殺しなんてまともな人間のやることじゃないよ...。」
「...ま、気になるってんなら話してやるヨ...確かに俺はFH...けどFHの中でもマーセナリー...いわゆる傭兵ってやつサ、言われた仕事は何でもやる...それがFHの中の奴等が同じFHの邪魔な奴らを殺せっていう仕事でもナ...汚れ仕事担当ってコトなのサ俺は。やれることなんでもしねぇと生きられねぇ。そういう世界なんだよFHってのはヨ。それに俺には心に決めてることがあるのサ...まともな人間は仕事以外じゃ殺らねえ...それじゃ屑共と一緒だからサ。」
驚いた...この人の話...なんか筋が通ってる...それに話をしてても不快感を感じない...前に遭ったFHの奴等とは違うような?...信じるのはおかしいんだけどなんだか嫌いになれない...なぁ...。
「そうなんだ、大変なんだ...FHも...じゃあなんでFHなの?UGNでよかったんじゃないの?そんなに辛いなら...。」
「いや、辛いってわけじゃないサ、俺もこの道は長いからナ、いろいろやってりゃ楽しくなるもんってやつサ。それに俺はUGNには入れねえ...いや、入りたくねえ。軽い昔話だが、俺は忌み子...ジャームと人間と間に生まれた子供ってやつだった。そんな奴はすぐに捨てられるか殺されちまう、それでも俺を助けてくれた人がいたんだ。ま、その人は殺されちまったヨ...UGNの屑共にナ...理由は俺っていう忌み子の存在で隠してたからってだけでナ...だから俺はUGNには入りたくねえ...それだけサ。」

そうなんだ...こんなことで生きている人...こんなことだけでしか生きれない...それだけの理由があるってことなんだなぁ...。
「あの時のとと様、血でまみれた姿、美しかったナ...あんなもの...二度と見れない芸術だ...あれを超えるためだったら...俺は神にでも悪魔にでも魂を売っても近づいてやりてェ...とと様の浮世絵は素晴らしい芸術だ...俺はそれに憧れて同じ浮世絵師になろうとした...でも、最も素晴らしいのはとと様自身だった...とと様が死んで変わり果てるまで気づくことが出来なかった俺自身に呆れちまうヨ...。」
「ちょ...ちょっとまって!?なんでそんなにトリップしちゃってるの!?やっぱりおかしいじゃん!?悲しい話だと思って黙って聞いてたけど惚れ気というより信仰ってレベルだよね!?それ!?悲しいんじゃないの!?親代わりの人が殺されたら!?」
うん、我慢できなくなって言ってしまった...やっぱりおかしい...普通の人間の感覚じゃないよ...。
「ああ、おかしい...というかおかしくなった。とと様の変わり果てた姿を見た瞬間、俺はイかれちまったってわけだ。絶望の先に悲しいなんで感じなかった、先にあったのは言葉にできない敗北感とその惨状を美しいと感じることだけだったってことサ。」
......ああ、そう、そうなんだ...自分で自分がおかしいと分かった上でこの人は生きているのか...すごいなぁ...憧れそうだよ...。
「ん?なんだいその目は?見たことない憐れみ...尊敬...?いや、分かんねえヤ。ま、お前が俺をどう見ようが構わないサ。...でも、俺も初めてだヨ。俺の身のうちなんかを他の人に話したのはサ。」
「そうなんだ、お栄さんしゃべり上手だから意外だなぁ...、仲のいい人にはしゃべってそうだったんだけど。」
「いや、俺はこんな生き方してるからサ、ほとんどが仕事の関係ってコトだ、しゃべるような仲の奴なんでいなかったヨ。」
そうか...そうだよね、こんな生き方してたら仲のいい人なんていなかったんだ...じゃあ...
「ねえ、お栄さん、私と...友達になってよ!」
「うぇえ!?なんだい?いきなり...俺は構わなねぇが...ユゥユゥ、お前はいいのか?俺は曲がりなりにもFH、お前はUGNだろ?」
確かにFHとUGNは敵同士...でも...それでも...
「そんなの関係ないよ、だって私はお栄さん...いや...お栄のことが気に入っちゃったから!」
「ぷ...あはっはは!じゃあ関係ねぇな!俺もお前のことが気に入ったゼ、ユゥユゥ。お前は俺の初めての友達ってことだナ!」
初めて...お栄の初めてって...なんか...いいね...。
「えへへ...お栄の初めて...私が貰っちゃったってことだね...。」
「おいおい?本性見えてるゼ?ま、そんくらいのほうがいい。俺もここまで呼んだ甲斐があったってもんだゼ。」
「...え、お栄...呼んだって私を?いつ?どうやって?」
え、もしかしてストーカーか何かかな?お栄...恐ろしい子...。
「ん?気づかなかったか?この廃墟、普通の人間が入ってこれないように薄ーくワーディングを張ってるのサ。それでも入ってくる奴はオーヴァードって相場が決まってる。普通の奴ならそこで帰るように入り口に強めの血の気配を残してビビらせるようにしといた。まともな奴ならそこで帰る...けど、それでも入ってこようとする奴がいた!入ってくる奴なんでどっかがイかれてるに決まってる。一目拝んどいてやろうと来やすいようにわかりやすく2階に来れるように気配を垂れ流してたのサ、それでやってきたのがユゥユゥ、お前サ。驚いたゼ、いかれた蛮族みてぇなのが来ると思ってたら可愛らしい少女が来た!そんなの気になるってもんサ。ま、見た目に関しちゃ俺も人のこと言えないがねェ。」
か...可愛らしいって...私が?う...うへへ...それに、あの気配も私を呼ぶために垂れ流してたんだ...
「って、あのドロッとした血の気配...私を呼ぶためだったの!?普通の人は逃げ出すくらいのものだったけどなぁ...。」
「おや、それはすまんねェ...こんなところにくる奴なんてイかれた奴ばっかだからサ、まさかまだイかれてない奴が来るとは思わねえよなナ?」
「まだって...私はただの可愛い高校生だよ?おかしくなることなんて人生であるわけ...あるわけが...。」
「ん?心当たりがありそうなありそうな歯切れだねェ...ま、UGNにいるぐらいだ、それだけのことがあったんだろ...話ぐらいは聞いてやるゼ?なんだっておれらは友達だからサ。」
友達...友達...かぁ...うん、それならじゃあ...話してみようかな...?
「お栄も昔の話してくれたからね...私の昔話も聞いてくれる...?」
「いいぜ、話してくれヨ。話すのも好きだが、話を聞くのも好きだからサ。」

「ありがと...それじゃあ、私の昔話をするね...。私、孤児だったんだよね...火災から見つかった孤児...私、生まれたときからサラマンダーのオーヴァードだったからさ、たぶん私だけ生きて見つかったんだと思う。それで私はUGNの孤児院に保護された。」
「ん?サラマンダーとバロールじゃなかったのカ?その浮かんでる炎、サラマンダーの能力だけじゃ出来ないよナ?」
「うん、でも、私はサラマンダー...サラマンダーの能力しか使えないクロスブリードだった...そんな珍しい個体、UGNが見逃すはずはずがない...私が2歳とか3歳とか普通の人間だったら幼稚園に通ってるくらいのとき実験が始まった...私には特訓だとかなんとか言ってたけど普通子供に虐待まがいの特訓なんてするはずないよね?毎日...毎日毎日毎日殺されかけたんだよ!何もわからない子供をUGN(自分たち)の所有物ってだけで...ホント、思い出すだけでイライラするぅ...。」
「それは...災難な人生だねェ...そんな過去でなんでイかれてないんだか...ホントにサ。」
「それもそうだね...ま、なんでなのかは私にもわからないけど...でも、あの時の私はイかれてたかも...あの時はいろいろやられすぎて...その...怒りが爆発した。今では恥ずかしいくらいに暴走してたなぁ...うん、その時に全部吹っ飛んだのかもね。全部燃やしてやるってくらい周りを焼いて...気が付いたら地下牢に拘束されていた...その時には正気に戻ってたからね、どーしよーかなーとか考えてたんだけど...信じられないかもしれないけど...いきなり炎の神様が私の中に話しかけてきた...はぁ...あいつ、今考えても怒りそうだよ。私の力の封印を解いたとか言い出したからね、ま、そのおかげでバロールの力を使えるようになったんだけど...。」

「へぇ...それでやっと力が使えるようになったのかい...しかも、炎の神サマねェ...お前も難儀な運命してるねェ。」
「ホントに...あいつ...気を抜いたら交信してこようとするし...今も...あれ?いつも頭の中にある異物感を感じないような...?なんでなのかな...?」
おかしい...いつもはうるさいあいつの声がしない...?
「恥ずかしがりってコトか、炎の神サマも知らん奴の前でしゃべりたくないってことかねェ...ん、どうしたユゥユゥ?なんか顔が青い...いや、真っ青だゼ?」
「...いや、なんか声がしないだけなんだけど...それに気づいたら...なんか...喪失感...ていうのかな...なんか...体が内側に消えるみたいな感覚がして...。」
なんなんだろ...この感覚...?
「...あー、あれだ...ワーディング切るゼ?そうしたら炎の神サマがユゥユゥに干渉できるようになるけど、いいカ?」
「待って...別にあいつが好きなわけじゃない...ちょっと体調が悪いだけだから...。」
「いや、そのままじゃ死ぬゼ...目の前で友達に死なれるのは堪えるからナ...ま、声が聞こえるようになったら神サマに教えてもらいナ...じゃ、切らせてもらうヨ。」
......え?このままじゃ死ぬ...?ど、どうゆうこと?

目の前のお栄が立ち上がりどこからか体よりも長いほどの筆を取り出す...その筆を宙にふるうと薄い気配のように感じられていたお栄のワーディングが消えた...そうすると、体の中にまた熱がこもったような感覚に襲われた...。
「あれ...あったかい...?...なんか...安心する?」
「...やっぱりカ...おーい、炎の神サマとかいうやつ?大事なことはちゃんと伝えておくべきじゃないのかねェ?」
『...』
...む...はぁ、声が聞こえるようになった...生きてるか?って貴方は私の保護者か何かなのかな?なんかお栄からこのままじゃ死ぬって言われてたけどどういうこと?
『...』
それは最初に聞いた...私のバロールの力は私に危害を与える力、でもそれは力を使いすぎたらの話なんじゃないの?
『...』
え...私のバロールの力は厳密にはバロールじゃなくてそれに似た外宇宙の力って何の話をしてるの?
『...』
私の体の中には普通の人間では発現しないはずの炎の巫女の象徴である小さな恒星がある...それの制御をしないと内側の星の重力に体の炎がもっていかれる...それの制御は人間にはできないから貴方が制御していた...でもそのための干渉がお栄のワーディングでかき消されていた...ふーん、そうなんだ...理解したよ...はぁ、最初っからあなたに助けられていたってことなのか...でも、それじゃ疑問が残るよ?一応神様なんでしょ貴方、なんでお栄のワーディングで干渉が途切れてるの?前の話になるんだけどさ...ワーディング下での戦闘でも私に話しかけてきてたよね?
『...』
お栄は水の神の眷属であり水の巫女...水の巫女の力で干渉が途切れていた...え!?お栄が水の巫女!?そ、そうなの!?
「へぇ...俺が神サマの眷属で水の巫女ねェ...そんな実感は無ぇんだがねェ。」
「え!?声、聞こえてるの!?」
「ん?そうだゼ?炎の神サマの配慮のおかげでサ、ま、俺にはしゃべり相手の神サマなんでいないからサ、珍しい経験だヨ。」
「そうなんだ...なんかお栄にこうゆう奴がいたらすごいしゃべってそうだよね。」
「アッハッハ、そうだナ、俺に神サマの交信なんてあったら神サマを疲れさせちまうゼ。」
『...』
「これで私に関することでしゃべってないことは無い...か...そうだね...ありがと...曲がりなりにも私の命を守ってくれていて...でも!絶対に信仰はしないからね!」
『...』
「いいねェ...ユゥユゥ、気に入られてるみたいじゃねえカ、神サマとの繋がりなんで普通の奴が持てるようなものじゃないゼ?」
「うぅぅ...お栄ぃぃ...茶化さないでよおぉぉ...。」
「いいじゃねぇカ、出会いは最悪みたいだが信用できるってんならいいことだと思うゼ?」
「う...ま、まあ信用はしてるけど...はぁ、なんか納得いかないなぁ...。」

はぁ...なんか疲れた...ただの調査任務だったはずだったのに...私の体のことまで知ることになるなんて...明日も学校があるのに......ん?明日も学校...あ...
「ああああああああ!」
「ど、どうしたユゥユゥ?いきなりおかしくなっちまったカ?」
「ね、ねえお栄!今何時か分かる!?」
「お、おい、いきなりつかみかかってくるなヨ...でも時間カ?そうだなぁ...1時過ぎ...だナ...。」
お栄が懐から取り出した携帯端末で確認している...。
「い、1時過ぎ!?ここから家までバスで1時間もかかるのに...しかも、この時間バス通ってないし...終わったぁ...。」
ここから歩いて帰らないといけないなんで明日の学校寝ないで出ろなんて言われてるようなものだよ...とほほ...。
「なんだ...びっくりさせやがって...バロールなんだろ?じゃああれがあるじゃねえカ。空間をつなぐ穴をあけるってやつ?...もしかして...出来ないのカ?」
「私にそんな器用なまねはできないよ~...出来るのはちょっと浮いて空を飛ぶぐらいだよ~...。」
うう...お栄の言葉が私に追い打ちをかけてくるよぉ......。
「ちょっと浮く...空を飛ぶ...ねェ...なあ、ユゥユゥの家ってどこにあるんだい?」
「...え?私の家の場所...知りたいの?私の家は...ここのマンションだよ。」
私も携帯端末を取り出してお栄に家の場所を伝える...
「へぇ...ここか...ここなら俺が送ってやろうカ?」
「いいの!?ていうか出来るの!?」
「ああ、俺ならいけるゼ...ただし条件がある。」
じょ...条件...一体どんな無理難題が...
「俺と...俺と連絡先交換してくれっ...ダメか...?」
「......え?条件ってそれだけ?」
「あ、ああ、これだけサ...な、なんだダメなのか?...ダメなら送ってやらねぇぞっ。」
「それでいいなら大歓迎だよっ!私もお栄の連絡先欲しいし!それに...恥ずかしがってるお栄可愛いし!」
「あ、ありがと...って茶化すなよぉ...俺は友達なんて今までいなかったんだヨ...どう接すればいいか分かんねぇのサ...。」
「うんうん、それじゃさっそく交換しよ!」
お栄都の連絡先を交換したけど...
「友達との連絡先...初めての経験だなぁ...。」
そう言いながら...電話帳を眺めてる...なんか...可愛い...年相応ってより年下に見える...。
「よしっ...報酬をもらったことだし、俺も気合を入れていくゼ...ユゥユゥちょっと廊下側のほうまで下がってな...。」
「はーい、下がったよー...私を送るって言ってたけどどうやってやるの?」
「まあ見てな...俺の浮世絵を見せてやるヨ。」
浮世絵ってこの部屋とか来るまでに書いてあった絵のことかな?あれでどうやって...ってええ!?窓側の壁がなくなった!?
「ああ、この壁は俺が描いた絵だったからナ、今回は全力で行かせてもらうから消しただけサ...ほら、座布団も消えてるだろ?あれも俺が描いた絵サ。」
そうなんだ...思ってたよりすごい...次は空中に絵を描きだした...これは鳥の絵?...あれ?絵って空中に描けるものだったっけかな?しかも、早いし尚且つ上手い...プロの腕前だ...。
「はっ!これで完成、肉筆画帖:八咫烏(にくひつがじょう:やたがらす)!空を飛んでいくにはピッタリの絵サ!」
ええええ!描いた絵が動き出したぁ!?
「すごい...すごいよお栄!やっぱり天才だったんだ...!」
「いや、俺は天才じゃなくてただの努力家サ...それよりも早くいくゼ。ここからユゥユゥのマンションまで最高速で10分くらいだがこれだけの絵だ、早くいかねぇと(インク)が切れちまうヨ...。」
は!見とれてる場合じゃなかった...早く帰らないと...明日の学校に遅れちゃう!
「すぐ行くよー!やったー!こんなに大きな鳥の背中に乗るなんて初めて!」
「それじゃ、しっかり俺につかまってナ、飛ばしてくからヨ、行くゼ、八咫烏!」
お栄の掛け声とともにお栄と私を乗せた八咫烏はどんどんと地上を離れ空を飛んでいく...。
「きゃー、きもちいー!空をこんなに早く飛んでいくのってこんなに気持ちいいんだ...ありがとう、お栄!」
「べ、別にお礼を言われるほどのことでもねぇヨ...報酬はもらってるし....それに、と、友達のためだから...サ...。」
「普通に喋ってる時のお栄ってかっこいい!って感じなんだけど恥ずかしがってる時のお栄って可愛いなぁ...て感じだよね...ホント、可愛い!」
「お、おう、そんなに可愛い可愛いって...ゆうなよぉ...可愛いなんて言われたことなかったからサ...あんま慣れてねぇのサ...。」
背中を向けているけど...恥ずかしそうにしながら顔を赤くしているのか想像できる...やっぱり可愛い...。
「そこも含めて、お栄の魅力だと思うけどなぁ...かっこよくて可愛いなんて最高じゃないかな!?」
「そんなに言うなら...ユゥユゥのびっくりしたり考え事をしたり...一つ一つのことが全部表情に出てるのも...か...可愛い...と思う...ゼ?」
「ありがとー!そうやって恥ずかしそうにしながら褒めてくれるのも可愛いよー!」
「あ...おい!急に抱き着いてくるなヨ...バランスを崩したら一発でお陀仏だゼ?」
「ご、ごめん...なんかお栄って普通に喋ってる分には大人っぽいんだけど...照れてると子供っぽくなって可愛いから...つい...。」
「はぁ...そんなに子供っぽく見えるのかねェ...でも見た目に関しちゃあそうかもしれんガ...これでも20なんだよなぁ俺...。」
「20歳!?...私16歳なんだけど..,年上だとは思ってたけどもう成人してたんだ...意外...。」
「そうは見えないってカ?ま、いいサ...俺...この歳になるまで友達...いなかったのカ...なんか...虚しくなるゼ...。」
「へ、凹まないでよぉ...ほら!今は私がいるでしょ!お栄の"初めて"の友達!」
「そんなに初めてを強調しないでくれよぉ...お...そろそろじゃねえカ?この辺だろユゥユゥの家ってヨ?」
「うーん、空から見る景色はまた違うなぁ...あ、あそこのマンション、あそこが私の家だよ!」
「おう、あそこか...あそこなら...近くにある公園に降りるゼ。」
お栄と私を乗せた八咫烏が降下していく...
「到着っと...どうだった?空の旅ってやつは?」
「うん、楽しかった!また一緒に飛ぼうね!」
「そうだナ...今日はここでお別れだが...何か用があるんだったらいつでも呼んでくれヨ...なんだって俺たちは...と...友達だからサ...。」
「うん!そうだね!私たち友達だからね!また会おうね、お栄!」
「ああ、またナ、ユゥユゥ。」

今日の出来事はここで終わり、一つの調査任務からつながった炎の巫女と水の巫女。炎の巫女は胸に星を抱えている不安定な存在、水の巫女はバラバラに壊れた心がなぜか形を保っただけの不思議な存在、彼女たちはもう日常に帰ることの出来ない非日常の住人だけどその中でも幸せになれるのかな?それはまた次の物語......。



~炎の巫女の怠惰な日常『戦闘訓練後、自宅にて思考...』~

「...あー、つっかれたー...。」
模擬戦が終わって一応の検査医療班にお世話になった後...私は帰宅後すぐに自宅のベットに倒れこんでいた...。
模擬戦闘...という名目で連れてこられた廃墟...最初は私と初名ちゃんと支部長さんとの模擬戦...ま、ほとんど私たちが攻撃しただけだったんだけどね...私たちの攻撃...あんまり効いてなかったなぁー...うーん、援護してくれてた初名ちゃんの攻撃はともかく私の炎は結構頑張ったと思ってたんだけどなー...。黒焦げてサムズアップとか...やっぱり支部長さんはびっくり人間...?いや、人間かどうかも怪しいというか...ギャグ体質っぽい?かな?

私たちの攻撃を受けきった後すぐにエミールさんとの模擬戦になってたけど、うん、二人とも強かったなー...。エミールさんが支部長さんの逆鱗?地雷?に触れちゃって、本気の殺し合いになるのかなー、とか思ったけどなんか...最後には二人とも仲良くなってたな。それにしても...二人の戦い...うーん、あれは私にはできないかなー...エミールさんのスナイパーライフル2本によるクイックショット...スナイパーライフルってあんな使い方するものじゃないと思うけど...。発射された弾は支部長さんの頭の横を通るように飛んで行った、ただ外したわけじゃなくて何か狙ってそうな顔してたけど...飛んでいこうとした弾を糸で掴んでそのまま跳ね返してた...ホント、カウンターってそういうことじゃないと思うけどなー...。さらにエミールさんは返された弾を銃を利用して弾道をそらして回避していた...。ここまでが一連の流れ...うん、
「支部長さんもエミールさんも人間やめてるなー...いや、エミールさんは人間じゃなかったか...重油飲んでたし...。」
そのあとは、エミールさんが支部長さんにスナイパーライフルでバットと見間違うほどのホームランをかまして決まり手、ホームランされた支部長さんは廃墟の天井に突き刺さって天井で寝てた獅子堂さんにぶつかってた...いつから寝てたのかな?あの人?昼寝邪魔されて怒ってたな...。

支部長さんが消耗したから代わりとして私と初名ちゃんの相手は獅子堂さんになった。獅子堂さんは...昼寝邪魔されて苛立ってたけど相手になってくれた...ナギサさんの命令かただ戦いが好きなだけなのかはわからないけど...。相手として立った獅子堂さんは何というか...強者のオーラ?みたいなのが感じられるぐらいの人...いや獣?かな?最初の一撃...私たちの攻撃は確かに当たるはずの攻撃だった...でもそれは当たらずにいつの間にか後ろに獅子堂さんが立ってた...まるで手品みたいな回避だったけどどうやってやったのかな?うーん、わかんないなー...。
次の攻撃を誘うように獅子堂さんは挑発していた...当たらなかったらモツを抜くってどうゆう脅しかな?...だから、あの時の私が出せる最大火力の"紫微宮・北落師門(しびきゅう・ほうらくしもん)"で攻撃したんだけど...あれはほとんど躱されたようなものかな...当たったといっても掠ったって表現が正しいぐらいだと思ったし、初名ちゃんの攻撃も火力マシマシで撃ってたんだけど躱されてた...いや、躱しきれなくてちょっとは当たってたかな?当たったらモツ抜きは無しだっていう脅しだったよね...?だから、これが最適解...だと...思ったんだけどなぁ...。

あれが獅子堂さんの本気...なのかな?キュマイラの完全獣化...だと...思うけど...うん、きれいなお姉さんって見た目だったのが完全にジャームって感じの見た目に...攻撃当てられて本気で殺しに来てた...。獅子堂さんが本気になった後は...うう...思い出すだけでも...惨敗ってところかなぁ...。獅子堂さんはまるでどちらの獲物から捕食しようかなと思考するライオン...私たちはライオンに狙われたウサギ...ホント、生きた心地がしなかった...。やばいと思った瞬間には獅子堂さんの爪が目の前に迫っていた。気づいた時にはもうガードも躱すこともできない所まで来てたから爪の推進方向に飛ぶ感じで"魔王の玉座"で衝撃緩和してみたけど...うん、ほとんど死にかけ...あれ?今思えば模擬戦って?なにかな?ってレベルのダメージ...強かったなぁ...。廃墟の壁まで吹っ飛ばされてすぐには動き出せないくらい...回復手段がある私じゃなかったらホントにやばかったんじゃなかったのかな?ほかの人たちだと...支部長さんだったら余裕そうなのなんでだろ...私が軟弱なだけ?いや、支部長さんがおかしいだけかな...。

私が吹き飛ばされて何とか回復してる間に決着はついていた。ま、支部長さんとナギサさんが止めに入っただけなんだけどね...。獅子堂さんは...うん、あれで暴走していたふり...あれはガチだったと思うけど...うん...どういう会話が行われたのかは聞こえてなかったけど見た目が獣から女の人に変化してた、雰囲気も元に戻ってたし...谷に落されるライオンの子供になったような気分だったよ...あれが獅子堂さんなりの指導だったってことなのかな。でも...あれくらいの痛手はあんまり味わったことなかったからそうゆう意味ではいい経験になった...のかな?

私がある程度動けるくらい回復が終わってみんなが集まってる場所に行ったら...なんか...お茶会が始まってた...ま、そういうこともあるかな、エミールさんならいろいろ出てきそうだし。エミールさんが私と初名ちゃんにも紅茶をくれた...くれたんだけど...一口飲みこんだ瞬間に油と土が混ざり合ったような紅茶とは言えない味...有り体に言えば重油...新しい紅茶なのかなとか思ったけど...エミールさんの重油確定発言で吹き出した。いくらほかの人からもらったものとはいえ吹き出すのはあれだけど...重油は仕方ないよね?私は重油で動く火力発電機じゃなくて人間だからね...。
その後、ちゃんとした紅茶をエミールさんからもらったけど...初名ちゃんから重油を分解するための分解物質?をもらったんだけど...見た目は黒い塊...。味は...重油よりは不味くないけどそれでも不味い...紅茶と一緒ならギリギリ...うん、私もしかして実験台にされてるのかな?体回復させたばかりの人間にこの仕打ち...ホントに...あ、この紅茶普通に飲んだらおいしい...よかった...良心がある...。でもまだ口の中が油感が...ナギサさんも早く流せって言ってるしこのくらいなら私の炎を口の中に出して...油と一緒にがおー!炎をブレスみたいに吐き出して重油を吐き出す!うん、これで良し...って思ったけど...ナギサさんの口から医療班の言葉が...。まずい...病院はまずい...!注射だけは...注射だけは避けないと...!何とか...こっそり...逃げられないか...なー...うん、一瞬で拘束されたぁ...支部長さんに助けを求めたけど...求める相手を間違えたかな?検査から逃げたい支部長さんと検査させたいナギサさんとのけんかの間に挟まれる私...さっきの獅子堂さんの目の前にいる時よりも恐ろしい場所に来てしまったな...と思ったなぁ。

結局、最後は捕まって検査送り...精密検査...血液検査のためってことで注射もされた...注射はなぁ...昔の苦い経験は頭をよぎるっていうか...ホントに無理!ギリギリで逃げようかなって考えたけど、後ろでナギサさんが見てるからほとんど不可能...勇気を振り絞って食らうしかない...あぁ、天子様...先立つユゥユゥをお許しください...なんて考えてたら...いつの間にか病院のベットの上で寝ていた。ナギサさんから話を聞くとあまりの怯えようにいたたまれなくなったから安全のために麻酔で眠らしてから処理を行ったらしい。気遣いのおかげて検査は無事終了、異常は体の血が減っていて少し貧血気味なだけで重油を飲んだことによる影響は特になかった。これは私が頑丈だったからなのか初名ちゃんの分解酵素のおかげかわからないけど無事だったからよかったとのことらしい。

それから私は病院から家まで戻ってきて今に至ると...あー、今日は疲れたなー。いろいろあったし、貧血気味だしでまだ午後九時
くらいだけどもう眠い...。そうだね、たまにはゆっくり寝る日もあってもいいよね?うーん、寝る子は育つ!私はまだまだ未熟、みんなに追いつけるぐらいに強くなるにはしっかりとした睡眠は重要だからね...ってことで今日はお休みー!...むにゃむにゃ...ぐぅぐぅ...。

『...』
......何?あー、ホント...今寝るところだってわかんないのかなー?今日の模擬戦がどうだったかなんて今まで思考してたでしょ...。ここはさらっと眠らせてくれるのが筋ってものじゃない?
『...』
はぁ...仕方ない...そんなに言うなら軽い私の手ごたえだけくらいなら話してあげるよ...まぁ、今回の模擬戦で感じたのは完全な実力不足...まだまだ私もオーヴァードの中じゃあひよっこってコトみたい...。私が持ってる能力は火力は足りている...と思ってたんだけど支部長さんは食らった上で余裕そうだったし...そもそも獅子堂さんには当たらなかったし...はぁ...ふて寝していいかな?
『...』
ダメって...何?わざわざこんなに呼び止める必要あるの?私は早く寝たいんだけど?今日は疲れてるし...。
『...』
......へぇ...それ面白そう...私の欲望の具現化...妄想の炎かぁ...。ねぇ、もちろん教えてくれるんだよね?わざわざ私に伝えたくらいなんだからさぁ...?
『...』
ふーん、代償有りの能力ね...そんな脅し文句で私が止まると思う?ま、思ってなさそうだけど...レネゲイドの暴走...経験済みだけどそれよりひどいことになるのかー...。
『...』
え?私が楽観的だって?いや、違うよ。私は勝つためだったら自分なんてどうでもいいってわけじゃないけど...その暴走って私の欲望が前面に出るだけでしょ?それなら大丈夫!だって私は今でもこんなに欲望にまみれてるから...ほら、力が欲しいってのも立派な欲望でしょ?
『...』
うーん、ありがとー...へぇ、この力はなかなか...うん!これでもっと...何...?心配してくれてるの?それなら大丈夫だよ?私と貴方は長い付き合いだから私の不利益になる力なんて寄越さないことは分かってる...一応、信用はしてるからねっ...。
『...』
使いどころを見誤るな...か...うん、その忠告は胸に止めとくよ...で、もう寝ていいかな?さすがに...もう...睡魔が...そこまで来てるから...うん、いいよね...それじゃ...おやすみ...大嫌いな炎の神様...。



~炎の巫女の怠惰な日常『どうやら私のココロには恒星(ほし)が宿ってるらしい...え?』~

私の住んでいるマンション...駅前っていう立地のいいマンションで、この辺の建物の中では一番か二番目くらいに高い建造物...ここの最上階...の上の屋根が私の一人だけの特等席。ここから夜空を見ているが何もかも忘れられてる気がして気持ちいいんだよね。屋根の上に人は住んでいない...というか住めない。なら有効活用してくださいって言ってるようなものだよね?
だから、私は夜やることが何もないときは屋上まで登って一人で夜空を見る...。
あ...あれ、秋の四辺形かな?となると...下にはみずかめ座...そして、南の一つ星...うん、アレだ。いつ見ても綺麗だな...見てると落ち着くし...なんだか温かい...。
「...」
はぁ...どうやら今日は相席みたいかな...。
「なに?何の用?見ての通り暇じゃないんだけど?」
星空を見ながら体を休めるという立派な用事があるんだけど?
「...」
は?どう見ても暇そうだったから話しかけただけ...?うん...もしかして、私のこと舐めてるのかな?見るからに忙しいでしょ!
「...」
「はいはい...そうだよ、そうですよ!ただ、屋根で寝転がりながら星空を眺めてるだけだよ...神様は神様らしく他にやることがあるんじゃないのかな?」
私の安息の時間なのに...暇な神様の気まぐれに邪魔されるなんて...どんだけ暇なのかな?私一人にかまってるくらいなんだから仕事なんてないんだろうけど...。
「...」
うふふ...なにそれ?貴方が言うジョークにしては面白いね。」
封印されてるから私を観測することしかやることがないって?封印なんて御伽噺の中のことくらい...私にしゃべりかけるくらいならもっとやることあるでしょ...信者とか眷属とかいるんじゃないの?
「...」
「え...?ホントに封印されてるの?貴方、仮にも神様なんだよね?そんなに危険な神様なの?」
「...」
「確かに...炎の塊なんて危険物だし...でも、それって太陽と同じで誰にも触られないようなものじゃない?」
星みたいに存在してるだけなんだったら、いくら炎の象徴みたいな神様でもなにも封印されるほどじゃないと思うけど...。
「...」
「へー...邪神だから他の神様に嫌われてる...だから封印された...ふっ...あはは!貴方、嫌われてるんだ!私に偉大な態度取りながら他の神様に嫌われてる!ホント...傑作!」
「...」
「いや、舐めてるわけじゃないよ?貴方の意志一つで私は自分の体に殺されるんだし...そうじゃなくて...あはは!ただ単に面白いだけ!神様も自由じゃなさそうだね!」
私に干渉するのが暇つぶし...というか、ホントにやることがそれしかないだけなんで...はぁ...私は神様のおもちゃってことなのかな...。せっかく楽しい気分だったのに...なんだか落ち込んできたな...。
「はぁ...なんで干渉するのが私なの...?人間なんてそこら中にいるし...オーヴァードもそこそこの数いるでしょ?干渉するのに私を選んだのって理由があるの?」
「...」
「私の体に理由がある...確かに、貴方が直々に管理しているナニカが私の体にあるんだものね...。」
「...」
自分の体のことどれだけ理解しているかって...?私が理解している自分の体のことは...
「私は人間とは違うオーヴァードで...炎が出せて重力が少し操れる...でも、見た目は人間と形は変わらない...とかかな?」
あれ?意外と自分の体のことって知らないものだね...。
「...」
「う、うるさいっ!自分の体のことなんてそんなに知る機会無いでしょ!?それに、UGNの検査だと異常なものなんてなかったよ?そんなヤバいものが体の中にあるとは思えないけど。」
UGNのオーヴァード向けの検査で異常無しならその通りの結果だと思うけどね。
「...」
UGNごときの技術力で異界の星が観測できるはずがない...って、
「え...異界の星?私の体にそんなものがあるの?」
「...」
「ある...って言われても...そこまで言ってくれたんだから貴方が知っている私の体のコト...全部教えてくれるよね?」
「...」
「やったぁー!じゃあ質問!異界の星って何?」
「...」
私の体にある異界の星..."恒星"...恒星は私がオーヴァードとなる原因となったもの、私のオーヴァードの力を司る器官、そして火炎恒星へと繋がる門であり鍵...ねぇ。
「へー...だから私は生まれた時からオーヴァードだったんだ...でも貴方が制御してたら私は力を使えなくなるの?」
「...」
恒星の機能は大きく分けて二つ...一つは熱を放出すること...もう一つは重力でエネルギーを吸収すること...私の体は熱には耐えられる作りになっているけど吸収するエネルギーに耐えられるほどのものはない...その重力によるエネルギー吸収の影響をすべて無効化することで制限していた...。
「私が初めから炎は使うことが出来たのはそういうことだったんだ...今は重力の力を使うことが出来ている...貴方が制限をなくしたわけじゃない...よね?今も制御をしているみたいだし。」
「...」
私が幼いころ...実験の影響で暴走したときに炎を発散したことで私のエネルギー容量が大幅に増加したからある程度のエネルギーを賄うことが可能になったからその時点で生命に影響がない範囲でエネルギー吸収を分割している...。
「そうだったんだー...それであの時から重力操作が出来るようになったんだ...。」
「...」
「これが恒星についてのことと今の状態ねー...ねぇ...貴方が制御止めたらどうなるの?ちょっと試してみてくれない?」
「...」
「そんなに心配すること?大丈夫だって...たぶん。」
「...」
「いつでもいいよ、覚悟はできてるから。」
数秒後...体から体温が抜けてあたりが寒く感じる...そのような感覚に襲われた...。
「寒い...いくら夜だからってこんなに寒くはならないはず...それにこの感覚...初めてお栄と会った日...廃墟に入っていた時に感じた寒さと同じ...?」
「...」
「やっぱりそうなんだ...今は耐えてられるけど...うん、あんまりいい感覚じゃないね...。」
寒いというより体温が抜け落ちていくような感覚...私が全部消えていくような気がして...なんか、苦手...。
「...」
苦手というより拒否反応みたいなものね...それもそうかも...実際、私の熱が吸われてるわけだし...でも、私の体の一部なのに拒否反応が出るのもどうかと思うけどね。
「うぅぅ...そろそろ大丈夫かな...制御戻してくれる?」
意識すると嫌というほど伝わってくるこの寒気...うん、体に染みついた感じがする...けど、そろそろしんどいかな...。
「...」
制御が再開されると体の芯から温められるような...再び炎が燃え上がるような...そんな感覚がした...。
「あ...あったかい...うん、やっぱり温かいほうがいいね...ありがと、さっきの寒気は忘れないようにしておくね。」
といってもそうそう忘れられそうにない感覚だったけどね...。
「...」
「はーい、分ってるよ...私も自分の体に殺されたいわけじゃないからね...そういえば、聞きたかったことがあるんだけど...なんでそんなに私の体を心配してるの?私の体、そんなに大事?」
言ってしまえば、私は人間、貴方は神様、モノの尺度も存在も違う...そんな規格外の生命が私の体なんかを心配してるってなんか変だよね。
「...」
「私の体が巫女になりうる存在...そして、地上に顕現するときの依り代になりうる...かぁ...そう...ちゃんとした理由があるんだ...。それにしても心配しすぎでしょ?いくら何でもただの一般人だよ?私。」
「...」
半端な形で死なれると恒星が暴走して大事になる可能性があるから、すぐに死なないように観察をしておく必要がある..ねぇ...。
「ぷっ...ふふ...なにそれ?私はガラスの器か何かかな?そんなに脆いと思ってるんだ...私、意外と頑丈だからね。まぁ...神様の尺度だったら弱いのかもしれないけど...。」
うーん...分かんないなー...顕現したいだけだったら私の体を乗っ取ればすぐだと思うのに、それをしないで私の観察をしている...物好きってことなのかな...。
「ま、いいや、私は貴方とこんな会話したかったんじゃないし...あ、さっき聞きそびれたんだけど、恒星が火炎恒星(フォーマルハウト)に繋がる鍵であり門ってどういうこと?」
「...」
「その通りの意味で火炎恒星に繋がっている...ってそれじゃ分かんないから聞いてるんだけど...何?こんなに会話できてるのもそのおかげ?」
「...」
「へー...私と貴方がこんなにスムーズに喋ってられるのも私の中に恒星があるからかー...うーん、実感がないから分かりずらいなー...。」
「...」
そもそも...炎神側から私を見つけたのではなく恒星(わたし)側から見つかりに来た...というより繋がりに来た...その影響で交信も簡単にできるしやろうと思えば異界の炎や炎神の炎を扱うことが出来るほど強固な繋がりである...は?
「貴方が私を見つけたんじゃなくて私が見つかりに来た!?それに私が異界の炎や炎神の炎を扱えるって...あぁ、もう!?いきなり大事なこと言いすぎだって!」
「...」
「少し落ち着けって...こんなこと言われて落ち着いてられる方がおかしいでしょ!?ホント...私の体のことなのに私が知らないことが多すぎるぅー!」
ホント、叫びたくなる...というか叫んでる...マンションの屋上なんだけど下の階には聞こえないはずだからいいよね?
「はぁ...ちょっと落ち着いた...で、私から貴方に見つかりに来たってどういうこと?そんなことした覚えはないんだけど?」
「...」
「生まれた瞬間の出来事だから覚えてないのは当然だ...って生まれた瞬間?うーん...生まれた瞬間...知らない...。」
というか...記憶にない...私の記憶にある最初の記憶は...孤児院...孤児院長に私が抱きかかえられてる?分からない...それより前の記憶がない...ただ単に忘れてるだけ...?それなら頭にあるこのもやもやは一体何...?
「ねぇ...貴方は私が生まれた瞬間から見ていたんでしょ?その時のこと教えてくれる?」
「...」
「断る...ってそう...じゃあ知ってるんだ?なにかあったってことだよね?もう一度言うけど...教えてくれる?」
「...」
「然るべき時が来るまで伝えることは出来ない...かー...仕方ない、今は諦めてあげるよ...その時絶対教えてもらうからっ!」
びしっと火炎恒星に向けて指をさす...そこにいるかどうかも分からない自分勝手な神様に向けた今できる精いっぱいの抵抗...。
「教えてくれないならしょうがない...その代わり、もう一つのほう...異界の炎と炎神の炎については詳しく聞かせてね?」
「...」
了承した...そのような声と共に知識が流れ込んでくる...異界の炎...異界の星である火炎恒星で燃え盛る炎、青に黒を混ぜたようなどす黒い色をしていて普通の炎とは違いどんな空間でも燃えるという性質を持つ炎である。炎神の炎...炎神を構成する炎で青に白を混ぜたような鮮やかな色をしている、炎としての質が高くこの世に存在するどんなものよりも熱くどんなものにでも引火する文字通り炎の神にしか扱うことの出来ない炎である...。そしてこれらの炎の使い方と恒星からの引き出し方が一気に流れ込んできた...。
「っ...!いったぁ...いきなりすぎだって...こっちはただの人間...じゃなくてオーヴァードだけどそれでも神様じゃないんだから...痛た...。」
頭の中に針で突き刺されるような痛みが走る...人間に優しくない伝え方...流石に荒療治過ぎない?
「...」
「忘れることの無いように直接頭の中に入れ込んだって...神様パワーの使い方おかしいんじゃないかな...。」
でも...確かにこの知識は役に立つ...そして、すぐにでも使えるくらいに馴染んでいる...これが神様パワー...!
「ちょっとやってみるね...恒星を"開錠"した時点で異界の炎は使えることが出来るんだよね?」
「...」
「そして炎神の炎は恒星の力をすべて制御できるときじゃないと使えないと...今は私の力じゃ制御できないけど一時的に力が高まっている状況なら使える...ね...了解、半端な状態じゃ使えないってことだよね?私は自分の力に溺れるほどの馬鹿じゃないからね...自分の力くらいならわかる...それじゃ、行くよ。」
「"恒星開錠"」
宣言を行った瞬間に、先ほど炎神の制御を離れた恒星が行った熱の吸収よりは少ないが熱が吸われて寒い感覚がする...でも、このくらいなら問題ない...!
「妖星:異界炎...!」
私の胸の中が少し熱くなったような感覚と共に目の前に異界の炎を用いた妖星を一つ発生した...妖星はいつもとは違う青に黒が混ざったようなどす黒い色をしている...。
「へー...これが異界の炎...見た目は少し黒くなった私の炎って感じだけど...うん、確かに違う...。」
横に私の炎を用いて妖星を発生させて見比べで見る...一目で分かるほど大きな差じゃないけど私の炎のほうが明るくて眩しい。逆に異界の炎は夜の闇に溶け込むほど暗く淡い光を放っている...隠密行動とかに向いていそうかな。
「ふーん...じゃあこれはどうなるかな...?ほっ!」
私の炎を消してと...掛け声とともに異界の炎を両手で包み込む...普通の炎だったら掌の中が無酸素状態になってすぐに消えるはずだけど...消えない...手の中で燃えている感覚がする...掌を開けると包み込む前と何も変わらない状態で異界の炎が燃えている。
「凄いねこれ...私が消さなかったら永遠に燃え続けそうだなー...うん、流石異界の炎ってことかな。」
そう言って異界の炎を消す...私が消すと意識すれば消えるところは私が操る炎と変わらないけど性質は違うみたいだからもっと使って慣れるようにしていかないとなー...ん?
「なんか変な感覚...いや、これはさっきと同じ...?うぅ...一気に寒くなった...。」
異界の炎を消した瞬間に体の熱が吸われる感覚...異界の炎を使うならこの感覚にも慣れないといけないみたいだね...。
「あー...先は長そうだなー..."恒星施錠"...うん、問題ない...体の熱もだんだん戻ってきた。」
"施錠"の宣言をしたと同時に熱が吸われる感覚が消える...異界の炎を使った反動分の熱はまだ吸われてるみたいだけど開錠時に吸われていた感覚はなくなっている。
「...」
「うん、何回も使えばなれそうかな...貴方の炎は今は使えないからぶっつけ本番になりそうだけどね。」
流石に制御しきれないものを扱うほど私はまだイかれてない...ホントは使うときが来ないのが一番なんだけどね...。
「はー...最初はいつもみたいに星を見てるだけだったけどいろいろやって疲れちゃったな...そろそろ部屋に戻って休むようにするよ...。」
そう言って屋上から私の部屋がある高さまで落ちる...もう夜中だし窓から見られることは無いと思うけど一応細心の注意を払って...よし、到着...っと。
「...」
「これが一番簡単で楽なんだからしょうがないでしょ...ホント、孤児院長の小言みたいなこと言うときあるよね。」
「...」
「そこは孤児院長じゃなくて親じゃないかって...そう言われても親の小言は知らないから私には分からないなー。」
そう言いながらベットの中に潜り込む...目覚まし時計は...よし、セット出来てる...。
「...」
それならば私はお前の保護者だな...って...うん、保護されてるからあながち間違いではないのがなんとも...。
「まぁ、そういうことにしといてあげるよ...おやすみ...私の大嫌いな保護者様(かみさま)...。」
体は体力を消耗していたようですぐに意識は眠りの中に落ちていった...。

私の知らない夢を見た...誰かに抱きかかえられる夢...その誰かは女の人...私に似ているけど私の知らない顔...とても慈愛にあふれる顔をしていてなんだかとても安心する...。
これは夢の中...私の妄想が作り出した虚像かもしれない...でも...たとえ夢の中だとしても...夢から覚めた私が覚えてないとしても...今だけはその胸の中で眠っていたいな...私の...大好きな...お母さん......。


~炎の巫女の怠惰な日常『火炎少女の(こじいん)帰り』~

カタ...カタカタ...
地面が揺れる振動で目が覚める。うーん...やっぱりバスの中ってのはちょっと寝づらい...。
私って自分のベットの上以外で寝るとちょっとの振動で起きちゃうくらい眠りが浅くなるんだよねー...任務のときは便利なんだけど、日常生活では不便...。
それに、私がまだ未熟なせいで眠っている間は重力操作が出来ない。眠っている間も重力操作が出来るなら某猫型ロボットみたいに数ミリ浮かせることで振動を回避することが出来るんだけど...ま、出来ないことは考えても無駄かな。
かばんに入っている携帯端末を取り出す...今の時間は、うげっ...まだ3時?出発が23時で到着が7時だから...まだ半分くらいしか進んでない...。あーあ、中途半端な時間に起きちゃったなー...。
眠くなるまで私が今夜行バスに乗っているのか振り返っていこうかな...。

私が何で夜行バスに揺られているのか...それは火曜日にかかってきた一本の電話から始まった。

プルルル...プルルル...プルルル...

夕方...家でくつろいでいる時間帯、特にやることもなくウトウトとしていたユゥユゥであったが突然鳴り始めた携帯端末にビクッとした。
「んー?誰だろ?私に電話かけてくる人なんでそんなにいないはずだけど...。」

携帯端末の画面には"お義母さん(天照陽花)"という文字が書かれていた。その名前を確認...あぁ...と一人納得して電話を取る。
「もしもし、ユゥユゥです。」
『もしもし、貴方の大好きなお義母さんですよ、ユゥ?都会で揉まれて荒んでしまったのですか...敬語なんて...私は悲しいです...。』
「そ、そんなわけじゃないって...ほら、電話だと任務の話ばっかりで癖で敬語にしちゃっただけだよぉ...。」
『ふふ...冗談です、それにその様子ですと頑張っているようで...私は嬉しいです。』

この人、天照陽花(あまてる ようか)は私が育った場所の孤児院長...つまりは私の親代わり、お義母さんに当たる人だ。

「えへへ...ありがと...それで何かあったの?」
『何も特別な事はないですよ。ただ、ユゥが元気にやっているか気になったから電話をしただけです。』
「そうなんだー、それなら元気だよ!そっちにいた時みたいにのんびりは出来ないけど、学校とか任務とかで刺激的で楽しいよ!」
『ユゥの毎日が充実しているようで私も嬉しくなります。そうそう、今週の土日にこちらに来て手伝ってほしい事があるので空けといてください。』

娘と母親の微笑ましい会話...だったはすであったが陽花から何事もないかのように里帰りの要請が出された。しかも、今週の土日と直近である。

「やっぱり何かあるじゃん...別にいいけど。でも、急すぎない?その日何かあったら行けないよ?」
『いえ、予定は無いはずです。学校行事は確認しましたし、支部には連絡を入れてユゥの貸し出し許可を申請しておきました。もし、友達との予定があるのならこちらに連れてきてもらっても構いませんよ?』

この徹底ぶりである。徹底されすぎていて逆に怖いと感じてしまうほどである。

「どんだけ根回ししてるのさ...そんなにしなくても帰るよ...。」
『私は母ですから、当然です。』
「よくわからないんだけど...まぁ、今週の土日にそっちに行けばいいんでしょ?」
『そういう事です、朝から働いてもらうので土曜の朝着の夜行バスのチケット送っておきますね、それでは。』
「え!?ちょ...!」
電話が切られた...携帯端末のメールを確認すると言われた通りのチケットが届けられていた。
「いくら何でもめちゃくちゃすぎるよぉー!?」
ユゥユゥの叫びは義母には届かない。しかし、ニコニコ笑顔でこちらのことを見ている義母の顔を幻視した...。

とまあこれが私が今バスに乗っている理由かな...。うん、改めて振り返るといきなりすぎてびっくりしちゃうね..。しっかし、なんで私が呼ばれたのかな?相当のことじゃない限り手伝いに呼ばれることは無いと思うし...実家(こじいん)にはお義母さんを筆頭に結構な人数のオーヴァードがいるはずだけどな。それに今なら美陰さんもいるから...ほんと、何があったのかな?
まぁ、到着すればわかる話だし今考えても仕方ないか。

ふぅ...そろそろ眠くなってきたしもうひと眠りしようかな。それじゃ、おやすみー...。

うーん...すぅ...すぅ...。

ガタ...ガタガタ!

ふへぇ!?何事!?あっ...到着したのか...。
振動で起きたユゥユゥが目にしたのはすっかりと明るくなった外の景色といつも夜行バスで帰ると目にするバスの駐車場の景色だった。

「よいしょ...と、ふー...。」
荷物をまとめてバスから降りる。ここから孤児院までは...大体10分くらいかな?まぁ、私がオーヴァードとしての力を発揮しながらの移動したときの計算だから普通の人だったら...30分くらいかかる道のり。

















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